CEO白坂流 今昔特許明細書の書き方―特許請求の範囲の3つの形-

株式会社AI Samuraiの代表取締役社長で、弁理士の白坂です。今日は、特許請求の範囲の3つの書き方について、ご説明します。

特許請求の範囲(クレームともいう)は、「技術的範囲(特許法第70条)」を定める最も重要な部分ですので、審査や審判、訴訟において、大切な特許発明の真意を把握するため、技術的にハッキリさせることと、明確にする必要があります。

そこで、特許請求の範囲は、3つの書き方がありますので、説明します。

(1)中心限定形

これは、ドイツ発祥といわれていますが、発明の新規とするところに焦点をあて、その新規の部分を押し出したような形でかきます。ジェプソンクレーム(Jepson Claim)といわれることも多いです。カメラを例に記載しますと、

例えば、・・・・に関するカメラであって、・・・・することを特徴とする・・・カメラ。

といった感じです。改良点が明確に打ち出されていて、わかりやすいですよね。ただ、前提概念である「・・・・に関するカメラであって、」の部分は、発明が出発点としている先行技術を要約したものを記載します。

 そういう意味で、この前提概念は、公知文献としてみなされるものを記載したほうがよいです。


(2)周辺限定形

 アメリカ発祥といわれていますが、イギリス、カナダ、オーストラリアもこの記載で出願をされることが多いです。現在では、要素羅列型といわれることもあります。

 周辺限定形のクレームは、発明対象物の全体を構成する要素を列挙して、その間の有機的関係を明記する形です。

 例えば、・・・・なレンズと、・・・な液晶と、・・・な制御部とを備えた携帯電話

 というような書き方です。

 これは、裁判などで権利範囲が争われたときに、クレームをできる限り拡張して解釈しないように、比較的安全に、特許発明の技術的範囲を把握できるようにすることができるようにしております。そのような意味では、中心限定形とは真逆の記載方法であります。

(3)混合形

 中心限定形や周辺限定形との混合形であります。前提概念に相当する部分を周辺限定形でかいたり、特徴部分を中心限定形で書いたりとするパターンであるが、これの例は割愛する。これとは別に発明の内容を構成要件毎に分けずに、書き下したものなどもある。

 AI Samuraiでは、これらのどの形であっても、クレームを構成要件毎に分けて、先行文献との比較を示すクレームチャートを自動生成します。日本語入力しても、日本特許、米国特許、中国特許も検索できるのがウリです。また、どこかの機会でご紹介できればと思います。

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執筆者プロフィール

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白坂一
防衛大学校理工学部卒業。横浜国立大学院環境情報学府修了。富士フイルムを経て、特許業務法人白坂を設立。2015年、(株)AI Samuraiを創業し、代表取締役社長に就任。弁理士、国家試験 知的財産管理技能検定 技能検定委員、北陸先端科学技術大学院 先端科学技術研究科・博士課程在学中。




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