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#1 元週刊誌記者が語る「女性記者」の恍惚と不安とは?

 業界の仕事人インタビュー集のseason2として、「週刊誌」編をスタートいたします。Season1は主に「文章術」を主題にしていましたが、season2は「週刊誌の仕事術と記者の葛藤」に焦点を当てたインタビュー集&コラムにしたいと思っております。

(★期間限定無料公開は3月27日17時で終了いたしました。多くのご閲覧ありがとうございました)

 

 第1回目に登場してもらうのは、フリーライターの田中ひとみさん(仮名)です。週刊誌記者としてキャリアを始め数々のスクープをものにして、現在はフリーランスとして活躍する田中さんに仕事術や仕事への想いをインタビューしました。

 田中さんと僕はもうかれこれ十数年来の付き合いとなります。じつは彼女に対しては『いつも涼しい顔で仕事をこなしているよな』、という印象を僕は持っていました。どのジャンルで働いても成功する人というのは、最初から完成しているものなんだなとも思っていました。しかし、今回初めて「仕事」をテーマに話をじっくり聞き、彼女にも知られざる苦闘があったことを知りました。
 

 記者という仕事は、マインドセットも大事な仕事となります。どのような心構えで取材に臨むのか、そうした考え方も『仕事術』と言えると考えます。未だ男性社会であるメディアというステージで、彼女はどのような術を得たのか。Season2の連載スタートに相応しい濃厚な話満載の160分インタビューとなりました。


【キャリアは涙から始まった】

――まず田中さんは事件記者からスタートだとお聞きしました。

「じつは私、大学生時代は文学少女と言ったら聞こえはいいですが、実際は小説や漫画、アニメオタク。コミュニケーション下手な人間で。まさか自分が将来、記者という仕事をするとも思っていないような人間でした。文学少女だったので活字に触れる仕事がしたかった。無理な解釈で週刊誌も活字だなと思い、活字に触れていたかったという理由だけで週刊誌記者になった。そんな甘い気持ちだったので本当に最初は大変でした。
 当時の編集部が身近な事件を取材するという方針を持っており、私が最初に取材をしたのがある地方都市の殺人事件でした。
 私の取材担当として割り振られたのが、加害者の老母でした。

『うちの息子は悪くない』

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