性別二元論を超えたキャリア構築を。
キャリアコンサルタントとして人並みにさまざまなキャリアの現場を見ていると、思うことがあります。
いわゆるZ世代に象徴的にみられるような、若い世代特有の特徴や課題が年々顕在化しつつある。
人生100年へのトレンドの変化の中で、中高年齢者のキャリアの理想と現実との乖離が深刻化しつつある。
そして、国際的にもジェンダーギャップが問題視されている日本においては、女性活躍の遅れは想像以上に重いテーマ。
これらはすでにいろいろな場面で問題の所在が議論され、さまざまな意見集約が行われつつあると思いますが、もうひとつ見逃してはいけないのがジェンダー視点です。
ジェンダーというと、まさに女性活躍推進のテーマではないかと思うかもしれません。
と同時に、いわゆる性的マイノリティの人たちを取り巻く課題も大きなテーマです。
もちろんその通りですが、そういった課題とともに忘れてはならないのは、性別二元論を基礎とするキャリアのあり方。
今の社会では、男性と女性は根本的に異なる存在であり、それゆえに異なるライフキャリアを志向するのが当然という建てつけの中で、みんなが生きているのが現実です。
そういったあり方は、もちろん歴史的にも仕組み的にも何らかの意義があるものでしょうし、最大公約数的なマジョリティの論理自体を全否定するわけではありません。
でも、男女平等、女性差別解消、女性活躍推進の掛け声の中で、実際は二元論的な仕組みを超えることができない現実は、ある種のダブルスタンダードともいえます。
今では、みんな知っていますし、それが真っ当だと思っているはずです。
人間は本来、多種多様な存在であり、男性か女性かという違いだけで判断されるべきではなく、みんなが異なる個性を持っているということを認め合っていくことで、全体として最大幸福を目指す社会へと近づくであろうことを。
それなのに、男性は男性のキャリア、女性は女性のキャリアという二元論的な現実は、いっこうに解消しないようにみえます。
私は思います。
男性なのに女性的な価値観を持っている人。女性なのに男性的な発想が得意な人。
こういった人たちは、本来はとても魅力的な個性を持っていることにより、堂々と充実したキャリアに向けて邁進できるはずです。
でも、実際のキャリア構築を場をみていると、残念ながら典型的な男性でない男性、典型的な女性でない女性は、とても肩身が狭い思いをしているようにみえます。
これは、とても不幸なことではないでしょうか。
キャリアにおいてジェンダーの問題とは、性的マイノリティや女性活躍推進の課題とともに、こうした性別二元論をめぐる深刻な葛藤も含まれるはずです。
女性的なカルチャーの中でいかんなく中性的な個性を発揮して周りを牽引していく男性、男性中心的な職場風土の中で男性脳と女性脳の絶妙なバランスを披歴してぐいぐいとキャリアを積み上げていく女性。
こうした人たちが活躍することは、その人やその職場にとって有益なことはもちろん、ひいては性的マイノリティの人たちの活躍や全般的な女性活躍推進の展望にも寄与するものだと思います。
今、私が考えているミッション。
とにかく、ジェンダーに悩みを抱える人に自信を持ってもらいたい。
男性なのに女性的、女性なのに男性的。これは人間として自然であるのはもちろん、キャリアを考える上でも明らかにプラス価値であるはずです。
それなのに、なぜかイメージによってマイナスだと思い込んで、悩み苦しむ人たちが本当に多い。
私は、そういった人たちと同じ目線で真剣に向き合うことで、単なるイメージに惑わされずに本来の強みに自信を持ってキャリアを目指していく勇気を分かち合っていきたいと思っています。
思い込みによって、自分の本来の個性を認めることができず、自信を持って仕事や周りと向き合うことができないのは、人生の時間の無駄遣い。
ジェンダーとはそもそもグラデーションだと考えるなら、幅広い多様性が宿っていたり中性的な感性を秘めていることは、むしろキャリアを築く上での武器となるかけがえのない個性であるはず。
意味のない呪縛からの解放を目指して、しがないキャリコンとしておしとやかに自分ができることをやっていきたいと思います。
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学生時代に初めて時事についてコラムを書き、現在のジェンダー、男らしさ・女らしさ、ファッションなどのテーマについて、キャリア、法律、社会、文化、歴史などの視点から、週一ペースで気軽に執筆しています。キャリコンやライターとしても活動中。よろしければサポートをお願いします。