私の2020年漫画BEST【エッセイ】【レビュー】【漫画】
というわけで、毎年アルさんにはいろいろお世話になっております。
正直『アルのライター』やってます!っていう肩書にも憧れあります。来年は挑戦してみようか。少なくとも真面目に検討はしよう。
そんなわけで、アルの企画『私の2020年漫画BEST』というのがあったので、これで一つ記事を書こうかと思います。というわけでBEST5どーん。
5本選ぶなら……ということで私が選んだのが
・blanc
・ダーウィン事変
・水は海に向かって流れる
・往生際の意味を知れ
・怪獣8号
の5本です。
どうしてもこういう形で年末に総括すると、最近読んだものが印象に残りやすいという問題はあるんですよね。そのおかげで『怪獣8号』と『ダーウィン事変』が入ってきた感はありますが、どちらもちゃんと面白い漫画であったことは間違いありません。散々悩んだものもあるのでそれは後から触れます。
ひとつひとつレビューしていきましょう。
◆『怪獣8号』(松本直也)
掲載紙『ジャンプ+』の未来をしょって立つ逸材。スパイファミリーとの双璧間違いなし。正直、度肝を抜かれました。絵、話、キャラクター、どれも素晴らしい。人気が出ない方がおかしい。
怪獣発生率が世界屈指の日本。この国は、容赦なく怪獣が日常を侵していた。かつて防衛隊員を目指していたが、今は怪獣専門清掃業で働く日比野カフカ。ある日カフカは、謎の生物によって、身体が怪獣化、怪獣討伐を担う日本防衛隊からコードネーム「怪獣8号」と呼ばれる存在になる。
松本直也さんという方を、全然存じ上げなかったので、いろいろ調べましたが、『ねこわっぱ』という漫画は、どこかで読んだことがあったようななかったような。
なんにしてもヒット作は初でしょうか。いやまだヒットと決まったわけではないのか。いや、これはヒットするよ絶対するよ。だって面白いもの……
『ジャンプ+』はいわゆるジャンプを母体にしたWEB誌です。
看板は今は推しも押されぬ『SPY×FAMILY』。少年向け雑誌かと思いきや、神尾葉子さんの花男の続き『花のち晴れ』とかもやっていたりしました。あと、いろいろ話題だった『とんかつDJアゲ太郎』もここ。面白いよ。
『ジャンプ+』は1話あたりのページ数や連載頻度の自由度が高いらしく、それが高いクオリティの作品作りにつながっているのでしょうか。
1巻はまだ導入で様々な謎が山積み。今後も楽しみな作品です。
◆『ダーウィン事変』(うめざわしゅん)
奇才、うめざわしゅん初の長編漫画です。
キャッチ―な絵とは言えないかもしれませんが、『パンティストッキングのような空の下』などですでに世間の話題をさらってきており、ここにきての長期連載には期待も膨らむばかり。
テロ組織「動物解放同盟(ALA)」が生物科学研究所を襲撃した際、妊娠しているメスのチンパンジーが保護された。彼女から生まれたのは、半分ヒトで半分チンパンジーの「ヒューマンジー」チャーリーだった。
チャーリーは人間の両親のもとで15年育てられ、高校に入学することに。
アメリカの話ということで、どこかバナナフィッシュを思い出させる殺伐とした空気。そして主人公は半分ヒト、半分チンパンジーという神をも恐れぬ存在「ヒューマンジー」。
これまで理解のある両親にひっそりと育てられてきたチャーリーだが、高校に入学したことをきっかけにまわりが騒ぎ出す。そしてチャーリー自身もすこしづつ変化していく。――生み出してしまったのは、人類の未来なのか、悪魔の権化なのか。
これで先が気にならない方がどうかしています。
これまでのうめざわ作品は、生々しくアクが強い感じ。個人的な評価としては、"稀有だけど取りつきづらい"というものでしたが、今作はかなり絵的にも見やすいですし、話もすっきりかつどっしりしていて、広く読まれる力のある作品です。オススメ。
◆『往生際の意味を知れ』(米代恭)
前作『あげくの果てのカノン』で、狂気の片思いを描いたと思ったら、今作でもやってくれました。前作でもあれほど狂っていると思ったのに、今作の方が全然狂っています(ほめてます。
元カノ教の敬虔な信徒と化していた主人公・市松海路(いちまつかいろ)の前に、7年前に失踪した元カノジョ・日下部日和(くさかべひより)がある日突然現れる。
よりを戻したいわけでも、セックスがしたいわけでもない。彼女の要求は、「出産記録を撮って欲しい」、そしてそのために「市松君の"精子"だけが欲しい」の2点。狂気の関係性迫られた市松の決断は……
冒頭でも触れましたが、前作も相当でしたが今作は相当どころの話じゃありません。
何分前作はSF要素があったおかげで狂気が和らいでいた気もしますが、今作は今のところ怪しい怪獣とかは出てきておらず、純然たる男と女の物語。精子を欲しいだけの女と、その女に恋する男の狂った恋愛劇です。
そのうえ、単なる狂気だけじゃなさそうな空気も出てきていてもう読んでいるこっちは振り回されっぱなし。毎回楽しい限りです。
単独でレビューnoteも書きました。
◆『水は海に向かって流れる』(田島列島)
去年の「この漫画がすごい」のランキングもすでにいいところにいますね。そして前作『子供はわかってあげない』も傑作。私、もはや信者みたいなものなのでまともな評価ができません(笑
高校への進学を機に、おじさんの家に居候することになった直達。だが最寄の駅に迎えにきたのは見知らぬ大人の女性の榊さん。
高校1年生の直達を加えた男女5人での一つ屋根の下、奇妙な共同生活が始まったのだが、直達と榊さんとの間には思いもよらぬ因縁が……。
ずっと単品のレビューも書こう書こうと思って、下書きにあっためてあるんですけど、いつまでたっても仕上がらないんですよね。
思いれが多すぎてどこを切り取ったらいいのかよくわからないせいと、あとは「ここがいい!」と言い切れるほど田島漫画って単純じゃないからだと思います。
微妙にして繊細。そして力強い成長の物語。
そんな作風だと思っています。これに関しては、レビューどうこうじゃなくて、まあ一度読んでくださいよアニキっ……みたいな気分です。存在の尊さに筆力が負けています(笑
◆『Blanc』(中村明日美子)
悲しいような嬉しいような、キンドルが出ていない。
BLです。アニメ化も果たした金字塔「同級生」シリーズの最新作にあたります。
私、なんでもかんでもBLいけますってわけじゃなくて、昔の方が寛容だった気もしますし、そもそも玉石混合っていう話もありますけど、とにかく好きなものも嫌いなものもあります。
でも明日美子さんの今作はホントどれも胸をうたれますし、とても素晴らしいです。実は明日美子さん自体が昔は苦手でしたが、いつの間にかいけるようになりました。
まあこれに関しては完全に私的に好き。という感じなので最後にご紹介いたしました。
◆『その他』
5つ選んだうえで正直これは外したくなかったのは、特にこれ。
『かげきしょうじょ!!』です。
まあでも今年、完結でも今年開始でもないし……長期連載というわけで割愛。単純に好きだった漫画、という観点なら確実に入れていました。
宝塚を目指す、宝塚音楽学校の女の子たちを描いた群像劇。努力・根性・涙・友情。とかかくとまるでジャンプみたいですけど、どこまでも少女漫画の技法でこれをやられると本当に迫力があります。すき。
あとは、年末に短編集を出してきたイトイ圭さんの作品。
『ナインストーリーズ』
前作の『花と頬』も良かったですが、これも素敵。
短編集だけあって、大満足!とまではいかない作品が多いんですけど、どれもすごく惹きつけられます。カメラアングルかなぁ。とても自由で、空気の切り取り方が好きです。はかない線で描かれるキャラクターなんかも好み。
はやく次回作が読みたい、と強く思わせてくれる短編集でした。
noteにもいますねイトイさん。
あともう一つ。ひそかに楽しみにしているのがこれ。
『JKハルは異世界で娼婦になった』です。漫画の方。
もとは平鳥コウさんがなろうで連載していた作品ですね。小説が出たときにも結構話題になりました。
そのコミカライズなんですけど、絵が非常に上手い。山田 J太さん『王様ゲーム』のコミカライズの作画とかを担当してますね。ファンタジー物って絵面がバタバタしがちだと思うんですけど、どこまでも見やすくて楽しい。
一筋縄ではいかない原作の魅力を余すところなく伝えているいいコミカライズだなぁと思っています。
異世界レビュワーズがアニメになれたんなら、この作品がアニメになっても何の問題もあるまい、という気もしますがまあ媒体ごとにも色々ありますからね。色々。
あと個人的に好きだったものはタイトルだけ置いておきます。
『怪異と乙女と神隠し』
『16bitセンセーション 1 私とみんなが作った美少女ゲーム』
『金曜日はアトリエで』
『SPY×FAMILY』
『九龍ジェネリックロマンス』
『自転車屋さんの高橋くん』
『スーパーベイビー 』
『女の園の星』
と、いくつか挙げてみましたが、私はまだ今年の『この漫画がすごい』を読んでおりません。というか14日発売なので今日の段階(R2.12.12)ではまだ出ていません。
どうせそれ読んだら、これも読んでないアレも読んでない、ということになりますので、あげる漫画もだいぶ変わってくる可能性は大いにあります。
今のところ流れてきてる情報からすると1位はチェンソーと、女の園の星だそうですね。まあ順当。他の名前が聞こえてくるのもまあ順当。そして、そういうものじゃなくて、何それ知らないぞ? というものをまたさらっていくという。
年末はお金がかさみますね。
皆さんもどうぞ良いお年を(気が早い
#漫画 #レビュー #コンテンツ会議 #アル #うめざわしゅん #ダーウィン事変 #イトイ圭 #怪獣8号 #往生際の意味を知れ #水は海に向かって流れる #田島列島 #中村明日美子 #blanc #私の2020年漫画BEST #マンガ #この漫画がすごい #エッセイ #コラム