環境安全科学その7 廃プラスチックリサイクル

そういえば、廃プラスチックに関してもやったな。

今回の講義で、興味を持ったのは、廃プラスチックに関することである。廃棄物処理において、現在、プラスチックは、PETボトル事態だけではなく、そのラベルなど、様々なところに存在している。

そのため、プラスチックの廃棄方法の検討は、急務だと考えられるため、非常に興味を持ったので調査を行なった。

(1)プラスチックは安定品目なのだろうか?
(1-1)講義での内容
今回の講義によると、廃プラスチックは安定品目に属しており、雨水等により有害物が環境中に溶け出さないといわれていたということである。

この根拠は、プラスチックの主成分は、有機物の高分子材料(ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリスチレンなど)であるため、水には溶けにくいと考えられる。

ところが、実際は、有害物が溶け出すという現状にあるとも講義中に言及されていた。これはどうしてなのだろうか?

(1-2)プラスチックの実情
実際のプラスチックは、様々な状態で用いられる。

例えば、プラスチックのボックスなど硬いものもあれば、ラベルのように、紙のように柔らかいものまで存在する。

これらの違いは添加物の違いだといわれている。前者の性質を出すには、硬化剤が必要であり、後者の性質を出すには可塑剤が必要であると考えられる。

また、可塑剤や硬化剤には、特定の温度域でプラスチックの機能を出せるように、熱硬化性や熱可塑性を持たせるケースも存在する。このような様々な用途のために添加される薬剤は溶け出さないのか、いや違う実際は溶け出す。

(1-3)ゴミの処分場の浸出水
プラスチックゴミの処分場の浸出水を調べたところ、以下の物質が検出された。

それは、アニリン、リン酸トリス(2-ブトキシエチル、2-クロロエチル、2-クロロプロピル)、p-tert-ブチルフェノール、ベンゾチアゾール、1.4-ジオキサン、2,6-ジ-t-ブチル-1,4-ベンゾキノン、リン酸トリエチル、フェノール、ベンゾフェノン、ビスフェノールA、2,4-ジクロロフェノール、リン酸トリブチルである。

この結果から気になることは、以下の二点である。一点目は、リン酸エステル類とフェノール類が高頻度かつ高濃度で検出されたことである。二点目は、1,4-ジオキサンが高頻度かつ高濃度であることである。

(1-4)プラスチックの添加物
リン酸エステルやフェノール類は、しばしば、安定剤として、プラスチックに用いられてきた。フェノール類の中にあるビスフェノールAは塩素基を持つホスゲン(WWⅠで開発された毒ガス)を反応させることで、ポリカーボネート(熱可塑性プラスチックの一種)と塩酸を生成することができる。これ以外にもエポキシ樹脂にも用いられる。

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           図1 ポリカーボネートの反応

また、難燃性を持たせる可塑剤として、図2のようなリン酸トリクレシル(TCP Tricresyl Phosphate)と呼ばれるリン酸エステルが用いられる。TCPはゴム製品などに使用される。

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           図2 リン酸トリクレシル

このように、プラスチッキの中には、添加剤が含まれており、これらのような添加剤が水に溶けだすことが知られている。そのため、プラスチックの中には、廃棄物として長期保存をするのに不向きなものがある。

(2)プラスチックの廃棄法
廃プラスチックをなるべく早く使用する方法として、リサイクルが挙げられる。

(2-1)プラスチックのリサイクル
プラスチックのリサイクル法として、プラスチックを破砕し、再成形して使用するマテリアルリサイクル、ポリマーをモノマーまで戻すリサイクルであるケミカルリサイクル、そして、燃焼させ、その熱を利用するサーマルリサイクルの三つがある。特に私はサーマルリサイクルに興味があるため、以下サーマルリサイクルに関することをまとめる。

(2-2)RDF(Refuse Derived Fuel:廃棄物固形燃料)
サーマルリサイクルをする際に、効率よく燃やすために燃料を作製する必要がある。そこでRDFと呼ばれるものを作る必要がある。そのためには、廃プラスチックを固形圧縮する固形燃料化する方法と紛体にして燃焼をさせる粉体燃料化の方法そして熱分解してガス燃料化するガス化の方法のいずれかをする必要がある。RDFのメリットとして、品質が安定であること、熱量の制御が可能であること、高カロリーであること、操作性が良いこと、ボイラ等の燃料炉における排ガス対策が用意であること、他燃料に比較して経済性があること、そして、環境にやさしいことが挙げられる。

その一方で、廃棄物が原料なので発熱量にばらつきがあること、固体燃料は他の燃料に比べ、大きな貯蔵スペースが要すること、灰の処理費が高いこと、安定的な需要先の確保が困難でありこと、RDFを燃料として使用するためには有償で買い取る必要があること、そして、専用のボイラおよび燃焼器が必要であることがデメリットとしてあげられる。

(2-3)私が考えるプラン
RDFを利用して火力発電の燃料にできないか考えている。特に、家庭用の燃料として使えないか考えている。

(3)参考文献
[1]安原昭夫,小田順子 著”地球の環境と化学物質”,三共出版
[2]竹本喜一 著,”高分子材料科学”,丸善株式会社
[3]草川紀久 著”よくわかるプラスチックリサイクル”,工業調査会

今回は、少し検討事項があるので少し続ける。

(4)火力発電所に関する検討事項
(4-1)専用のボイラに関する検討
(4-1-1)RDFに関する取組-アトラスサイロ
三重県でアトラスサイロを用いたRDF発電所を建設し、稼働していたことは記憶に新しい。ごみ焼却所からのダイオキシン類の排出量が問題になり、国際公約を守るために、高温焼却炉(24時間連続炉)として稼働していた。

RDFは長期間保存すると、水分などの影響により、嫌気性細菌の作用によるメタンなどの可燃性ガスやRDFに含まれるアルミニウムなどの両性金属と水の反応による水素が発生するといわれており、放置すると発熱し、爆発につながるといわれている。

そのため、速やかにRDFを用いる必要があるのだが、アトラスサイロの場合、用いることができなかった。この原因として、サイロ内にRDFが蓄積したことが原因とされた。通常はRDFが中央の穴の部分から落ちていくのだが、穴が開いていないところに、図3のようにゴミが蓄積する。しかも、炉に近いほど、古いRDFが蓄積されやすくなる。その結果、古いRDFで反応を起こしたと考えることができる。

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           図3 サイロ内のゴミの蓄積

(4-1-2)アトラスサイロに関する改良案
アトラスサイロの改良法として、RDFの落とす穴の位置を定期的に変更する必要があるのではないかと考えられる。今までの中央に空いている穴以外に、図4のように四分円の床が定期的に動くことで、底の部分のゴミを完全に落とすことができるようになるのではないかと考えられる。

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               図4 改良型穴

(4-2)RDFの供給先に関する方策
かつて、夢の島など様々な埋立地に、家電製品が埋め立てられた。ある材料系の御三家などが、こういったところから、レアメタルなどを取り出すことを検討しているといわれている。この流れに乗り、プラスチックなどの有機物が入手できないか考えている。

例えば、冷蔵庫や洗濯機などにはプラスチックが用いられているが、家電リサイクル法ができる前は、ほとんど、リサイクルされることなく、埋め立てられていたという。これらを埋立地から引っ張り出し、プラスチック部分を洗浄、乾燥することでRDFを作製できるのではないかと考えられる。

(4-3)RDFの作製プロセス
(4-3-1)杉並病との関連
RDFの作製プロセスに関し、気になることが数点ある。特に圧縮プロセスに関するところである。この箇所では、プラスチック同士摩擦が生じる。近年、東京の杉並区のプラスチックゴミの圧縮工場から正体不明の物質が発生し、健康被害に招いているという。そこで、RDFの作製プロセスにおいても同様の問題は生じないのだろうか?

(4-3-2)杉並病に関する実験
 近年の気候変動のことも考えると温度条件を変化させ、廃プラスチックの挙動を調べる必要があるのではないかと考えた。まずは廃プラスチックを圧縮し、それをガスクロマトグラフィを用いて、プラスチックゴミを潰して、ガスの発生を抽出し、ガスを分析する。

ちなみに、ガスクロマトグラフィーは以下のようなものである。

この時に、この圧縮装置を断熱材で囲み、その後、秋葉原で買ってきたヒーターを用いて、温度を変化させ、温度によってどのような生成物ができることを調べる。

その一方、プラスチック内に、水素などの金属を混ぜ、どのくらいの割合を混ぜることで、杉並病の原因を特定するだけでなく、水素など可燃性ガスが派生するのか調べることも検討すべきではないかと考えられる。

こんな感じのことを書いたな。

それにしても、廃プラスチックの問題は未だに解決されていないな。

結局、プラスチックの使用量を少なくする必要があるのだろうけど、でも、今は、廃プラスチックが多いので、それをどのように処理するかを考える必要があるなとも思う。

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