環境安全科学その3 水銀の有用性と代替材料

今回の講義は水銀に関することとその材料に関する話だった。

今回の講義の中では、水俣病に関することを学んだ。その中で、毒性のあることを除けば、水銀は非常に多岐に渡って有用なものだった。そこで、水銀に関して調査をした。

(1)水銀の性質と弊害
水銀の性質として、最も、工業的に有用であったことは以下の三点である。

一点目は、常温で液体であること、二点目は、比重が大きいこと、三点目は、金属との合金を生成しやすいことである。特に、金属と水銀は合金を作製しやすいため、しばしば、工業的に有意なものだとされてきた。

ところが、水銀、特に有機水銀は体内に吸収され、蓄積されると毒性が発揮されるといわれている。症状として、中枢神経、内分泌器、腎臓などの器官に障害をもたらし、口腔、歯茎、歯にも損傷を与える。

また、妊娠した女性が水銀に被爆した場合、障害を持った子供が生まれることがあるといわれている。

(2)水銀の用途
水銀は以上の性質から、様々な分野で有用な物質として使われてきた。その例として、消毒薬と保存剤と農薬、金のメッキと灰吹き法、触媒などが挙げられる。

(2-1)消毒薬と保存剤と農薬
水銀は、殺菌作用があることから、薬も使われてきた。以下三つの薬について述べる。

一つ目は、メルブロミン(merbromin)と呼ばれる薬剤である。これは、皮膚の傷の殺菌や消毒に用いられる局所殺菌剤である。メルブロミンは、有機水銀二ナトリウム塩化合物であり、複数のベンゼン環とカルボキシル基とヒドロキシ基やエーテル機をもつフルオレセイン骨格をもつ構造である。メルブロミンの水溶液であるメルブロミン液は暗赤褐色の液体である。商品名でマーキュリークロム液、俗称赤チン(赤いヨードチンキのようなもの)と呼ばれている。

二つ目は、水銀を少し含むチロメサール(エチル水銀チオサリチル酸ナトリウム)と呼ばれる保存剤が存在する。これは、医療で使う、ワクチンの内容物の変質を防ぐために、ごく少量水銀を添加していた。

三つ目は、酢酸フェニル水銀とアルキル系水銀である。この二つは、農薬であり、以下のような用途で用いられていた。
酢酸フェニル水銀は、イモチビョウキン胞子が稲の葉に到達することで、黄褐色の斑点が生じ、葉が先端から枯れるという、いもち病を予防するための散布剤として用いられた。アルキル系水銀は、種子消毒や土壌殺菌に使われていた。

このように、水銀は、殺菌作用を活かし、消毒薬、保存剤と農薬として、公に用いられていた。また、この三つ以外にも、密かに、堕胎薬としても用いられていたといわれている。

(2-2)金メッキとアマルガム法
水銀は金メッキや、金や銀の抽出法に利用されてきた。

金メッキの歴史と手法は以下のとおりである。西暦752年に奈良で大仏が完成したといわれている。同時に、原因不明の疫病が流行ったといわれている。この原因の中に、奈良の大仏の金メッキの際の水銀による害があったのではないかと考えられている。

まず、金を取り出すときや金メッキの際に、金と水銀の合金(アマルガム)を作製し、その後、水銀を蒸発させるという方法がとられていた。水銀の沸点は約350℃といわれており、金の融点は、約1000℃といわれている。そのため、炭火で、水銀を蒸発させ、金だけを表面に残すことができるといわれている。

金や銀の抽出法として、アマルガム法と呼ばれる方法がある。それは、以下のとおりである。金や銀の鉱石を水銀に溶け込ませ、アマルガムを形成させる。その後、約350℃で熱すると、水銀が蒸発させ、金や銀を析出させる。

(2-3)触媒
硫酸水銀などの水銀塩は、アセチレンからアルデヒドを生成するための触媒として用いられていた。

かつて、酢酸を生成するために、アセトアルデヒドを酸化するという方法が用いられていた。アセトアルデヒドを生成する方法として、アセチレンを加水分解させる必要があった。

この時、触媒として、水銀塩が用いられていた。水銀塩の水銀部分で二重結合または三重結合の華僑構造になる。水の付加と同時にその架橋構造は切れ、そこにヒドロキシ基がつくといわれている。

(2-4)その他
白熱灯(水銀灯)の発光体や水銀リレーなどに用いられている。

(3)水銀に対する対策
このように、様々なものに用いられていた水銀だが、現在では、水銀による弊害もあり、物質を代替している。

水俣病で問題になったアセトアルデヒドに関する製法であるが、これは、最近では用いられなくなってきた。最終的にほしいものが、酢酸なので別の手法を用いている。例えば、ロジウム触媒を用いることで、メタノールをカルボニル化反応させ、酢酸を生成するという手段がとられている。

殺菌剤や防腐剤で使われていたチロメサールに関しては、防腐剤を添加しないことやチロメサールフリーな防腐剤を用いているといわれている。

水銀灯は発光効率の問題もあり、LEDなどに徐々に代替されているといわれているが、レアメタルフリーなど新たな課題があるといわれている。

#環境 #メモ #安全 #熟成下書き #レポート #科学 #水銀 #代替材料

この記事が参加している募集

よろしければサポートをよろしくおねがいします。