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相地
2019年9月13日 19:30
この街では、月が満ちては欠ける夜半に、笛の音が聴こえる。 奏者が自分の存在を強調するように、その音はどこまでも伸びていく。夜には無い影の代わりに、この街を通り越してどこまでも。 初めてそれを耳にしたのは、小学校に上がったばかりの頃。 当時は地元のニュースに取り上げられるほど、その現象は注目された。月夜になると、たくさんの人が外へ出ていき、だれもが耳をすませていたのを覚えている。人で溢れ