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2022年の仕事ベスト5を考えてみた

 新年あけましておめでとうございます。

 2022年も終わり新しい1年が始まろうとしています。そこで恒例の自分の仕事振り返り企画として、「仕事ベスト5」を考えてみました。フリーランスとなって3年目、正直に言いますと大きな壁にぶち当たった年でもあり、そして将来のための新しい種まきをした年でもありました。いろいろ考えさせられた1年でしたが、ランキングを見てまたいろいろ考えて行きたいと思います。

第5位 ブラック・クロウズ ~roppongi underground~


 原案を担当しテレビドラマ初進出となったのが、フジテレビで2シーズンに渡って放映された『ブラッククロウズ』でした。20年近くノンフィクションの世界でペン一本で生きていた身としては、新しい冒険として取り組んだ仕事となりました。web記事での連載、漫画展開など、メディアミクスという試みでも非常に意義のあった仕事だったと思います。一方でフィクションの難しさ、新世界への適合など、少なくない課題にも直面した仕事でもありました。

 ドラマ自体は凄くよい出来となっており取材協力者やスタッフに感謝。主演の小関裕太氏の演技はもちろんのこと、脇役に萩原聖人氏、柳沢慎吾氏など僕らの世代的には豪華キャストだったことも感慨深く。視聴者にとっても満足感のある作品になっていると思います。

 あとは自分の原作をどこまで磨き上げられるか。まだまだ勉強不足だなと思うところが反省点です。その後、本や漫画も含めていくつかフィクション系のオファーがありブラッククロウズの経験を良き糧として行かなくてはいけません。多くの課題を克服してこそ、本当のベストになるということで第5位とさせて頂きました。


第4位 韓国新政権で「反日団体」排除の動きも 慰安婦問題で進展あるか


第4位も課題の一作となります。日韓歴史問題をテーマの一つとして取材しているなかで、ここ数年はコロナもあり現地取材がまったく出来ませんでした。そこで政治分析という形の記事をいくつか書いたのですが、やはり現場に行ってこその記者だなということを改めて感じた、ということでこちらも課題克服を自分に期待しての4位としました。

岸田政権となり日韓関係は小康状態を保ったままという展開となっています。しかし、慰安婦問題や歴史問題の証言者たちは高齢となっており、時間が経過すればするほど解決には悪い影響を与える可能性が高くなります。今年は、なんとか現地取材を再開して、解決の道を探るような記事や本を書いて行きたいと考えております。

第3位 YouTube「元文春記者チャンネル」


新しい「種まき」として始めたのがYouTube番組でした。じつは当チャンネルを始める前には某所から新メディアを立ち上げようという話もあり、いろいろ検討していた時期でした。しかし、新メディアは投資を受けてビジネスをするのはメリットよりデメリットのほうが多いと判断し、アイデアと企画力、そして低コストで勝負できるYouTubeチャンネルを開設するという結論になりました。その決断理由のもう一つには、気軽に取組めるYouTubeのほうが、今やっている執筆業とも並立できるという考えもありました。

6月から始めたYouTubeチャンネルも半年で登録者1万4000人を超えました。ほぼボランティアで取り組んできましたが、ようやくスタートラインに立てた段階となり、2023年はどこまでビジネスとしてYouTubeが成立するかを見極める段階に入るのだと思います。YouTubeのコンセプトは「週刊誌をより面白いものに」。そしてアントニオ猪木風に言えば”週刊誌記者の市民権”獲得という野心も心に秘めつつ、今年もYouTubeでいろいろ模索を続けようと思います。 


第2位 菊池桃子の夫、新原浩朗・内閣審議官 経団連会長から「高級ワイン」もらって宴会


この企画は一本の電話から始まりました。「新しい資本主義を調べて欲しい」という、匿名人物の依頼により調査がスタートしました。この取材は後に支持率が低迷することに岸田政権の歪な構造を垣間見ることになりました。

岸田政権がなぜ駄目なのか。それは「新原ペーパー」(新原浩朗氏が書いた政権構想)に集約されていると、言ってもいいと思います。

詳しくは上記に書いてありますが、要は岸田政権がノーアイデアであり、官僚の言いなり政権であることが「新しい資本主義実現会議」成立の過程からも見て取れるのです。岸田政権の官僚支配と、経団連との癒着を明かす記事として執筆したのが当該記事となりました。

ただ、残念なことに記事を発表した7月10日に、安倍氏へのテロ事件が勃発。報道自体のインパクトは薄いものになってしまいました。しかし、記者としては岸田政権の正体を深く知ることが出来た、思い出深い取材となりました。



第1位 自民党「爆弾男」を告発する 赤石晋一郎+本誌取材班

1位とさせてもらったのが2月に文藝春秋で発表した「自民党京都府連・マネロン選挙買収疑惑」記事です。1か月あまりを取材に費やしために、いくつかの仕事に大きな支障をきたすことになったのですが、なかなか知ることの出来ない選挙の闇を覗けるということで、全てを投げうつ覚悟で取材したのが当該記事でした。

noteで初めて上記の取材記も書きました。いろいろな出会いとドラマがあったことも、記事への思入れを強く持った理由の一つでした。

関連記事を合わせると都合10本近くはマネロン問題について執筆したのではないでしょうか。12月17日には京都府連会長の西田昌司参議議員が記者会見を開き、マネロン手法を変更することを発表しました。会見は相変わらず詭弁を弄するものでしたが、修正に追い込まれたという事実は記事の指摘が正しいものであったことを証明するものだったと個人的には思っています。

マネロン疑惑は最終的には司法の判断に委ねられることになるでしょう。それまでは引き続き追及を続けて行く、ということで現在進行形の問題でもあるということで1位としました。

番外編 龍谷大学 特別講演

6月の龍谷大学での講演を番外編として上げさせて頂きます。週刊誌記者時代に知り合った教授からオファーを頂き、週刊誌の構造とリアルを学生相手にお話するという経験をさせてもらいました。

事前の学生アンケートを見ると、週刊誌はイカガワシイものというのが若い世代の感覚だということがわかりました。一方で週刊誌に彼らがほとんど接していないことも、アンケートからは浮き彫りになりました。

講演後、再びアンケートを見せてもらいました。少なくない学生さんが週刊誌の仕事に理解を示したり、関心を持つようになってくれました。やはりリアルで接することによって、価値観や先入観を大きく変えることが出来るのだという体験をすることが出来ました。

週刊誌は、その特性もあり顔の見えない仕事だということが多くの誤解を招いているのではないか。そんな疑問も芽生えたことは、顔出しでYouTubeチャンネルを始める動機の一つにもなりました。

僕自身の人生において週刊誌時代は重要なパートを占めています。フリーになってもその過去を捨てるつもりはありません。講演でも話したのですが、もともとコミュ障だったの取材現場に放り込まれることによって改善され、初めて成功体験を得ることができたのも週刊誌の仕事だった。人生を大きく変えてくれたものと言っても過言ではありません。

それだけに週刊誌業界にはさらに盛り上がってもらいたい。そしてOBとして世間と週刊誌の架け橋となるような仕事が出来れば、と考えるようになったのが龍谷大学での経験から。ランキングには入れていませんが、とてもとても重要な経験だったので番外編とさせて頂きます。
(了)


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