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未来を探索するノウハウと共創するスキルを活かし、新規事業開発を一歩前へ

DIC株式会社様:産総研デザインスクール4期生・上村憲一郎さん、6期生・山下太輔さん、新事業統括事業企画部・伊勢恵子さん

産総研デザインスクールの修了生・現役生の活躍を紹介するnoteマガジン「​​AISTDSアンバサダー」。今回は産総研デザインスクール校長・小島がデザインスクール4期生(2021年度)の上村憲一郎さん、6期生(2023年度)の山下太輔さん、そしてお二人を産総研デザインスクールへ派遣されたDIC株式会社の伊勢恵子さんと対談し、受講を通しての学びやご自身の変化について伺いました。

左から産総研デザインスクール校長・小島一浩
新事業統括本部 サステナブルパッケージングビジネスユニット 
P-1プロジェクト 上村憲一郎さん
新事業統括本部 サステナブルエネルギービジネスユニット 
A-3プロジェクト 山下太輔さん
新事業統括本部 新事業統括事業企画部 伊勢恵子さん


新規事業創出のヒントを求めて、産総研デザインスクールへ

小島一浩(以下、小島):早速ですが、お二人が産総研デザインスクールへ参加した理由を教えていただけますか?

上村憲一郎さん(以下、上村さん):私は新規事業を創るノウハウを体系的に学びたいと思ったことがきっかけです。私は元々営業職として働いていて、新規事業開発に取り組み始めたのは現在の部署に異動してからです。新規事業をつくりたい思いはあっても、方法がわからず悩んでいました。

そんなときに産総研デザインスクールのことを知り、ここなら新規事業を創るヒントが学べるのではないかと思い、参加を決めました。

山下太輔さん(以下、山下さん):私は新規事業を創るために、実践的なプロトタイピング方法を学びたいと思って参加しました。また今後管理職を目指していきたいと思っていて、まだ自分に足りていないスキルやマインドセットを産総研デザインスクールで培いたいと思ったことも大きな理由です。

小島:伊勢さんは産総研デザインスクールに受講生を送り出していますが、受講生に対してどのような期待を持っていますか?

伊勢恵子さん(以下、伊勢さん):課題を探して、問いを生み出していける人材が増えて欲しいと思っています。DICは会社の方針として、経済価値と社会価値の両方を追い求めていくことを掲げています。なので今後の事業も経済価値だけではないところで創っていきたいと思っており、そのために課題や問題を発見する力が重要だと考えています。

そのため受講する方に産総研デザインスクールで問いを生み出す型を習得してもらい、その人が起点となって新規事業を創っていけるのではないかと思っています。

先が見えないなかでもチームで前に進み続ける

小島:産総研デザインスクールは体験型の学びに重きを置いていますが、お二人は受講中に印象的に残っていることはありますか?

山下さん:プロジェクトを進めていく過程がとても印象的でした。会社のプロジェクトだと最初からアウトプットが決まっていることが多いですが、産総研デザインスクールはその逆です。チームも取り組むテーマも自分たちで決め、最終成果物も自分たちで設定し発表する。最終的なゴールが見えないなかでプロジェクトを進めていくプロセスはとても新鮮でした。

上村さん:私は最終成果物に関する議論をした瞬間が印象に残っています。最終成果物の形式を話し合っていたとき、できる限りいいものを届けたい人と、締め切りを意識しながら落とし所を見つけたい人が対立してしまって。意見がなかなかまとまらず、苦しかったですね。

小島:そういった場面は会社で共創プロジェクトを実行する際に、よく起きそうな局面ですよね。当時はどう乗り越えたのでしょうか?

上村さん:デザインスクールでは、チーム結成時に「グランドルール」と称したチーム内の基本ルールを決めます。私たちのルールは「ひとりも置いていかない」だったので、全員が納得できるまで対話を続けました。

納期や成果物の質にはこだわりたいけど、一番はグランドルールを優先するというチームの共通認識があったことで、最終的には全員が納得したアイデアを発表できました。

小島:最初にチーム全体で共通認識をつくったことで、衝突しつつもプロジェクトを前に進めていったのですね。素晴らしいです。

受講中から学びを実践し、「働く」と「学ぶ」を両立させる

小島:産総研デザインスクールは8ヶ月間の長期プログラムです。本業との両立が難しいときもあったと思いますが、お二人はどのように両立をしていましたか?

山下さん:受講中は毎週金曜日が受講日だったので、それ以外の勤務日で同僚とより密にコミュニケーションを取っていました。

また本業やプライベートに支障が出ないよう、産総研デザインスクールのプロジェクトに取り組むときは、その都度ゴールを明確にしていました。産総研デザインスクールで学んだ「I DO ART*」というフレームワークを使い、その場の目的を整理することで、議論を先延ばしにしないように気をつけていましたね。

※I DO ART
ミーティングなどの場をファシリテートするときに使うフレームワーク。Intention(目的)、Desired Outcome(期待する成果)、Agenda(アジェンダ)、Roles & Rules(役割とルール)、Time(時間)の頭文字をとっており、ファシリテーターが目的に沿った場を形成するツールとして活用されている。

小島:受講を進めるうえで、周囲の理解を得ることも非常に重要だったかと思います。上村さんはどのように周囲とコミュニケーションをとっていましたか?

上村さん:受講期間中から学びを会社で示すようにしていました。僕がデザインスクールを受講しているとき、所属部署でイノベーション活動が始まりました。そこで僕が産総研デザインスクールの学びを活かす機会として、チームビルディング活動を担当することになったのです。

具体的には、月に1回チームメンバーが集まる月報会に「チームビルディング活動」として2時間ほど事業アイデアを議論する場を設けました。そして僕がデザインスクールで学んだ対話のマインドセットを共有しながら、場をファシリテートしていきました。

当初はメンバーが困惑していたのですが(笑)、継続していくうちに意見を出してくれるようになり、建設的な議論につながることが増えてきました。

この取り組みは現在でも続いており、今年で3年目になります。受講中から実践できる機会があったから、デザインスクールでの学びを復習する機会にも繋がりましたし、周りに自分が学んだことを示せたことで理解を得られていたと思います。

小島:素晴らしいですね。デザインスクールの学びは言語化しづらいと言われることもあるので、体験型で会社に還元するのはとても効果的な方法だと感じました。

会社の利益と自己実現を両立できる環境をつくっていきたい

小島:ここまで産総研デザインスクールの学びを振り返ってきましたが、受講を通して自分が変化したと思うところはありますか?

山下さん:私はアプローチ方法が見えない課題に対する実践力が向上したと思います。たとえば、わからない問題に出会った時、まず知っていそうな人に聞いてみるようになりました。明確なアプローチが決まっていない課題にも、自分から糸口を掴みに行く実践力は身につきましたね。

上村さん:私は産総研デザインスクールで学んだ事業開発のノウハウを自分で言語化できるようになりました。自分がきちんと8ヶ月間学んできたことが自信に繋がり、会社でも躊躇せず伝えられるようになったのは大きな変化だと思いますね。


小島:お二人の変化を伺えて嬉しいです。ここからは伊勢さんにお伺いしますが、お二人の上司や周りの方からお二人の変化は聞いていますか?

伊勢さん:上村さんのチームビルディング活動は部署内でも評判になっています。最近では、チーム内での議論からアイデアの実行までを上村さんがリードしてくださっていると聞いています。プロジェクト全体にいい影響を与えているといっても過言ではありません。

山下さんの上司からは、山下さんが新しい事業を開発する取り組みが一層積極的になり、他のチームメンバーにもいい影響を与えていると聞いています。

小島:伊勢さんはお二人のお話を聞いて、今後どのような方にデザインスクールを受けて欲しいと思いますか?

伊勢さん:今までのお話を聞いていると、デザインスクールでは問いを設定するメソッドだけでなく、チームビルディングやコミュニケーションスキルの学びも深められると思います。新規事業開発を学びたい人だけでなく、今後管理職を目指している方をはじめ、リーダーシップが必要だと感じている方に受けて欲しいと思います。

小島:ありがとうございます。最後に、山下さんと上村さんの今後の展望を伺えますか?

山下さん:産総研デザインスクールで得た知見を実践し、職場のメンバーに広げていきたいと思っています。そして、自己実現をしつつ会社の利益になるような活動を積極的にしていきたいです。

上村さん:会社が掲げている目標と働いている人の志を繋げていけるようになりたいです。会社が掲げているものと従業員の志を繋げていくことはできると思うし、その方法は産総研デザインスクールで学べたと思っています。今自分が取り組んでいるプロジェクトを支えていきながら、メンバーの志を会社の志を繋げていく存在になりたいです。

小島:お二人の今後の活躍がとても楽しみです。今回はありがとうございました!

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