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私は女で、好きになる対象の大半は女性だった。

私は、同性愛者だ。
正確には、自分の性は女で、男性も女性とも付き合ったことがある。 でも、両性愛者というには、少しバランスが偏っていると感じている。

小学生の頃は、同年代の友人たちと同じ様に、「足が速い」「誰にでも話しかける盛り上げ役」など、クラスで少しかっこいいとされる男の子をかっこいいと思っていたし、好きな人を聞かれてその相手の名前を挙げることもあった。
でも、私はそれと同じ様に、「いつも笑顔」「元気」な女の子も、可愛いなあとよく思っていた。後から気付いたが、これはもしかしたら男の子が女の子に感じている気持ちに似ていたのかもしれないな。


初めて女の子に恋をしたのは、中学1年生の頃だ。幼稚園や小学生の頃のふんわりとした恋心を除けば、初恋だったと思う。
初めて嫉妬や、友達とは比べられない一緒にいる楽しさや、嬉しさを感じて、好きだと嫌でも実感した。
でも、その頃の私は、自分でも友達への感情なのか、恋愛なのか確証も持てず、母親が同性愛をよく思っていない事、世間から見たらおかしなことという、自分の中に偏見があったんだと思う。
そのため、これは恋ではなく友情だと何十回も自分に言い聞かせていた。

恋愛相談をきいて、応援して、恋をしている好きな人を間近で見て、友人の男の子とお付き合いするところ、幸せそうな惚気話を聞いて祝福していた。そして、家に帰って、どうしようもなく苦しくなって涙を流していた。
好きな人の事を話してくれる、可愛い笑顔や幸せそうな姿をみられる嬉しさ、でもどうしようもなく悔しくて、心のもやもやが溢れていた。


その後何度も似たような経験を繰り返して、相手は全て女の子だった。それでも認められない自分がいた。

認められない部分もあり、また、男性を絶対好きになれないと思った事がないのも理由だったかもしれない。人気な男性俳優やアイドルを見れば、かっこいいなと思うし、身の回りでもかっこいいと思う男性はいた。
いいな、くらいには感じる。この人なら付き合ってみたいかもな。でも、女性に感じたそれとは雲泥の差があった。

私は今大学生だが、これまで好きだと言ってくれた男性何人かと、お付き合いした事がある。
しかし、いつも決まって4か月を待たずして自ら別れを告げていた。
付き合って1か月程度は、好きだなあと思っているのだが、ある程度経つとドキドキもなくなり、一緒にいてもなにより楽しいと感じなくて、相手の嫌なところを探すようになり、好きで無いなと思うようになってしまう。

今思うと、新しい人と恋の始まり、初めてする事へのドキドキだったから、すぐに消えてしまっていたのかなと思う。本気で好きになりきれていなかったのかもしれない。
でもその当時は、付き合って別れるを繰り返すたび、友達の恋愛話のように彼氏を好きになりきれない自分は、本気で人を好きになれない人間なのでは無いか、と思うようになる。
また、彼氏がいる間も、隙を押し殺したつもりの友人のことが気になってしまうことさえあった。


そんな事を続け、例の如く4か月に満たずに彼氏に別れを告げた大学2年生の春、男の人を好きになろうとするのをやめた。
1度、女の子と付き合ってみたい、と思った。
潜在意識として、自分はやはりどうあがいても男性では好きになりきれないかもしれないなと思ったからだ。

そうして、セクシャルマイノリティのコミュニティに少しずつ参加して、そこの繋がりで、元恋人と知り合った。
自分の好きの感覚も、求める気持ちも、嫉妬心も、全てが初めてだった。
みんなが彼氏の話をしていたときにあんなに悩んでいたのは、こういうことか!と負に落ちた。
付き合う事ができ、3か月、4か月、1年と過ぎても、好きがなくなるどころか、どんどん増して行った。幸せを感じると同時に、私でも人を好きになれるんだ、という安堵感もあった。

女性の恋人ができた事がきっかけで、親しい友人にカミングアウトするようになった。嘘をつくのが嫌になったのと、単純に幸せで大切な人に出会えた事を友人には伝えたくなったからだ。
初めて話した日、口から心臓が飛び出るんじゃないかと思いながら打ち明けた。
友人は「え!素敵じゃん!何で教えてくれなかったの!詳しく!!」と予想の裏側をくるリアクションであった。否定はされずとも、もっと驚いてフリーズすると思ったからだ。

その後も親しい友人と会うと、カミングアウトしていったが、リアクションがうすかったり、喜んでくれたり、まず驚いてフリーズしたり、と反応はさまざまだが、偏見の眼差しを向けられることは一度もなかった。
私は凄く友人に恵まれていると思ったと同時に、思っていた以上に世界は優しいんだなと知る事ができた。

カミングアウトは、絶対したほうが良いものでもないし、しなければならないものでもない。
私個人は、気にかけてくれる友人に嘘をつくことや、話ができない事が苦しかったので、カミングアウトする事で、凄く気持ちが楽になって、生きやすくなった。
男の人を好きになろうとしたり、彼氏が欲しいフリをしたりする必要がなくなった。

今。私は、「絶対に男の人を好きにならないだろう」とは思っていない。
単純に、性別関係なく恋愛対象として好きになる可能性はあるけれど、その中で女性に対して惹かれやすいだけだと思っている。
例えば、濃い顔と薄い顔どちらが好みか、というレベルの違いだ。

本気で好きになる幸せを知った今、もう自分に嘘をつくのはやめようと思えたことがとても嬉しい。


私が本気で好きになった人の話
「記憶の中でさえ愛しい人」
https://note.com/aiserutokimade/n/n105994f3bdde

好きな人との別れ、noteを始めた理由
「私が私を愛して幸せにできるその日まで」
https://note.com/aiserutokimade/n/nbeb763a64f38


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