環境安全科学その6 ダイオキシンについて

今回はダイオキシンに関して。昔は、小学校でも、焼却炉を使って自分のところで、燃えるゴミ(ざっくり言って、のちに、燃やすゴミという分類になった。実際はプラスチックと分けたり、紙類と、いろいろと分類される。)を燃やしていたという時代もあったらしいが、これが出てから減ったと言われていた。

今回の講義では、ダイオキシン類に関することを主に学んだ。そこで、今回のレポートでは、ダイオキシンに関する詳細と生成過程ならびに生成抑制に関することをまとめた。

(1)ダイオキシンに関する概略
(1-1)ダイオキシンとは?
まず、ダイオキシン(PCDDs)とは、炭素、水素、酸素、塩素からなる有機塩化化合物の一種である。正式名称はポリ・クロロ・ジベンゾ・パラ・ジオキシンである。この分子の構造は以下の図1のとおりである。

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     図1 ポリ・クロロ・ジベンゾ・パラ・ジオキシンの分子構造

図1のように、2個のベンゼン環が2個の酸素で結合している構造である。

この骨格は炭素と結合している水素が塩素に痴漢されたものがPCDDsと呼ばれるものである。

PCDDは、塩素の付く位置により、異性体が生じ、毒性も大きく異なる。特に、以下の図2のように2,3,7,8の位置に塩素が付いた場合は異性体、即ち、テトラ・クロロ・ジベンゾ・パラ・ジオキシン(TCDDs)の場合は、最も毒性を発言すると言われている。

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     図2 テトラ・クロロ・ジベンゾ・パラ・ジオキシン(TCDDs)

このTCDDsの性質は、以下の表1の通りである。

               表1 TCDDsの性質

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表1より、この物質は300℃以上で気体になり、700℃以上にならないと分解しないことがわかる。また、塩基性物質にも、酸性物質を用いても、この物質を反応させることができない。

そして、強い酸化剤かUV(310nm)を用いない限り、この物質を分解させることはできないことがわかる。

なお、水に対して、ほとんど溶解せず、クロロベンゼンなどの有機溶媒には溶解する。また、微生物でもこの物質を分解することはできない。この物質の最小致死量は以下の表2のとおりである。

             表2 最小致死量(μg/kg)

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表2は、体重1kgの生物(対象物はモルモットだが、重さを60kgの人間に換算している)に対し、薬剤を投与することで死亡する最小の重さを表したものである。

表1によると、2,3,7,8-TCDDはサリンの1/10の量で殺すことができるため、毒性はサリンの10倍であることがわかる。

(2)ダイオキシンの発生過程
現在、ダイオキシンの発生に関して、特に課題になっているのは、ごみ焼却の際に発生することである。例えば、ごみ焼却物を占めているものの中で、リグニン(木材の主成分、構造は図3のような多数のベンゼン環を持つ網目構造のようになっている)とセルロース(植物の主成分、紙)などが熱分解することで、ベンゼン環を持った有機化合物ができる。これが、塩素と反応すれば、クロロフェノールを経て、PCDDsを生成する。

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   図3 セルロース(左)とリグニン(真ん中)とクロロフェノール(右)の構造

(3)ダイオキシンの抑制に関する取り組み
ダイオキシンを抑制するため、素材開発や生ゴミのバイオ処理技術やダイオキシンを白色腐朽菌と呼ばれる菌でリグニンを分解することなどが行われてきた。

今回は、素材開発に焦点を当てようと思う。

まず、1997年に従来の素材と異なるラップが用いられるようになってきた。従来は、塩化ビニル製のラップが用いられてきた。

しかし、1997年を境に「ポリオレフィン」を用いたラップが登場した。ポリオレフィンは、ポリエチレンやポリプロピレンなどの総称である。塩化ビニルを用いたラップはポリオレフィン系の素材のものよりも、強度が強く、はがれにくいと言われてきた。

しかし、塩素の官能基を持つために、焼却の際にダイオキシンがでることが多かったといわれている。そのため、ポリオリフィン系の素材やその添加剤など研究を行ない、はがれにくいラップを作製した。また、レンジに対応できるように、高温下でも使用することのできるラップの開発が行われ、現在では、ポリオリフェンのラップも用いられている。

(4)参考文献
[1]藤木良規 著, ”猛毒ダイオキシンと廃棄物処理”, 丸善株式会社

それにしても、ダイオキシンが問題になってから、ハイスペックな焼却炉ができたとか言われていたが、現在はどんな感じになっているのだろうか・・・?

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