当事者が、岡田 尊司著 『愛着障害』を読んでの感想
ずっと、生きづらさの根本的原因がわからずにいたのだが...。
先日、主治医に「愛着障害の傾向がある」と告げられた。
※よかったら以下の記事もあわせてご覧ください。
そんな私は「自分に『傾向がある』と言われる愛着障害とはどんな病なのか」について、とても知りたくなった。
そこで、ここ1週間ほどの間、精神科医であり、作家の岡田 尊司さん著の『愛着障害』というタイトルの本を、電子書籍でじっくり読みこんでいた。
この本では、主に愛着障害とはどのようなものなのかについて、そして、愛着障害を抱えていたであろう著名人と「愛着障害」の関係について、丁寧に書かれている。
私は、やっとこの本を全部を読み終えたのだった。
そこで、今日は当事者である私がこの本『愛着障害』を読んでみて「どのように感じたか」の感想をしっかりと書いていこうと思う。
そもそも愛着障害とは?
そもそも愛着障害とはどのようなものなのか。
愛着障害について、岡田さんはこの本の中では、
愛着障害とは、なんらかの理由で愛着が上手く育めなかった時に起こるものであるということ。
愛着障害で起こる心の問題としては、
すぐに恋愛モードになる
依存してしまう
過去に囚われる
0か100かになりやすい
などのものがあるということが、書かれている。
愛着障害と思われる有名人
岡田さんはこの本の中で、実際に愛着障害の症状を持っていたであろう有名人についても、それぞれの愛着に関するエピソードも交えて、書かれている。
本の中で「愛着障害」の問題を抱えていたと挙げられているのは、川端康成、太宰治、夏目漱石、ルソー、バラク・オバマなど、どれも「かなり著名な人物」たちだ。
ここでは一例として、その中の一人、太宰治のエピソードを挙げたい。
太宰自身の著書、『新樹の言葉』(ほとんど太宰自身の経験に基づいていると思われる小説)によると、太宰治は生まれてすぐに、乳母に預けられたそうだ。
太宰治は、乳母についてこう語っている。
そして、このことなどから、岡田さんは、『愛着障害』の本の中で、こう論じている。
しかし、そんな風に乳母に愛着を持って生きてきていた太宰治の身に事件が起こる。
乳母が一夜にして、太宰のもとから、いなくなったのだった。
のちに、太宰は「乳母は遠くの他国で結婚した」ということを人から聞く。
太宰治は、その後、みなさんもご存知のように「薬物依存」に陥り、「心中未遂」を何度も繰り返した。
このように本人は大事に思っていた乳母などとの「愛着」に問題が生じ、大変苦しみを感じて生きてきた。
その一方で、太宰は、人々の心に突き刺さる、素晴らしい作品を残してきて、有名になったのも事実だ。
先ほども羅列した通り、愛着障害と思われる有名人は、太宰以外にも、本当にたくさんいる。
なぜ、ここまで有名人に愛着障害の人が多いのだろうか。
岡田さんは、そこに自己愛の一種である「誇大自己」が影響していると唱えている。
この「誇大自己」と愛着障害の関係については、複雑な話になるので、ぜひこの本、『愛着障害』を実際に読んで確認していただきたい。
愛着障害の人は「誇大自己」があることで、常人にはなかなかハードルの高い業績や成功を成し遂げることにもなるが、それはいいことばかりではない、と岡田さんは言う。
厳しい社会をさらに余計に辛く感じさせるものにもなるからだ。そして、それが社会への適応を妨げる原因になることもあるそうだ。
『愛着障害』が私に当てはまっていたこと
この本の中に書かれている「愛着障害で起こること」は、私に当てはまることがたくさんあった。
例えば、「人の顔色を伺う」「見捨てられることを怖がる」「依存してしまう」などなど。
その他にも、自分に当てはまるものとして、ここには書けないというものもあるが、その中でも一番当てはまっていると思ったのが、一つ上で挙げた「誇大自己」である。
自分を特別な存在、もしくは有名になりたいなどと思っている自分がずっと昔からいるのだが、この本を読んで、その原因がわかった。
この「誇大自己」も、もしかしたら「愛着障害」由来だったのかもしれないと。
当事者の私が『愛着障害』を読んでの感想
「愛着障害」当事者と思われる私が、『愛着障害』を読んで思ったこと。
それは「思ったより、自分に当てはまる部分があってびっくり」というものだった。
また、この本に、私も知っている著名な人物が「愛着障害」を抱えながらも懸命に生きている、生きていたという事実が書かれていることによって、とても励まされた。
今までの苦しみ、辛さが、もしかしたら「愛着障害の傾向がある」と判明したことによって、主治医などの力を借りつつ、少しずつ癒えてくるはずだ...そういう思いが、この本のおかげで確信に変わった。
これから、治療を頑張っていきたい、熱心に取り組んでいきたい、そういう思いも強くなった。
この本に救われる人はきっとたくさんいるだろうな、そう思った。
ぜひ、色々な方に読んでいただきたい本だ。
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