私が電子ピアノで練習する、その個人的すぎるくっだらない理由。
私はピアノ歴40年近くだが、今は電子ピアノで練習している。
と言ってもピアノ自体はある。母が独身のとき買ったアップライトピアノで子供の頃からずっと練習していた。今でもそのピアノは置いてある。
ではなぜ、そのピアノを弾かず、わざわざ電子ピアノで練習しているのか。
きっかけ
きっかけは、一人暮らし。
2013年~2014年にかけて7か月だけ、一人暮らしをした。
その時に先生がそれはそれはハイスペックなヤマハのキーボードを貸してくれることになり(今はない。本当に凄いの。普通にピアノの代わりになるくらい)、それをピアノ可”ではない”マンションにこっそり持ち込み、スタンドとイスを買い、ヘッドフォンをつけて練習していた。
(ちなみにこの案は弟の提案。私がピアノをどうしようか悩んでいると、「黙っとけばええやん」の一言で、一氣に事は進んだ。^ワ^;)
そして2014年の2月頃から少し体調が思わしくなくなり、フルタイムで働くことが難しいと判断した私は、一旦実家に戻ることを決めた。
この間、マンションで電子ピアノ、レッスンで先生のグランドピアノ、という生活を約7カ月してきて、実家でも電子ピアノがあれば、好きな時間に練習できると思って、初めて自分でKORGのキーボードを買った。
予算の範囲内で買ったそのキーボードははっきり言って中の下くらいのクオリティで、買った当時はうれしくてそのキーボードを使っていたんだけど、だんだんクオリティに物足りなくなり、これは買い換えないとなと思った。
そして、2016年に、今使っているRolandのFP‐30という電子ピアノを購入した。
こちらは中の上くらいのクオリティで、もちろんもっと高級な電子ピアノに比べれば劣るものの、値段の割に音質やタッチが良い、コスパに優れた代物である。
・・・・・・
という、ざっくりとした私の電子ピアノ歴を語ってみましたが、ここまでは前置きで。
プライド
私が一人暮らしがきっかけで電子ピアノを使うことになった、という理由は
わかった。
でも、一人暮らしをやめて、実家に戻ってからも、まだ電子ピアノで練習をしている、しかもちゃんとしたアップライトがあるにも関わらず・・・というところに疑問を感じられるかもしれない。
「なんで?実家に戻ったんならアップライト使えばいいじゃん、補助で電子ピアノというならわかるけど・・」
答えはこうだ。
「実家でピアノを鳴らすことに抵抗を感じたから」。
もっと言うと、
「実家で子供の頃と同じようにピアノを玄関で練習することが、大人の私にとってプライドが許さないから」。
だから、前述の実家でも電子ピアノがあれば好きな時間に練習できるから、とか、近所迷惑にならないからなどというのは表向きの理由で、本当の理由は、ここなのだ。
・・・・・・
私の実家ではアップライトを玄関に置き、小学生の頃から玄関でピアノを練習していた。
うちは結構出入りが多い方で、近所のおばさんとか酒屋さんとか米屋さんとか、親戚とか、マンションの管理会社の人とか、業者さんとか、ちょくちょく人が来ていて、当然玄関先でのやり取りになるから、その人たちと私もはち合わせになって、あら~練習中にごめんね~とか、えらいわねえとかなんとか言われながら、少し氣まずさや恥ずかしさを感じながら練習してたり、来客が帰るのを待っていたりした。
大人になってもそれは続き、時には来客が家に上がって話をするということもあったので、いつの日か消音ペダルで練習することがデフォルトになっていた。
(ちゃんとピアノの音が聞けるのはレッスンの時だけ…)
私はフリーターをしていたことが多かったし、フルタイムで就職してもサービス業だったので、平日休みであることが多く、平日の昼間に、20~30代の独身実家暮らし女性が玄関でピアノを弾いている、ということが、なんか恥ずかしくなってきた。
経済的な理由もあって一人暮らしもなかなかできず、やむを得ず消音ペダルを使うことにして、いつしかそれに慣れていった。
そこから2013年に家を出るチャンスが来て、そのまま電子ピアノ生活に突入・・ということになった。
だから、一旦実家に戻っても、アップライトを弾く氣にはなれなかった。たとえ消音ペダルでも。
その頃はもう30代の後半で、仕事もセーブしながらピアノを練習していた。
30代も後半の独身女性が、小学生のときと同じように玄関でピアノを練習し、来客に「あら~」などと言われる光景を想像するだけで、もう、あり得ないと思った。
それでなくてもいい年した大人の女が結婚もせずにずっと家でピアノを弾いている、、それを見て近所の人はどう思うだろうか。
「○○さんの娘さんは結婚もせずにずっと家で・・」などと思われると思うと、恥ずかしくて恥ずかしくてやってられない。
まあ、だれもそこまで考えてないということは分かってるし、完全な妄想、自意識過剰丸出しなんですけど、もう私の中では引っ込みがつかなくて、ただでさえ実家にずっといるということが負い目なので、電子ピアノで練習という以外の選択肢は、もうなかった。
なので、アップライトはずっと放置したままだった。
そこへ持ってきて、追い打ちをかけるようにして体調不良が悪化し、日常生活がままならないほどのダルさに見舞われて、もう仕事どころじゃなくなり、2018年から自宅で療養しながらピアノを練習していた。
もうこの頃になると、アップライトの存在感はますます薄くなり、調律しないとと思いつつもそれどころではなかったので、ここまで放置してきてしまった。
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今の心境
ここまで振り返ってきて、今思うのは、「やっぱり、生ピアノで練習したい」という思いが強くなってきたということ。
正直、電子ピアノで練習することに、限界を感じてきている。
月イチくらいで動画を撮りにグランドピアノを借りてはいるけれど・・・
・・・というところへ、最近、仲の良い親戚が久しぶりに家に来て、ピアノいつでも弾きに来てくれていいよ~ということを言ってくれた(その人は自営業で、ずっと家で仕事してるから、いつでも来てくれていいよと。ついでにゴハンも食べてって~と。なんてありがたい!!)
じゃあ、行けそうになったら連絡するわ、ということになった。
・・なんか、このタイミングでこういう話が来たということは、私の中で、もう、回復が近いんじゃないかという予感がしている。
ただ、こういう経験は、プラスに捉えるとしたら、生ピアノで弾けるありがたさとか、生ピアノの良さをしみじみ感じることができる、ということになると思う。
だって、子供の頃は、はっきり言ってそんなこと、考えたこともなかったのだから・・・
(さすがに発表会の時のスタインウェイにはびっくりしたけど。)
だから、これも、ピアノをより好きになるための、必然的な出来事、だったのかもしれない(!?)
新たな氣持ちで、ピアノに向き合える、その喜びを持ちながら、ピアノに向かうという・・・
なので今はこの電子ピアノを有効に使いつつ、一刻も早く実家を出て生ピアノを弾けるようになることを待つばかりだ。
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