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手紙⑤ 病気を持つ子どものご両親へ 「一緒に」 *16


子どもは大人が思っているよりも
ちゃんと大人のことが見えていて
大人が思うよりずっと、いろんなことがわかっていて
気持ちを察しています

その小さな胸をぱんぱんにして
身近な人のことを思いやっている
そして、純粋がゆえに傷ついている

どうして自分が病気になってしまったのか
自分を責めている

“みんなと違う” “普通じゃない” と
病気と日常の事、小さな胸に抱えきれなくなる時もあります

だから助けてあげてください

どんどん押し寄せる痛みやツラさで
思いどおりにならないと
あきらめてしまいます

いろんな出来事が降りかかるばかりで
自分で選び取ることができなかったり
好きなことができなかったりする子どもは
自分の気持ちが、わからなくなってしまいます

小さなことでいいのです

ベッドの脇に飾る花の色は、何色がいいのか
食べたいアイスは、バニラなのかチョコなのか

聞いてみてください

不自由な思いをしているだろうからと
たくさん与えるばかりでなく
「自分の好き」が増えるように
好きな色を考えたり
好きなものが何か考えたり する機会を
あげてください

「どうでもいい!」「知らない!」
って言われたら
“余裕ないんだ” ってわかりますし

そんな時は、お父さんやお母さんの
好きな色や、好きな味を教えてあげてみてください
「私はバニラが好きだから、バニラを買ってくるね」
「あなたも好きか一緒に食べてみよう」

1日のなかで、痛みやツラさに奪われる時間がほとんどで
自分の気持ちに目を向けることができなくなってしまうから

自分が分からなくなってしまうのです

そんな時に「一緒に」と寄り添ってくれる人がいれば
自分の気持ちを考えることができるのです


判断をするのが親の責任だと
考えを押し付けることは、どうかしないで

一緒に答えを探してください

もちろん、命に関わる判断は
子どもには、とてもできないけれど

今、起こっていることを伝えて
どんな気持ちでいるかを
聞いてあげてください
何が一番ツラいのか、イヤなのか
何をして欲しいのか
日々、病気の波にのまれて、混乱しているから

一緒に考えてあげてください


“してあげなきゃ” が先行して
本人の気持ちを置き去りにしていませんか?

お父さんお母さんだけが、抱え込む必要もないと思うのです

お子さんと一緒に考えてみませんか?

大丈夫です
子どもは本当によく親の様子を見ています
本当によく親のことを察しています

自分の子ども時代を思い出してください
親との小さなことを覚えていたりしますよね?

子どもは、ちゃんと自分のことも、親のことも
分かっています



人生は自分でコントロールできるのだと教えてあげて欲しい
小さなことから、自分で選びとることができると気づかせてあげて欲しい



病気で親や周囲の期待に応えられないと思うから
「大丈夫」と言ってしまう
元気を装ってしまう

でも、自分の病気を受け止められずに
本当は心を痛めている

元気じゃないです
傷ついていない訳ないです



そして

お父さんお母さんも、一人で抱え込まないで
お子さんと「一緒」に
誰かと「一緒」に

難しいかもしれませんが、助けを求めてほしいのです

寄り添ってくれる人がひと時でもいれば
ひと呼吸おくことができるのではないかと思うのです



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