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テレビ局で比較「発達障害」と「いじめ」表現
滋賀県野洲市の小学校で50代の男性教諭が児童に対し、いじめを誘発するような発言をしたため、学校側はいじめと認定して担任を交代させた、というニュース。
男性教諭は児童の保護者に「お子さんは発達障害なので検査を・・・」と伝えたことも取り上げられています。
誰も知らないけど、昔ニュースキャスターだったんです
このニュースをテレビ各局がどのように報じているかを比較すると、非常に興味深い結果が得られました。
…誰も知らないと思いますが、私はテレビ東京時代に月曜〜金曜の夕方17:00の報道ニュースで、メインキャスターだったんです。玉突き人事で、名ばかりのメインでしたが…裏は、安藤優子さん、小宮悦子さんと凄い方だらけの中、1.6%の平均視聴率のニュース番組でした(汗)
ですので、ニュース番組の作り方、意図、番組サイドの解釈が、ある程度透けて見えます。
NHKの場合
![](https://assets.st-note.com/img/1664461034928-0hJQSjULTS.png?width=1200)
NHKのニュースのタイトルは、教員が「無視しよう」と発言したことを軸にしています。発達障害がいじめの理由と感じさせないニュース原稿とテロップでした。
日本テレビの場合
![](https://assets.st-note.com/img/1664461249129-JzctUAo7Wi.png?width=1200)
日本テレビは、ニュースタイトルと右上の字幕で「発達障害」と「いじめ」を関連づける表現をしています。
テレビ朝日の場合
![](https://assets.st-note.com/img/1664461383343-pPvbIrBUCl.png?width=1200)
テレビ朝日はNHKに近く、いじめの軸は男性教諭の「スルーしよう」とし、保護者に「お子さんは発達障害…」と言っていた事実ベースで表現しています。
TBSの場合
![](https://assets.st-note.com/img/1664461572494-OmwDEe3v9P.png?width=1200)
TBSは、ニュースのタイトルと右上の字幕に「いじめ」「発達障害」と関連づける表現をしています。
フジテレビの場合
![](https://assets.st-note.com/img/1664461688314-q6MR0KOB8f.png?width=1200)
フジテレビ系列のカンテレはNHKに近く、「いじめ」の軸は「スルーしよう」で、「発達障害」は保護者に伝えたという事実ベースで表現。
ただ、「レッテル」という表現で発達障害に意味を持たせています。
![](https://assets.st-note.com/img/1664462486133-WMiaaFSJNw.png?width=1200)
テレビ東京の場合
すいません。見つからなかったです…たぶん報じていると思います。
局によって解釈と表現が異なる
私のように発達障害の子供を持つ親は、この手のニュースに敏感です。
今回、最初に見たのは日本テレビのニュースでした。正直、ビックリしました。
その理由は以下の3点です。
①「発達障害と決めつけ」という表現がそもそも発達障害をネガティブなものと解釈していると感じる
②「発達障害」だから「いじめ」にあう、と想起させる字幕の作り方になっている
③字幕はニュース担当の記者かディレクターが作成し「デスク」と言われる責任者がチェックしているはずだが…
私は当事者なので「過敏になってるのかな?」と思って、NHKを調べました。すると、非常に慎重な言葉遣いでニュースを表現していました。あくまでも「いじめの軸は男性教諭の不適切な言動であって、発達障害だからいじめられると感じさせない」という意図が伝わります。
せっかくなので、他局も調べると各局の表現で「いじめと発達障害の因果関係」を匂わせる温度差がありました。
左から強い順に、
日本テレビ→TBS→フジテレビ(カンテレ)→テレビ朝日→NHK
私は差別や区別のない優しい社会にしたい「発達障害をLGBTQと同様にしたい」と思って活動しています。
「発達障害と決めつけ」「同性愛者と決めつけ」「黒人と決めつけ」という表現は、作り手の意図にかかわらず視聴者にネガティブな解釈を与えます。テレビでは強すぎるので使用するにはかなり勇気がいります。というか、私は使えません。日常でも。
発達障害を日常的に学び、接して生きている人と、そうでない人には、たぶん深い溝があります。もっというと発達障害は100人いたら100通りあるので、支援者間でも分かり合うことが少ないです。
とんねるずの石橋貴明さんが2017年に保毛尾田保毛男を演じて炎上しましたが、30年前の私は、そのタカさんに大爆笑していました。今は、全く笑えませんでした。
発達障害の表現も、20年30年後には大きく変わってほしい。変えていかないと。と、当事者の父でありメディア人であり、表現者の私は痛感しました。
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