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絵本 de 昔話『山父のさとり』

作画:茜町春彦
原作:柳田国男


昔ある所に一人の桶屋がありました.雪の降った朝、外に出て仕事をしておりますと・・・


・・・山の方から一つ目、一本足の恐ろしい怪物がやって来て、働いている桶屋の前に来て立ちました.


桶屋はそれを見て震えながら、これが昔から話に聞いている山父というものだなと思いました.

そうすると、その怪物は、おい桶屋、お前はこれが山父というものだろうと思っているなと言いました.

これは大変だ、こっちの思っていることを、すぐに、ああして言い当てると思いますと、おい桶屋、おまえは今思っている事をすぐに悟るから大変だと思ったなと又言いました.

それから後も、なんでもかんでも思うと、じきに悟られるので桶屋は困ってしまいました.

そうして仕方なしにブルブル震えながら仕事をしていますと、・・・


・・・思わず知らず、かじかんだ手が滑って、タガの竹の端が前へ走り、ヤマチチの顔をパチンと打ちました.


山父は、これにはビックリ仰天して、人間というやつは時々思っていない事をするから怖い.

ここにいると、どんな目に遭うか知れないと言って、どんどん又山の方へ、逃げて行ってしまったそうであります.
(阿波)

参考文献:日本の昔話(2006年10月25日36刷 柳田国男著 新潮文庫)
使用画材:ArtRage 3 Studio Pro(アンビエント社)Photoshop Elements 10(アドビシステムズ株式会社)
初出:パブー(2014年7月16日)
パブー投稿作品を修正して移植しました.

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