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ひとりぼっちの門出に


来てしまった

目の前には暗くてぽっかりと空いた先の見えないトンネル

野口五郎岳の麓、高瀬渓谷にひとりトレッキングに出かけた時

私は、車を駐車場に停めて歩き出したすぐ先にこんな景色を目の当たりにした

一つトンネルを息を呑むように越えたと思ったら、またその先には更に暗いトンネルをたった1人で歩き進む

時には猿の群れに出会し
少し睨み合いながら背中を丸めてその場をなんとか通り過ぎる

いくつもトンネルを越えて、だんだん細く、だんだん暗くなって行き

ちっとも慣れない恐怖と戦う

こんな場面は、人生でもあった気がする

ひとりぼっちの門出に

トンネルの前に立ち尽くし、ひとり息をのみ覚悟を決めた人

そして私自身へ

高瀬渓谷のトレッキング

その先には立派な野口五郎岳の姿とミルキーレイク
乳白色の湖の緑色
まるで入浴剤でも入れたかの様なそんな色


何年経っても忘れない景色

私はひとりぼっちの門出を出発したあの日から随分と時間も経ち

こんなミルキーレイクの様な素晴らしい景色が広がっていた……

とか言ってこの話しを終わりにしたいのだけど

残念ながらそんな煌びやかな話しなんかじゃない

ただ、一つ言えることがあるとしたら
トンネルを越える事で
自分の底力に出会い自分自身の意外なの強さを知るのだと思う

ほら、トンネルの前でもたったひとりで立てる強さとか
ここまで、歩いて来た強さとか
今トンネルの中でも負じと立っていられる強さとか
そんな物に気づく時は必ず来るはず

とは言え、残念な事にいつまで経ってもひとりぼっち
これは何となく私が思っている事だけど
きっと抜け出すまで、ひとりぼっちな事だけは変わらないんだと思う

きっと、そのトンネルの前に立つ人なら
その理由は分かるはず

抜け出す事も自分の力で
きっとその為にトンネルの前に立ったんじゃないかな?

それでも、出会っては別れ
あれからひとりぼっちの門出は何度だってやってきたけど

少しづつ失望から
自分を信じる気持ちに変わって行った気がする

「もう、だめだ…」から

「まだ、歩ける?よし、もう一度歩こう」
になり

「自分なら大丈夫だ」に


いつ終わるのかと
そんな事ばかり考えていたけど
だんだんと
「それでも、未来は明るいのだ」と言い聞かせる様にもなった

そんな中でだんだん気付いていった暗いトンネルをひとりで歩くコツの様な物

その答えは、いかに心を上向きに
そして、健康的に保つかという事

過去に心も体も常にエンプティ状態だった時期があり
そんな経験の中から知った事

心がエンプティになると体がエンプティになり
体がエンプティになると心がエンプティになる

こんな風に体と心は引っ張り合うのだ

こうなると、どちらかが引き金になりどのみち寝込む事になる

止まらずに歩き続けるには、心が良い状態の時が1番スピードが出る

闇の中にいる時に
闇に囚われてしまう事はあまりにも簡単だから

そして、笑いながら怒り
泣きながらも笑い

泣いて怒って吐き出したら、また笑う

物事を悪い方に深刻に考えず
淡々と明るい空気を纏って今を生きる
すべき事をする

ただ、これだけで随分と荷が軽くなる

ひとりぼっちの門出に

それは本当を知る旅

きっと、自分の強さを知る為にそこに来たんだろうから

負けずに歩き続けなくちゃ

ミルキーレイクはすぐそこだ

akaiki×shiroimi

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