![見出し画像](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/6153863/rectangle_large_56000cee92605b0926f5935885a19708.jpg?width=1200)
『クリスとみちる』 9話:みちるの決断
前回はこちら
最初からはこちら
。・。・。・。・。・
「みちるなんで手を挙げてるの!」
お母さんが小声で叫んだ。
でもどうせ、だめだろう。そう思った。
だって僕は子どもだし。
ここでの勉強をやってないし、知らないし。
どよめきが落ち着いたころ、クリスは僕に言った。
「みちるくんは、なぜやってみたいのでしょう?」
正確にはちえこさんがそう言った。
僕は正直に答えた。
「・・・わかんない」
ちえこさんが伝え、クリスはなるほど、という感じで大きくうなずいた。
「わからないんですね?」
僕はうなずいた。
「わからないけれど、ここに座ってみたいですか?」
クリスはちえこさんとの間にある座布団を指してそう言った。
僕の首が、僕より先にうなずいた。
クリスは少しの間、ちえこさんで話した後、みんなに向かってこう言った。
「もし、誰も本当に手を挙げなければ、この時間をみちるくんの体験につかうこともできます。
でもそうなると、プラクティスのデモにはならないかもしれません。
ほかに興味があるという人はいませんか」
とても長いこと待ったけど、誰もぴくりとも動かなかった。
「オーケイ」
クリスは目の前にある座布団を差し出した。
「みちるくん、どうぞ」
ちえこさんが笑いながら僕に向かってそう言った。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?