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愛が鮮明になる 〜映画『オペラ座の怪人 4Kデジタルリマスター』〜

上映初日の朝、TOHOシネマズ日比谷で『オペラ座の怪人 4K デジタルリマスター』を鑑賞。待ちに待って、一番に映画館に足を運びたいと思わせてくれる映画なんて、いつ以来だろう。ときめきが止まらない。

アンドリュー・ロイド=ウェバーの『オペラ座の怪人』を初めて観たのは三十年以上前。劇団四季でファントム役が市村正親、ラウル役が山口祐一郎と云う夢の共演を二回観劇した。私の中で至高の体験だったため、以降はオリジナル・ロンドン・キャスト版のCDをBGMのように聴くだけにとどまっていた。

そんな私が、映画の存在を知ったのはつい二年前。慌ててテレビで鑑賞し、ファントムとクリスティーヌのPoint of No Returnの妖艶さと、終盤、三人がそれぞれの想いを歌い上げる見事なハーモニーに心奪われ、その部分だけ、何度も繰り返して観ていた。

のだが、しかし。

やはり、テレビは小さいのよ。舞台と迫力が違うのよ。

「もっと大きな画面で、私に『オペラ座』を!」

そのタイミングで、私の、いや、ファンの私たちの願いが届いたかのような、今回の4K デジタルリマスター版上映。興奮の余り、小躍りするのを通り越して、阿波踊りする勢いの歓びだった。


それを受けての映画上映初日。大画面で大音響で鑑賞。心からの拍手を。(以下、ネタバレあります)

オープニングのシャンデリアの上がるシーンで鳴り響くパイプオルガンの音が、地鳴りのように足から上ってくる。モノクロからカラーへと熱を帯びた竜巻のように巻き込み広がりながら画面が彩られていく。その瞬間、初めて『オペラ座の怪人』を舞台で観た二十歳の私と今の私が重なって、涙が止まらなかった。

今まで舞台の方がいいと思っていたけれど、そんなことはなくて。

寧ろ、舞台ではわからなかったメインキャスト三人の心情がリアルに伝わってきた。


「アップの演技が大画面でもたらす、想いの強さと繊細さよ」

大学生の頃の私は、クリスティーヌのふらふらと心変わりする態度に納得が行かず。結局、最初からラウルなんでしょ!?と密かに憤慨していたのだが、クリスティーヌ役のエミー・ロッサムが熱に浮かされるような瞳でファントムに惹かれていく表情を観たら、抗えない愛の絆を感じた。

ラウル役のパトリック・ウィルソンがファントムとクリスティーヌの共演を観て涙を流すシーンも、涙の美しさと重みに訴えてくるものがあって。今まで私が思いこんでいたピュアな王子様だけではない、豊かな包容力と云う厚みがあった。

ファントムは見せ場があり過ぎるし、ジェラルド・バトラーがハマりすぎで、書き連ねたいのだけれど、やはり格好良さと色香が爆発しているのはPoint of No Return。クリスティーヌとの愛のせめぎ合いで一瞬たりとも目が離せない。そして、仮面を剥がされ、暴走した後に、クリスティーヌの愛の覚悟を身を持って知った時の表情が、本当に美しくて、眼を見張った。


「カメラワークと描写の補完が、三人の絆と愛を深める」

ラストでクリスティーヌとラウルが地上に戻って行くシーン。

舞台では、ゴンドラに乗る二人の歌が奥から聞こえてくることから、二人はもう自分達の世界に夢中と云う印象を受けた。残されたファントムの隔絶感が強く、最後に椅子から消える演出も素晴らしいけれど、寂しさが募った。

映画では、カメラが二人と一人の姿を順に行き来し、ファントムの孤独や怒りだけでなく、本当の愛を知った先にある未来を予感させてくれた。それが、ラストのお墓の前でのラウルとファントムの想いの交錯に繋がって、三人それぞれの愛が切ない程に愛おしく思えた。


そう、これは愛の物語なのだ。

鮮明になったのは画面だけではない。

今回の上映で、愛も鮮明になった。

どうか、あなたも、この愛に触れて欲しい。


映画『オペラ座の怪人  4K デジタルリマスター』に関わる全ての人に愛と感謝を込めて。


追記。TOHOシネマズ日比谷のプレミアラグジュアリーシート、おすすめです。舞台のボックス席の様に前に張り出していて、前に座っている方々の姿が目に入らずに、画面と直接対面で映画に没入できます。ファントム専用の5番ボックスって、こんな感じかなぁとワクワクしました。プラス三千円かかりますが、芝居を見ると思えば。最高の環境で『オペラ座の怪人  4K デジタルリマスター』を観られると思えば!



【今日の一枚】ムビチケと復刻版の映画パンフレット。パンフは中身が濃くて読み応え抜群です。

【#つづく日々に】のタグをつけて、日常で心ときめいたことを投稿中。日常のよろこびをみんなでシェアしあって、笑顔が増えたら嬉しいです。

今日もおつきあい頂いて、ありがとうございます。

毎日、書く歓びを感じていたい、書き続ける自分を信じていたいと願っています。