おすそわけ日記 157「ナソナとイソニ劇場〜習うより」
ナソナこと、母、七十七歳。生粋のおとぼけ。
イソニこと、私、五十二歳。ボケとツッコミの二刀流。
そんな二人が繰り広げる、愛と笑いとちょっぴり心配も詰まった日常。
木曜日は、母に着付けのおさらいをして貰う日。
メガネに素っぴんのまま着物を着たら、やる気をなくすことがわかった。
やはり、綺麗になるには、全てに気を抜かないの、大事ですね。
にもかかわらず、三十分足らずで着られたことは喜ばしい。
私が母に着付けを習い始めたのは三十代から。
最初は、一夏、家で浴衣を着て過ごすと言って、立ち居振る舞いがだらしないと祖母に怒られた。
「そんなカッコしてるなら、浴衣なんか着るんじゃないよ!」と一喝されて、数日で終了。
その後、ちゃんと習いますとヤル気を見せたが、今度は母からダメ出しの嵐。
「着物がきちんと着られるまで、帯(を結ぶ)なんて教えられません。」
母、直感型で言葉にするのが苦手なので、着物を前で合わせるのにも
「こうやって、着物の気持ちになって」
難題、出してきたよー。
要するに、感覚で学べと。
そんなこんなで、四十代後半で、やっと帯まで辿り着いたのだった。
嗚呼、本当に長い道のり。
思い返すと、私が子供の頃に、家族を含めて周りが皆、着物姿だったのがよかったのだと思う。
目で見て、雰囲気を感じていたのが、なんだかんだで染みついていて。
ありがたや、ありがたや。
母、「やっぱり『慣れるより、慣れろ』だね。」
慣れる大切さを、ひしひしと感じる言い回し。
【今日の一枚】今日、おさらいに使った帯です。過去にワークショップで家の着物を貸し出す時に、この帯が人気でした。森なのかなぁ、林なのかなぁ、木の感じが可愛いくてとっつきやすいのだと思います。きれい目の色の着物に合わせると、雰囲気が落ち着くのもいいです。
【追記:FBに書いた前段】
今週は辛い心持ちになって、深夜に母と家に対しての怒りを紙に書き殴って部屋中にばらまいておくと云う、非道いことをしたのですが、母は翌朝、寝ている私に「大丈夫?」と聞いただけでした。
「ごめんなさい」と言うのが、本当の気持ちかわからない気がして。
「ありがとう」と伝える方が、本当の気がします。
そんなことがあっても、母は今週も着付けのおさらいをしてくれるのです。ありがとう。
*毎週、母に着付けをおさらいして貰うようになったきっかけをこちらに綴っています。
*「駒菊 着つけ教室 第五期生徒さん募集のご案内」はこちらのブログにまとめています。
http://blog.kuku-moon.com/?eid=223
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