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怪談未満シティ

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エピソード供養として過去の出来事を吐き出す【鞍馬の夜】②

エピソード供養として過去の出来事を吐き出す【鞍馬の夜】②

電車で乗り合わせた奇妙な老婆は何処に行ったのか?気にはなるけれど恐怖の存在が何なのかさえ解らずに震える鞍馬の夜。

蓮の花びらのようなチケットを渡されケーブルカーに乗ると山の上の多宝塔駅までゆっくり進んでも高低差は90mほどで数分で着く。山の駅から本殿までの参道に灯はあるが思ったよりも暗く案外離れているのが分かる。物陰から先ほどの老婆が飛びかかってきたら恐ろしくてもう泣きそう。

田舎の山間部で生

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エピソード供養として過去の出来事を吐き出す【鞍馬の夜】①

エピソード供養として過去の出来事を吐き出す【鞍馬の夜】①

エピソード供養として過去の出来事を吐き出す【鞍馬の夜】①

雑誌で、京都の鞍馬山で1月最初の初寅の日に毘沙門天に参拝すると無量の大福を授かると読んだ。無量の大福とはなんぞや?京都には何度も来ているのだが鞍馬寺には訪れた事は無い。

完全に興味本位で『初寅大祭』を行先に決めた。知らない山の夜でさすがに一人は嫌なので同行者を連れて行く。

一般的に鞍馬寺は牛若丸が幼少時に天狗と修行した寺として有名で京

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後部座席の少女の話

後部座席の少女の話

「前来た時に乗っていた車は廃車にしたんだよね。それとは直接関係ないけどさ…」

北海道に向かう途中で立ち寄った地方都市在住の鈴木夕子さん(仮名)から聞いた話。

当時、鈴木さんは結婚前で母親と二人暮らし。

勤務先は自宅から車で30分ほどの総合病院の事務なので、基本は定時に仕事が終了する。いつも夜の6時位には職場を後にするのが日課となっていた。その日もそうであった。

定時に仕事が終わり鞄とコート

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立花のお婆さんと幽霊寿しの話。

立花のお婆さんと幽霊寿しの話。

高校生の時に小僧寿しでバイトをしていた。

ある日、パートの渡部さんが来るなり言い放つ。

「立花のお婆さん亡くなったらしいよ」

それを聞くなり、えっと驚いた。立花のお婆さんは週2回ほど買いにきて、その度おしゃべりをしてから帰る常連客だった。確かにここ一月は来ていなかったように記憶している。

渡部さんは立花のお婆さんと家は同じ方面だが具体的な住所は知らないそうだ。今朝たまたま犬の散歩の途中で御

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