見出し画像

フシギナパラダイス1話:〜不思議な道〜4/5

目次

前 ← 1話 3/5 次 一話 5/5

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

*作品の無断転載・盗作×

*二次創作・紹介などは「作品名」記載いただければOKです!

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
私は校庭に出て、辺りを見回し
ケホケホと咳をする

やっぱり、私の勘違いなんかじゃない
曇ってる原因の一つは確かに砂埃だ

でも、その中に火薬の匂いが混じってる
これは爆発が起きたことを意味している
つまり、聞こえてる私が正しいはず

だとしたらやっぱりなんとかしないと
少なくともこの爆発音は私にしか聞こえない

心矢とすれ違った後、何人かの生徒とすれ違った
でも、みんな地震のことは話しても、今のことは話さない

つまり中の生徒や先生は、火薬の匂いに気がついてない
このもやも砂埃だと思ってる

その奥には…さっき保健室から見えたよりもはっきりと人影が見えた。

危険に気がつけないのは、目に見えない危険は不幸だと思う。
だって気がつく危険は対応のしようがあっても、目に見えない危険は対応する機会もないまま、知らないままに最悪な事態になってしまう

防ぐためには、、、私がなんとかしないと、、、
状況理解している私が

でも、何か策があるわけじゃない
ここまできたはいいけど、あの人をどうやって止めればいいのかは
正直皆目検討つかない

でも…なんとかしないと…
とりあえず…気を失わせればどうにかなるかな…
なんか武器は…

「みぃつけた」

背後から声が聞こえる
慌てて振り返ると、そこには黒いフードを被った女の人がいた

「…っ」

言葉を発しようとした
でも、口にしたい疑問があまりにも多すぎて声にならない

相手はフードを深く被っていたので顔は見えない…
でも、なんとなく…楽しそうな表情を浮かべているように感じた
それがあまりにも不気味で、一歩後ずさる

「見れば見るほどそっくりね…
なるほど…あなたで間違いなさそうね
今代の*****は」

「え…」

大事なところが聞き取れなかった…

今代の…なに?
間違いないって…?
そっくりって…誰に?

でも、その答えを考えるよりも早く、何かが顔の横を通り過ぎた
私はそれに驚いて、小さく悲鳴をあげて尻餅をつく

「な…なに?」

「覚醒は…まだみたいね、これは好都合。
今のうちにやってしまえば、手間もかからない」

そういうと、フードを被ったその人の手のひらに大きな黒い球体が現れ、
それを私めがけて投げてくる

運よくそれを避けることはできたけど、
ズンッという大きな音と振動と共に、その場所は大きくくぼんだ、

そこでようやく、自分が狙われていることに気がつく。
事の重大さに気がついた私は、彼女の攻撃を避けながら、なんとか距離をとり、とっさに物陰に隠れた
なんとかうまく隠れることはできたけど、私を見失ったにもかかわらず、彼女は慌てない。

「あらあら、うまいこと逃げるわね…
鬼ごっこ?それともかくれんぼのつもりかしら?
私もその手の遊びは得意よ、おとなしく出ていらっしゃい」

優しい声音でそう問いかけた。

あんなことができる相手…私一人見つけるくらい、かくれんぼしてる子供より簡単に見つけられるとでもいうように
実際そうなんだろうけど…。

「まぁ、無理に探すこともないわね。
どうせこの建物の中のどこかにいるんでしょ?
攻撃をあなたに当てなくても、息の根を止める方法は…」

「どうしてそこま…っ!」

私は反射的に彼女の問いに反論してしまった。
しまったと思って急いで口を塞いだけど、もう遅い、声は発してしまった。
こちらに近づいて来る気配がある、もう居場所はバレたということだろう。

でも、むやみやたらにした攻撃が校舎にあたってしまうよりは幾分かマシだ。

…私に間違いない…

彼女はそう言った。
肝心なところは聞こえなかったけど、探してる人物がいて…それが私だったということはわかる。
でも、私には探される心当たりがない。

せめて、なんで自分がそうなのかわかれば…

「理由は?こんなことする理由は何?」

「知ってどうするの?死にゆくあなたに教えても無意味じゃない」

「…私「が」狙いなの?だったらむやみに攻撃するのはやめて」

「…」

私がそう答えると、彼女は少しだけ沈黙して
でもしばらくすると、クスクスと笑いだした。

「自己犠牲のつもり?美しいわね。
だけど、そんなことで攻撃はやめないわよ」

「どうして?」

「あなただけじゃないもの、用事があるのは…
それに…寂しいじゃない。」

「さみしい?」

それが、こんなことをする理由?
でも…それにしては、目的が漠然としすぎている。
今の状況を文章にすると『寂しいから、攻撃をしている』と言うことになる。

間違ってはいない…確かに誰かを傷つけることは、時にさみしさを埋めることがあるのかもしれない。
でも、さみしいは理由になり得ても、目的にはならない。
攻撃をして誰かを傷つけることは行動、行動を起こすためには、目的が必要…
『寂しいから、〇〇のために攻撃をしている』となって、初めて一連の騒動に理由がつく
その〇〇…つまり目的の部分がすっぽり抜けている。

彼女は探してる人がいて…でも、それだと寂しいと言う理由に繋がらない、矛盾。
つまり、こんなことをする理由は、寂しいと言う理由につながる行動が…

「…あなたにわかる?暗闇の中、誰にも気付かれず、相手にされないで存在し続けるのは…とても辛いのよ」


暗闇?

ふと疑問が湧いた。

話を聞く限り、突然さっき生まれた存在ではなさそうだ
なら、彼女は普段どこにいるのか、そもそも彼女の存在は何なのか、

気がつかれない?相手にされない?なぜ?見えてない?用事があるのは私だけじゃない?
そして…寂しい…

そこまで考えて、ふと彼女の存在の正体と…最悪なシナリオが浮かんだ。

と、同時に彼女は私の目の前に現れてセリフの続きを呟いた。

「ねえ、いいでしょ?これだけ大勢いれば、寂しいことはなくなるわ」

そして、手の中に何か黒い光の玉を作り出し、攻撃の準備を始めた
彼女は私だけじゃなく、この校舎にいる全ての人間の命を奪うつもりだ。

「そんなこと…絶対だめ!」

「何をいっても無駄、力を持たないあなたに私は止められないわ」

そして、彼女は攻撃をする

その様子が、スローモーションのように、ゆっくり動いているように見えた。

彼女のいう通り、なすすべのないことを悟った私は目を瞑った。


『今です』

ふと、耳に誰かの声が聞こえた。

その直後、何かが光って、あたりを白い光が包んだ。

「な、なんだこの光は!?」

フードを被った彼女は、あまりにも明るい子の光に腕で顔を隠す
この光で身動きが取れないらしい

ということは、彼女の攻撃というわけではなさそう…
じゃあこれは…

私はふと保健室でのことを思い出し、スカートのポケットに入れた勾玉を取り出した
やっぱりあの時と同じ…また緑色に光っている。

「もしかして、何か関係があるってこと?」

なんて考えていると、その勾玉は次第に形を変えていった。

それが形になっていくと同時に、あたりの白い光はだんだんと収まり、
さっきまで暗かった校庭は、今朝同様快晴の明るさに戻っていた

そして、目の前には槍が現れた

それをみた彼女は


「なに…覚醒しただと!?」

ひどく取り乱した様子だった。

都合よく武器がこのタイミングで現れたってことは、きっとこれを使ってあれを倒せってこと?
とても助かるけど、槍の使い方なんて全くわからない

でも

「いや、どうせまだ力の使い方はわかるまい!
やることは変わらない!」

そういって彼女もまた少し形の違う槍を取り出し、私に向かってきた。
相手は戦う気満々だ。

私は慌てて、槍を拾い攻撃を防ぐとキンっと金属がぶつかる音が聞こえた

「…っ」

私を切ろうと武器を振り下ろそうとしている彼女の槍と、
それを止めようとする私の槍が、十字の状態で交差する

私と違って、向こうは武器の扱いにも慣れている上に力も強い
このままでは私に勝ち目がないのは明白だった。

「押してダメなら…」

私はわざと力を緩めて、攻撃を受けないように脇にそれる
彼女は必死すぎてそのことまで頭が回らなかったのか、力を入れたままだったので
前にそのまま倒れる

その隙を狙って、攻撃すればと背後に回り今度は私が彼女にむかって攻撃するけど
初めて扱う武器を思い通りに使えるわけもなく
また反撃を食らう

やっぱり武器があるだけで勝てるほど、世の中は甘くないか…。

むやみに振り回すだけじゃ、切り傷一つつけられない。

反撃を防御してカキンッという武器がぶつかる高い音が何度か響く。

なかなかに好戦的な相手の攻撃を防ぐので精一杯、攻撃するチャンスは致命的な傷を負ってないのは奇跡…いや、もしかしたら手加減してくれてるのかもしれない

でも、それですら今の自分では勝てない

「覚醒したからどんなものかと思えば、結局その程度…大したことないな!」

「きゃっ!」

私は彼女の攻撃をもろに受けて体が壁に衝突し、その衝撃で槍を落としてしまった。

なんとか一撃くらい食らわせないと、またいつさっきまでのような謎の光線を出して校舎に攻撃するかわからない。

自分にも、そういう攻撃とか技が出せればよかったんだけど…いや、武器が突然現れるなんて奇跡が起きたくらいなんだし、使えないことはないのかもしれない…でも、使い方がわからない。

その前になんとかしないといけないのに…

彼女が何かを喋りながらこちらに向かって歩いてくる、ダメージを受けて私が動けないうちに、とどめでもさすつもりだろうか…

今ここで諦めたら、誰も何もできない、

だって、大人に頼んだところで、彼女を、彼女がやっている行動を、誰も見ることができない。

見えない未知ものへの解決はほぼほぼ無理、

「これでようやく、自分の仕事に戻れる…対して力もないくせに、手間をかけさせないでちょうだい」

そして向こうは武器を振り下ろした。

焦って私は、近くに落とした槍に手を伸ばし、とっさにそれを振り上げ防御しようとした。

防御が上手くいけば、さっきまでと同じような金属がぶつかる音が、失敗すれば体に攻撃が当たり激痛が走るはず…

私は十中八九防御は間に合わないだろうと思い、覚悟を決めて強く目をつむり、痛みに耐える準備を始めた。

でも…私の耳に届いた音は「バチッ!」という大きな音と「あぁあああ!!」という、彼女の大きな悲鳴だった。

「え…」

私は、それに驚き目をパチっと開いた。

そこにあったのは、予想していなかった光景だった。

さっきまで好戦的だった彼女は、大きな傷を負って、虫の息で仰向けに地面に倒れていて、私の手には…いつの間にか光っていた槍があった。

「いつの間に光って…というか…なんで光って…」

何があったの…私がやったの…?

…まぁ…いいや…

とにかく、また復活されて暴れられても困るし…とどめ…さしたほうがいいんだよね…

私は、彼女の元まで歩みを進め、刃を彼女に向ける

今…槍を彼女に突き刺せば、全てが終わる…

なのに…私の手は震えていた。

「どうしたの…とどめ…刺さなくてもいいの?」

「い…言われなくても!」

虫の息の彼女に煽られる、でも…できない

どうして?

怪しい力を使っているとはいえ、人の形をしているから…?

人の命を奪うことに躊躇してる?

でも、彼女は私にしか見えない、この人は人じゃない、躊躇する必要はない。

躊躇してたら…また…さっきみたいな…

わかってる…わかってるのに…

なんで…こんなに私は「怖い」って思ってるの?


「アハハハハハハハ!!」


突然、彼女は何かが破裂したかのように、大声で笑い出す。

ぐったりしているはずの彼女からそんな笑い声が出てきたことに驚いて、私は目を丸くする。

「本当に…甘いわね…こんな未熟者に負けるなんて…せめて誰か未知ずれに…」

その言葉と同時にさっきまでと同様、何か黒い光を作り上げた。

一瞬私は身を固めたけど、顔を向けている方向が私の方じゃない気がした

目次

前 ← 1話 3/5 次 一話 5/5