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韓国映画『恋愛の温度』ネタバレ感想/別れても消えぬ執着心はいかに

2013年制作(韓国)
英題:Very Ordinary Couple
監督、脚本:ノ・ドク
キャスト:イ・ミンギ、キム・ミニ、キム・ガンヒョン、パク・ビョンウン、ラ・ミラン、チェ・ムソン、ハ・ヨンス
配給:ツイン

すっかり、ホン・サンス映画でお馴染みのキム・ミニであるが、ホン・サンス作品に出演する前にいくつかラブコメにも出演している。そんなキム・ミニ主演のラブコメの一つが『恋愛の温度』である。相手役は、近年話題になったドラマ『私の解放日誌』で長男役を演じていたイ・ミンギ。

別れたカップルでヨリを戻すのは82パーセント、でも結局その中でうまくいくのは3パーセントで、あとは同じ理由で別れてしまう——。

皆に内緒で社内恋愛をしていたヨン(キム・ミニ)とドンヒ(イ・ミンギ)は、破局してからお互いのことが許せず、執着心も強くなる。そして会社の飲み会で皆の前で大喧嘩し、2人が付き合っていたことも皆に知れ渡る。社内恋愛は別れたら大変というのはまさにこの事であるはずが、知れ渡ったのをいいことに会社内でも口を聞かず、業務に大支障をきたす。更に互いにいい相手ができると、邪魔をし合うなど皆に迷惑をかけっぱなし。

盛大に周りを巻き込んでおいて結局ヨリを戻すというおいおいな展開。暴力に暴言に流石に大の大人が公私混同しすぎでは、と引いてしまうレベルだが、コメディと思えば……で許して見られるかはかなり際どいところ。

しかし、会社内では不倫をして奥さんが乗り込んできて乱闘。新婚旅行中に電話をかけ離婚することに、というとんでも展開にメインの2人の恋愛はまだかわいく思えてきたりするかもしれない。

前半はコメディとはいえ流石な展開の上に、ヨンとドンヒにイラつく人もいるかもしれないが、本作の良さはそんなところではない。ヨリを戻した2人が、きちんとお別れをするところが良いのだ。どうして別れてしまったのか、見つめ直し、お互い頑張ったけれどダメだった。

どっちかが悪いとかでもない。ダメな時はダメなのだ。勿論すごく嫌いなわけでもないし、相手への気持ちも完全になくなったわけでもない。それでも一緒に居続けることは無理だということはあるのだ。散々遠回りして、周りも巻き込んですとんとそこに落ちていくのが良い。至極当たり前のようでちゃんとそのことに向き合う姿は何だかじんわりとくる。

序盤からカメラ目線でインタビューを受けているかのように語りつつ展開していくので、あえての演出なのだろうかと思っていたら最後に繋がる。そのような遊び心ある演出が程よいコミカルさを演出する。

英題は“Very Ordinary Couple”であり、ここまで皆を巻き込んだり、嫌がらせの応酬をし合うカップルはいないとは思うが…彼らの状況、そして最終的に選んだ道は数多のカップルは辿った道といえよう。確かに“Very Ordinary Couple”である。

韓国ラブコメは、似たようなザ・ラブコメのタイトル、パッケージにされることが多く本作も例に漏れずではあるが、悪くない邦題である。恋愛の温度を保とう、距離感を保とうと自制している時点でそれは恋愛のような何かであって自分の心に正直ではないこともある。

かといって自分の心に正直すぎて相手とぶつかり合う恋愛も消耗するだけで長くは続かない。恋愛の温度感というのは非常に難しいもので、自分自身でコントロールしようとしてできるものでもない。コミカルで普遍的と、よくあるラブコメで完成度も高いわけではないが、興味があれば見てみてもいいかも。そもそもキム・ミニ好きとしてはキム・ミニが出ていたら見る以外の選択肢ない。

見出し画像(C)2013 LOTTE ENTERTAINMENT All Rights Reserved.

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