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私の「2021年コミックBEST10」たけのこ@マンガライター

今年もマンガを沢山読みました。

うえを見ればもっと沢山読んでいるかたも山ほどいるのですが、そういうことには目をつぶって、今年、私が読んだマンガから心に刺さったものを10本選んでみました。
新刊で、とかそういう縛りはなく、今年読んでいればOKというゆるい基準です。一応、順位はつけましたが参考程度だと思ってください。どれも大好きです。あとマンガ情報サービス「アル」の方でレビューを書いたものはリンクを添えさせていただいています。

ちなみにマンガのことは主にツイッターでしゃべっているので、よろしければそちらもどうぞ。

では行きましょう!

10位『うるわしの宵の月』

既刊3巻。『ひるなかの流星』『椿町ロンリープラネット』等でおおきな人気を博しているやまもり三香先生の最新作。

ヒロインは王子、ヒーローも王子。ありそうでなかったこの感じがとても楽しいです。というか尊い。正直、すでに人気の先生だし別に年1のランキングに入れなくても……と思ったのですが、尊みに負けて10位に入れさせていただきました。だって好きなんですもの。

9位『グッバイ・ハロー・ワールド』

高くて大きいのは確かなのですが、結局、電書で買って紙でも買ってしまった一冊。アルでも記事書きました

実現可能なテクノロジーを元にした近未来SF。北村みなみ先生のキャッチーな絵柄で、十二分に起こりえるであろう未来を描きだします。「SF」としても「マンガ」としても楽しめた一粒で二度おいしい作品。当たり前のようですが、これが別々の要素としてきちんと楽しめるということはあまりない気がします。

8位『私の息子が異世界転生したっぽい』

現在スピリッツではシバタヒカリ先生の作画により「フルver.」が連載中。その原作の方です。こちらは1冊で完結しています。

突然現れた元同級生は言います。「私の息子が異世界に転生したっぽいんだ」と。タイトルから異世界ものかと思いきやまったく異世界は出てきません。
荒唐無稽な始まりにいきなり心をつかまれ、でも共感せざる得ない部分があって、最後には泣かされる。1冊できれいにまとまっているので非常に読みごたえがあります。

「フルver.」の方はこちらを元にしているのでストーリーの大筋は変わらないと思われますが、かねもと先生の主導でいろんなエピソードを加筆しており何冊か続きそうな感じです。絵柄は「フルver.」の方が見やすいかと思いますし、ドラマのようにリアルな雰囲気ですので、そちらはそちらで良い感じです。

7位『ロスト・ラッド・ロンドン』

アルでは1,2巻のとき完結のときで2回も記事書いたんですけど、慣れてない感じがあってちょっと恥ずかしかったります。

今年の頭に1,2巻同時刊行。そして6月に3巻が出て完結となりました。
かっこいいんですよ。まず装丁がかっこいいし、キャラクターや背景などの絵柄もかっこいい。
話も最後までひりひりのクライムサスペンスで、バディもので、まー私のツボといいますか、好きなポイントが多すぎて困ってしまいます。たった3冊なんだから、迷わず買えよ買えばわかるさとかジャイアニズム満載な発言をしたくなる作品です。

6位フォビア

今年一番怖かったホラーです。
いや、ホラーというかタイトルのとおりこれは「フォビア」、つまり恐怖症のお話なんですよね。だからお化けが出てきたりはしません。
でもある考えに取りつかれてしまったり、それに固執してしまったり。そういう誰にでも起こりえる怖さをゴトウユキコ先生のひとクセある絵柄が見事に描きだしています。

正直、「閲覧注意」と言ってもいいレベルではないかと思っていますが、インパクトは十分ですし、怖いものが好きな人はどうぞ手に取ってみてください。

5位『生き残った6人によると』

大好きです。ゾンビ恋愛サバイバルアクション。

街に唐突にゾンビが発生。お約束にのっとってショッピングモールに逃げこむとそこに居たのは何人かの若い男女。外には相変わらずゾンビがはびこっていますが、そんなものはどこ吹く風。モールの中でくり広げられるのは好いた腫れたの恋愛談義なのでした。

沢山のキャラクターやいろんな要素をつめこみながらも、それをスッキリとわかりやすく描くことができる力量。その上、迫力のアクションも描ける。読んだとき、「あーアニメ化決まったわ」と思いましたが、前作みたいに3冊とかで終ってしまうと分量的にアニメはならないので、10冊くらいは出てほしいと願ってやみません。アルで書いた記事はこちら

4位『マーブルビターチョコレート』

いやあインパクト強くてですねぇ。

こちらも1巻完結の百合っぽいなにか。百合モノの話を書こうと思って書き始めたということのようですが、百合と言うよりも覚悟とか決意とか生き様とかそういう物語だと思っています。
pixivで出ていたものを先に読みまして、しばらくのちに単行本刊行。本編だけでも十分威力のある作品ですが、単行本のカバー裏やあとがきなどが物語を回収しており、二倍も三倍も楽しむことができました。そういう体験を含めて非常に満足度が高くこの順位となりました。

こちらもアルでも記事書いてます。ネタバレ踏まずに書くのがとってもしんどかった覚えがあります。

3位『ジーンブライド』

『ジーンブライド』は私、出た時期さえ良ければ「このマンガがすごい」の女編1位でもおかしくなかったと思っています。11月や12月の刊行はやはり不利ですね。

女性の生きづらさ問題をあつかったマンガかと思いきや、まったく違うSF的側面を見せてくる。1巻の作りは秀逸で、さらりと張りめぐらされた伏線をなんとなく読み飛ばしていると、最後に大きな謎を突きつけられ、伏線に気がつかされる。見事としかいいようがありません。
過剰に描かれる「女性の生きづらさ」という描写自体も、この物語を作るシステムの一環に過ぎないのではないかと思っています。

インパクト十分。先が楽しみな作品です。
アルで書いた記事はこちら

2位『ルックバック』

「このマンガがすごい」の1位ですし、ランキングに入れるのはやめようかとも思ったのですが、冷静に考えてやっぱり最初に読んだときにインパクトは回避しようがないなと。そして冷静に考えた結果、2位という場所になりました。

あまりにも強いストーリー。さまざまな考察を生む要素。セリフの変更騒ぎ。そんなものも含めて今年の代表作であることは間違いないでしょう。私は実は藤本タツキ先生のマンガは苦手だったのですが、この作品には本当に完敗しました。ぐうの音もでません。

1位『東京ヒゴロ』

というわけで1位は松本大洋先生の『東京ヒゴロ』にいたしました。

あの絵を見たときに、なんというか取りつかれてしまったんですよ。その迫力というか、怨念のような気概に。燃えさかる煌々とした炎ではないけれど、高い温度で強く燃える青い炎。そんなものに心を鷲づかみにされて逃げられなかったんです。

出版社をやめ新しいマンガ雑誌を作ろうとする編集者を主人公にして、編集者、漫画家のあきらめきれない執念のようなものが描かれいます。

ほらこのサムネの絵だけ見ても、明らかに歪んでるんですよ。
じゃあそれは間違いなのかと言われればもちろんそうじゃなくて、もうそういう「世界」というか。圧倒的に「世界」。「世界」がそこにある。

松本大洋先生の作品は結構好きですし、古いものはだいたい全部読んできましたが、ここまで引き込まれたのは今作が初めてでした。やはり漫画家と漫画編集者という、先生自身に近い存在を描いているからこそでる空気なのかもしれません。

派手でもありませんしPOPさも多くはないと思いますが、私にとってはどうしても目を離せない強い作品でした。


2021年のまとめ及びその他の作品

10作品選んでみました。みなさんの好きな作品も入っていましたでしょうか。

アルで書いているかどうかは、誰かに言われるわけではなく基本的に私が書きたい! と思ったときに書いているわけなので、最終的にここに残ったものの多くを記事にしているのはある意味当然でしょう。
書いていないのは他のライターさんが書いていたりとか、時間とかの物理的な問題で書いていない場合ですね。

10本選ぶときに、最初とりあえず面白かったヤツを……と思ってぬきだしたんですがその段階で結構数ありました。タイトルだけでも見ていってください。

『MADK』『海が走るエンドロール』『山田くんとLv999の恋をする』『虎鶫』『ファッション!!』『龍と虎』『今夜すきやきだよ』『たそがれにまにあえば』『北斗の拳 世紀末ドラマ撮影伝』『むこうぶち 高レート裏麻雀列伝』『ニャイト・オブ・ザ・リビングキャット すべてが猫になる』

などが最終的に私の琴線に残ったマンガたちでした。

何気なく入れましたけれど、今年一番コスパが高かったというか、満足度が高かったのはぶっちぎりで『むこうぶち 高レート裏麻雀列伝』です。

もうね。清水の舞台も倒壊するくらいのぶっちぎり加減。

なにせ買ったときはセールで1冊11円。55冊とかかってもわずかに600円程度。にもかかわらず、毎巻毎巻とてもおもしろく外れがなく就寝前に読むのに最適でした。まだ36巻を読んでいるので来年も楽しめそうです。

完全に2021年買って良かったものNo1です。よもやよもやですよ。

こういうベテランさんの書く長期連載マンガってほんとうに、ちゃんとずっと面白くてとまらなくなるので、大きなセールのときにはえいやーで買ってしまうのをオススメします。

では来年も沢山マンガを読みましょう!
まだ今年ありますけれど、とりあえず良いお年を!


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