絵の中からは静寂の音が聴こえる
高く美しい鈴の音
野花をゆらす、あたたかな風の音
氷の結晶たちが擦れる音
雪が降る真夜中の静寂を
筆ひとつ、描くと言うこと
筆が鳴らすエチュード
音を描けたならと思っていた
だから、キャンパスの上に音を重ねていく
チェンバロの音
横に、斜めに
ペン先をサッサッと鳴らし
線が連なり形を作りはじめる
一粒、一粒と落ちる雫の音
雨が似合う、儚く滲む柔らかいメロディ
白い背景が揺れている
レコード音源の掠れた音は、白い背景を滲ませ僅かばかりと汚している
瓶のガラスの音を重ねればそっとそっと見えてくる
誰にも聞こえない自分だけの音
見て
どんな音が聞こえている?
自由な心で聴いてほしい
音も、絵も、言葉も
文章を書く事は、私にとって音を聞く事であり
編み物をすること
そして、絵を描くと言うこともまた
音楽を奏でるようなもので、逆もまた然り
ずっとずっと前の10年以上も過去のことです
音が描けたら…
とふと思ったことがありました
あの時は、あまりにあたり前の様な雫が水面に落ち水を跳ね上げる冠のイメージしか思い浮かびませんでしたが
今では、こんな風に思います
音を表現するっていうのは、そんな硬くなくて良いんだな…と
なんとなく好きな音を頭に浮かべて
それに似合う音が描けたなら
聞こえた様な気がしたなら、それでいいじゃないと
絵を描くことも
絵を見る時も
そんな風に耳を澄ましてみると聞こえるものがあるはずです
絵から感じる音は自由だから
自分だけの音が聞こえるはず
音では表現出来ない音も感じられるから
それが絵の凄いところなのよ
えっへんと
こんな事を発見した時は絵を描いている事が誇らしく感じました
静寂は音では表現出来ませんからね
ジャズにクラシック、オールディーズに
ポップにロックも大好きです
色々な音楽を聴いて毎日を過ごしています
やっぱりこの音が好きと言う帰る場所の様な音楽がある人は幸せ者
そして、私はそんな自分の大好きな音楽に自分の絵のスタイルを見つけてもらったと思っています
だから、音楽を聴きながら筆に音を乗せて描いている毎日
作る幸せ
作る人からもらっては、また何かを作る時
誰にこの幸せを運ぼうか?
私の作品から音は聞こえていますか?
akaiki×shiroimi