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仕草のキュートさにきゅんとくる。駅で出会った「まるこめくん」のお手伝い。

もう随分と前のこと。

当時のわたしは、利用者が多い駅で、お困りだった視覚障害をお持ちの方をお手伝いする機会が何度か重なっていた。
そういう小さな交流は好きだし、とっさに身体も動く方だと思っている。

とはいえ帰宅時に沢山の人がいる中で、誰も手助けしないさまに、それぞれのご事情を思いながらも、少しずつやるせなさが積もっていくのを感じていた。

あるとき、駅で視覚障害をお持ちの方が、地元の駅のホームを歩いていた。
電車の乗り換えに手間取っている様子だった。

その日はなんだか機嫌も良くなくて、やっぱり周りの方がスルーしているように見えて不覚にもイライラしてしまった。

「またか、、、」と思いながら近づこうとしたら
さ~っとかけよる坊主の少年がいた。白のシャツに黒のズボン。
制服だろう。随分小柄だけど、中学1年生くらいかな。

彼は、まだ少し高い声で
「お手伝いしましょうか」
と言った。了解をとって手をとって、車両まで案内をする姿を
コマ送りで伝えたいくらいちょこちょこっとしていて、とても気遣いに溢れていてキュートだった。

無事、役割を終えて振り返った彼に、わたしは自分でもびっくりするくらいの満面の笑顔になって大胆にも「いいね」をしたような気がする。

彼は案内をしていたからエスカレーターの列には並びそびれていた。
つい「おいで」と呼び寄せたら、遠慮してたけど、前の段に乗ってもらった。ペコリとしてくれた。

上りきったとき、またペコリと今度はほぼ90°で挨拶をしてくれたのが、なんだかすごーーーーくぎゅっとしたくなるくらいかわいかった。
だからわたしもまた、いつもより大きく笑って手を振った。

今日、「ゆきっくは何かやりたいこととか、やってることある?」って聞かれたから答えたんだけど、その子のことも思い出した。わたしの中の「まるこめくん」。小さな一瞬だけど、自分にとってなんだか大事な出来事なんだよなぁ。


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