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たけのこ@マンガライターが2022年8月に読んで面白かったマンガ!

8月はDMMブックスにてセールが行われていたこともあって、結構冊数を読んだような気がします。
ま、そうは言ってもわたし1日に読める量には限りがありますので、良くても1日2冊くらいなものなんですけど。月に100冊とか読んでる人もいらっしゃいますから、世の中は広いものです。

さてそんな8月。
名刺代わりの10冊メーカーというものを見つけたので、それにのっとって細かく説明するのは10冊というかたちにしようかと思います。というわけでまずはそれをご覧ください。

そんな10冊がわたしの琴線にささった月でした。では細かくいってみましょー。


『ジーンブライド』

1巻の衝撃的な終わりかたがあって、2巻に手をだすときはちょっと躊躇しました。だってあの衝撃を超えるのって相当むずかしいじゃないですか。
だから2巻で「がっかり」とまでいかなくとも、「そこそこ」だったらどうしようと思ったものなのですよ。

結局、一番わたしのなかで気になっていたのは1巻から垣間見えていた「フェミニズム」というテーマをどこまで真正面からとらえているか、という部分だったように思います。

1巻ではかなり「女性の生きづらさ」が描きだされ、そこがイヤだったなんていう声も聴きました。こんなご時世ですから下手なことをいったときに世間様の反応も怖いです。
はたしてどこまで真正面から「フェミニズム」を描くつもりなのか。そんなハードルが勝手にわたしのなかに出来ていたわけです。

そして結論からいくと、期待以上でした。
真正面から「フェミニズム」を描く。それも「フェミニズム」を世界観のなかの仕組みのひとつとして組みこみ、「SF」として見せるというどこまでも力強くまっすぐで挑戦的な試みでした。
いや、このあたりは1巻の段階でもう見えてはいたんです。でも2巻を見るまではわたしのなかでは半信半疑の部分があったように思います。でもやっぱり真正面からぶち当たってきた。これはすごい。

わたしだったら今年の「このマンガがすごい」の女編1位は決定かなと思います。まあそんなこと言っておいて、さがしたらすぐ対抗馬が見つかるものですけれど(笑


『僕の心がチューと鳴く』

ネズミとかネコとかを出しておいて、シュールな話をするんでしょう……くらいのつもりだと思っていました。

フタをあけてみれば、親父が「俺はネコだ」と言い出すとこからはじまり、主人公も「自分はネズミだった」とか思いだす始末。比喩ではないんですけど、事実でもないんです。中身の問題なんです。
表向きは人間。でも中身はそれぞれネコだったりネズミだったり。他のひとからは普通の人間にしか見えないけれど、互いには動物に見える。そして次第にネズミとしての衝動に抗えなくなっていく主人公。

自分は人間。妻も子供もいる。でもそもそも「人間である」ってどういうこと?

かわいらしい絵柄で、ファンシーな雰囲気。にもかかわらず、そんな普遍的で根源的な問題をぶつけてくる。8月イチの問題作だと思いました。


『蟲愛づる姫君の結婚 〜後宮はぐれ姫の蠱毒と謎解き婚姻譚〜』

人気ライトノベル原作を、できるひとたちがよってたかってマンガにした作品。これは単純に好き!っていう感じです。

後宮ものとか歴史ものって基本的にわたし苦手なことが多いんです。でもこれは全員キャラもたっているし、とてもキャッチ―。「蟲ばかりを愛する姫」なんて、その情報だけでごはん3杯いけます。そのうえ性格が悪いなんて!(ほめてます

しかも主人公だけじゃなくて、周りをかためる人たちもすべからく性格が悪くて、だれも負けない。折れない。謝らない。最高です。


『ようきなやつら』

奇才、岡田索雲先生の短編集。たくさん妖怪のような存在が出てきて、最後にアベンジャーズみたいな感じになるお話です。実際にはかかれた順番は逆のようですが。

妖怪という形を借りているけれど、非常に人間っぽいといいますか。人じゃない姿を借りているだけで、逆に人間を深く表しているようなそんな印象をうけました。他の作品もなんか面白いんですよね。明確にどこがって言われるとよくわからない。このあたり正直、きれいに言語化できていないです。でも面白い。


『鍋に弾丸を受けながら』2巻

あぶない場所で食べるメシはうまい、ということで、この巻もドバイとかアフリカとかを飛び交っております。
単純においしそうでもあるのですが、その経験といいますか、過程も含めての料理であり料理マンガであるという感じが唯一無二です。


『神作家・紫式部のありえない日々』

平安時代の有名同人作家、紫式部さんを主人公にして彼女の著名作『源氏物語』が作られた裏側を描く。

平安時代の作家活動を現代の「同人活動」になぞらえるこの感じ。読み手の反応も現代における推しの作品を享受する人々のそれ。ちっとも合わなさそうなのに、すこし見方をかえるだけで意外とフィットするという好例です。
歴史ものであり、源氏物語ものであり、現代創作ものでもある。いろんな楽しみかたがある作品は輝いています。

そういえばこれは4月に出た作品なので、今回あげた10作のなかでは古いほうの作品ですね。


『隣のお姉さんが好き』

隣のお姉さんが好き。というだけの話ではあるんですが、それが面白い。

似ている作品をさらすのは良くないとはよく言うものの、これを好きな人はこれを好きだと思う。という感じで類似を出すことには一定の意味があると思っているわたし的には、『僕の心のヤバイやつ』をあげざるえません。

男の子の一人称というのが同じで、あちらは基本的に両想いで、こちらは片思い。それに主人公の自己肯定感としてはこちらは結構高い。そんな違いはあるものの、うまくいかない恋愛にやきもきする気持ちは同じです


『純猥談』2巻

仮に猥談BARに行ったら自分の猥談のひとつやふたつは話さねばならないのかと思うと、行きたくはないのですが、見ているだけでもいいなら行ってみたいものですね。

そんな感じの集まった猥談のなかから、エモくて後を引く、そして読後感のよいものが集まった今作は「猥談」と銘打ってはありますが、ぜんぜん卑猥な感じではなく、セックスもふくめた男女のやりとりが描かれています。そしてなによりもエモい!

エモってみんな好きなのにあんまり落ちてないんですよねエモ。わたしはフリーレンにもエモを感じますけど、この「エモ」の定義はなんなのでしょうね。郷愁……?


『ダンジョン飯』12巻

へたしたら次巻で最終巻くらいの勢いじゃないでしょうか。
しばらく前から大ヤマを迎えていましたが、かなり極まってきています。そんなシリアス一辺倒になりがちなところなのに、随所にはさまれるメシギャグの数々。このシリアスになりきれない感じがとっても好きです。

だってそもそもダンジョンに入って、持ちものを軽減するためには「そこにいるモンスターを食べたらいいじゃない」なんて人をくったような発想のマンガですから。実際に食っているのはモンスターですけど。
だからやっぱりどこか最後まで人をくった感じでいってほしい思いがあるのでしょう。次が気になるところですけど、なんだかんだもう2,3巻はいくんですかね。


『テラ麺』

これはぎりぎり入りました。

いや面白かったんです。ラーメン好きでラーメン食べ歩きをしていたら、意外とそこは宇宙人が進出していたりするのでした。そんな軽いSFみのあるラーメンマンガ。たぶんこの「軽いSF」というテイストがもともとわたしは好きなのでしょう。ラーメンも好きだしSFも好き。そんなわけでこのマンガもランクインとなりました。面白いよ。


というわけでの10作品でした~。いい作品ばかりですね。

その他

残りは軽くいきましょう。

『みなそこにて』は2巻も面白かったです。『ビバリウムで朝食を』どうかな、と思って読みましたけど楽しいジュブナイルアドベンチャーでした。青いタヌキのロボットは頭をよぎりましたけど。

『あかね噺』も順調に面白いですね。どんと来い落語ブーム。『天幕のジャードゥーガル』も歴史もの好きの人はマストでしょう。イランとかモンゴルとかその辺です。

で、相変わらず見事に不穏な『ミューズの真髄』は次巻3巻で完結予定。あと『君はスキノサウルス』もPOPで素敵でした。で、あと安定の『ダンダダン』。キモすごかっこいい。

そんな感じの8月でした!
今月もいい出会いがあるといいですね。


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