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書店員研修:出版社新入社員の書店研修

大手出版社では、新入社員が大手書店に約1週間研修にいくというのが通例であるようです。
私が働いていたのは関西なので、そういう研修の受け入れをしたことはないのですが、出版社の方と話していて疑問に思ったことを書きます。

新入社員の書店研修というのは、
出版社に入社した新入社員が体験する研修の一環で、まず書店の仕事を体験してもらうという趣旨のようです。
ですが、この研修は本当に適切な時期といえるのでしょうか?


出版社で仕事を始め、本を作る流れが色々わかってきた頃に書店研修を実施した方が、より出版の仕事に活かせることが書店から学べるのではないかという気がします。

というのも、私がやっているブックマンションでの書店員研修にご参加いただいている方には、出版関係の方が多いからです。
皆さん、本は作っているけれど、その本が実際にどう書店に到着し、どう陳列されるのかを知りたいと参加されるようです。

そのあたりが気になってくるのは、ひととおり出版社で働いてからなんだと思いました。
出来上がった本がその後エンドユーザーである読者にどう届くのか。

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入社してすぐだと、まだ自分がこれからやっていく仕事がはっきりとはわからないうちに、書店に行くことになります。そして、とりあえずバイトの延長線上のように、書店員業務をさらっとやる。

それだと、ただの学生バイトとなんら変わりのない経験にしかならないのではないかと思うのです。
(みっちり教えている書店さんいらしたら、ごめんなさい…)

ある程度出版の仕事を覚えた頃に、
書店でお客様に本を届けるにはどういう本がいいのだろう?
どんなPRをしていけばいいのだろう?

という何かしらの疑問が生まれてくると思います。
そこからの書店研修の方が、新入社員の頃より深い気づきに出会え、自分に必要なことを学べるのではないかと思います。
なんといったって、作った本の行きつく先である、最後に買ってくださる
お客様の顔が見えるわけですから。

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この本、自信満々に作ったけど、書店の店頭に並ぶとインパクトないなとか、客層しぼれてなかったなとか反省点も出てくるかもしれません。

出版社で働いているからこそ持っている知識をお客様に伝え、
「ありがとう」と言われる接客ができるかもしれません。

書店員は『お客様』と『今日入荷したこの本』がどう出会えるかを想像して、棚を作っていきます。出版社の方も、何がお客様に響くのかを考えつつ本を作られていると思います。
書店での研修は、そのアイデアや気づきのきっかけになる筈です。

そして受け入れる書店側にもメリットがあると思います。
出版社で仕事している方のリアルな声を聞くこと。
本を販売する書店員は内容をすべて把握しているわけではないので、どういう意図でこの本が作られたのか、どんな人に届いてほしいのかを知ることで、陳列や売り方を変えて、届いてほしいお客様に本を届けるお手伝いができるような気がします。

『入社時の書店研修もありだけど、数年後にもう一度実施するというのが
ベストなのかもしれませんね』

というのが、出版社の方と話していて出た結論です。
1回目と2回目で、得られるものは大きく違うのではないかと思います。

さて、2回やってみる書店研修、実現の可能性はあるのでしょうか?

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