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生命倫理の形成は技術発展に追いついていない?【読書メモ『はじめて学ぶ生命倫理』】

なぜ読んだ?

大学の授業で「死生学」を学んだことと、生命系の研究に携わっていることから、生命倫理学に入門したくなったため。
また、ユヴァル・ノア・ハラリ『ホモ・デウス』を読み、人類が死を克服したらどうなるのだろうと考えたため。

基本情報

タイトル:はじめて学ぶ生命倫理: 「いのち」は誰が決めるのか (ちくまプリマー新書)
著者:小林亜津子

感想総論

人類が生命を操作しうる技術が高まりすぎて、問題がたくさん生まれている。倫理形成が技術発展に追いついていない時代である。

ユヴァル・ノア・ハラリ『サピエンス全史』の「生物学は可能にし、文化(法や倫理を含む)は禁ずる」を思い出す。我々は我々が「可能」にしてきた技術によって滅ぶことはあるんだろうか。

読書メモ

・生命倫理学はいのちを誰がどのようにして決めるのかを議論する過程で形成されてきた学問。
・豆知識:医学部の学生はみんな「ヒポクラテスの誓い」を教えられる
・生命の神聖さ(SOL) VS いのちの尊厳、生命の質(QOL)
・治療を拒否する拒食症の娘を訴えた両親の話
・エホバの証人の子どもが輸血拒否をしたらどうするか問題
・判断能力はどうやってきめるの?コンピテンスという概念。生命倫理の影の主役。尊厳を持つ自律的人間と、生きた屍との境界を決める言葉。
・自立尊重原則VS仁恵原則、無危害原則
・精子バンクで「造られた」天才児の話。エグいなこの話、と印象にのこった。親心かエゴか。
・結合双生児の分離手術問題。1人を助けるためにもう1人を殺してもいいか?←これも絵を想像するとエグくて印象に残った。
・種差別(動物と人間の命の優先度)の話。ただ個人的には、種差別は根拠の無い偏見ではなく、人間も生物だし、社会的な生物なわけだから種差別思想を持つのも自然では?と思った。
・中絶、いのちの始まりはいつ?の話。「プロ・チョイス(母優先)」VS「プロ・ライフ(胎児優先)」
いのちの始まりは受精?着床?人の形を取るようになってから?誕生してから?

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