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褒められた記憶は一生もの

これは、高校生の頃に受けた授業に関する思い出です。

高校生になって初めての夏休みを迎える直前、物理基礎の授業で実験をしました。
実験内容はもうほとんど記憶していないのですが、確か運動とエネルギ―に関するもので、レールの上で転がるようボールをセットし、初速度の有り無しや加速度の有り無しなど条件を分けて、ボールがどう転がるか試してみよう的な感じでした。
そして、実験にはレポートが付き物ですから、例外なくレポートの提出を課せられました。

その時、実験をしたクラスメイトはみんな困ってました。なぜかというと、今まで実験をしたことがあっても、大概先生の解説で終わることが多かったため、実験レポートを自力で書くのは初めてだったからです。
かくいう私も、何から書けばいいのか分からず困っていました。

それでもなんとか書き上げレポートを提出しました。
間に合ってよかったね、なんてのほほんと会話なんかもして。
そしたら提出した次の週、授業中に先生からレポート内容について、めちゃくちゃに叱られました。

「なんのための実験かわかってない。ひどすぎる。」

ほとんどの生徒のレポートは合格点にいっていないと言われたのです。
ただ一人、私を除いて。

まず、なぜ叱られたのかというと、実はこの実験は丸々教科書に載っていたため、教科書さえみれば、実験結果も考察も解説も全て記載されていました。
そのため、書く内容が分からなかった人たちは、その教科書の内容をそのまま写していたんです。

そして、なぜ私だけ合格だったのかというと、教科書に書かれた結果と自分でやってみたときの結果をとにかく比べてみて、考えたことを正直に書くようにしたからでした。

結果は教科書と一緒のはずだけど、現実だとボールの動かし方をミスしたり、時間の測り方を間違えたりして、思うような結果じゃなかったりもしました。

私はそのことを素直に書き連ねました。

『時間の計測を間違えたためズレてしまった。』とか『結果の数値は大きく出たが、グラフに変換し教科書の考察と見比べると同じになったから、ちゃんと実験はうまくいった。』みたいな。

その時はこんな内容でほんとにいいのかな、と不安なまま提出してたんです。教科書で書かれているような完璧な実験結果じゃないし怒られるんじゃないかと。

そしたら、叱られている最中に名指しで褒められて拍子抜けしました。
その後、先輩にもあなたのレポートを見せたいからと、物理教室の黒板付近にポスターのごとく張り出されたのを覚えてます。

なんて言われて褒められたのかは、忘れてしまいましたが、ものすっごく嬉しかったのは覚えてます。叱られている最中だったので尚更です。

そして、この褒められた経験をきっかけに調子に乗った私は、物理選択をし勉強に励みました。途中まではよかったんですけど、電子や電磁気辺りが出てきてからはチンプンカンプンで、物理選択を後悔したのはいい思い出です。

とにかく、自分なりにもがいて出した考えを肯定されたことが、すごく嬉しかったんです。
そして、今このタイミングで思い出を振り返ってて、自分がそうだったように、他の人にも当てはまるんじゃないかなとも思ったんです。

褒め方一つで元々その人が持っている自信や能力をより引き出すことができる。

そのことを学ばせてくれた当時の物理の先生に感謝したいし、今後も大事にしたいポジティブな思い出です。

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