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akaneおすそわけ郵便 第六回「何もしない日」

今日は何もしない日にしようと決めて、夕方までベッドから出ない。

ふかふかの布団の心地よさを味わい、夢心地の合間に、自分が別れた夫を一人にしてしまったことに、こんなにも罪悪感と同情を感じているんだなぁと気づく。

夕飯の頃にもそもそ起き出して、母が作ってくれた野菜スープとサラダを食べる。薄味が身体に染みる。

ネットで注文したお気に入りの紅茶が届いたので、いそいそとしまっていたら、母に「折角だから、飲んだら?」と言われる。これはお客様用でもあるからと言い訳する私に「でも、自分が大好きなお茶なんでしょ?」と言葉を重ねられ、そうでしたと頷く。

紅茶の封を切った途端、ヴァニラの甘い香りにうっとりする。少し嗅いだだけで母の所に持って行き、香りのおすそわけをする。

デザートはホットケーキ。片面が焼けるのを待ちながら、そわそわと落ち着かない。たった四分のことなのに。

こうやって書き出してみると、他人を優先したり、余計なことに囚われている時間が多いなぁと思う。

何もしないで一日を過ごすのはなかなかに難しいけれど、自分を慈しむための、よい練習になる。


【今日の一枚】この、がらんとした感じが好き。裏面を見たら、アンドレ・ケルテスの作品だった。へー、そうなんだ。

【akaneおすそわけ郵便】は、大橋あかねが三十年以上かけて集めたポストカードに、自分の日常や愛するモノについてなど、その日の気分で書きたいことを書いて郵送でお届けすると云う企画です。こちらは、そのnote 版。今日もおつきあい頂いて、ありがとうございます。

(C)akane ohashi 2019

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大橋 あかね
毎日、書く歓びを感じていたい、書き続ける自分を信じていたいと願っています。