井上 陽

浄土真宗僧侶。大学教員。専門はインド仏教。フィールドに出るのが生きがいみたいなもの。趣…

井上 陽

浄土真宗僧侶。大学教員。専門はインド仏教。フィールドに出るのが生きがいみたいなもの。趣味は冒険的旅行と、様々な国の料理を作ること。好きな言葉は「愛念愛思苦胸次/詩文忘却無一字/唯有悟道無道心/今日猶愁沈生死」(一休)

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【レポート】韓国国立中央博物館特別展「스투파의 숲,신비로운 인도 이야기(ストゥーパの森:見知らぬインド物語)」(執筆中)

2024年2月15日,韓国国立中央博物館(ソウル特別市)の企画展示室で開催されている「ストゥーパの森:見知らぬインド物語」展(開催期間:2023年12月22日〜2024年4月14日)に行った.このnoteはその時の記録である. 1. 概要2023年12月22日から2024年4月14日まで,韓国国立中央博物館は特別展「스투파의숲,신비로운인도이야기(ストゥーパの森:見知らぬインド物語」を開催している.これは,ニューヨークのメトロポリタン美術館で開催された「Tree and S

    • 命にかえてまでも…

      イギリスの歴史学者アーノルド・J・トインビー Arnold Joseph Toynbee(1889-1975)は彼の旅行記『オクサスとヤムナーの間 Between Oxus and Jamnar』において、歴史によって変化するもののと前置きしながらも、地理的条件において文明にはおよそ2種の型があるの述べている。ひとつは文明が交錯する「十字路」であり、もうひとつが文明が吹き溜まる「袋小路」である。そして、「十字路」の代表的地域がアフガニスタンだと語っている。後者の代表例は日本で

      • ある路上生活者のこと

        ◆◆ 1 ◆◆ かれこれ7年ほど前のことになるだろうか…。 路上生活者支援を始めたころのことである。 ぼくの先輩でもあり、姫路のあるお寺の住職から路上生活者支援をやらないかという誘いがあり、断る理由も、ためらいもなく、それほど深刻な思いもなく、ごく誘われるがまま、路上生活者支援を始めた。その頃は、現在の場所ではなく、JR大阪駅前で行っていた。もともと教会の牧師さんが始めた活動であった。 もちろん、支援を始めたころは戸惑いもあった。彼らからするといきなりよそ者がやってき

        • お前のその夢は誰かを幸せにできるのか…

          〈1〉 昨日(10月5日)の夜、畏友(enju)とのコラボツイキャス「端くれ坊主ラジオー」の中で話した「お前のその夢は誰かを幸せにできるのか」について書こうと思う。 ちなみにこのコラボツイキャスは畏友の誘いで、なんのオブリゲーションもなく、世間のこと、人間のこと、宗教のことを気軽にお坊さんが語ろうという設定のものである。特段に有名でも、高僧でもない普通のお坊さんが普段何を考えているのか、何を話しているのか、その舞台裏を見せようという「楽屋ネタ」の公開番組である。 昨日の

        【レポート】韓国国立中央博物館特別展「스투파의 숲,신비로운 인도 이야기(ストゥーパの森:見知らぬインド物語)」(執筆中)

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          ガネーシャがミルクを飲んだ⁉︎

          1995年9月21日のことである。その数日前、カルカッタ(現コルカタ)から電車で2泊しながらボンベイ(ムンバイ)を目指していた。ボンベイの北に位置するヴィドゥヤヴィハールにあるソマイヤ大学に行くためだ。しかし、インドの電車は冷房がきつく、さらに長旅とあって少し体調を崩していた。  少し体調も回復したころに、遅れていた調査を再開しようと、ローカル電車を乗り継ぎ、カーネリー石窟の調査に出かけた。前2世紀から後8世紀まで開鑿された仏教石窟である。知的好奇心を踊らせながら調査を続けた

          ガネーシャがミルクを飲んだ⁉︎

          「真実」について

          インドの首都ニューデリーに行くと、ほぼ立ち寄るところがある。モーハンダス・カラムチャンド・ガンディー(1869-1948)、つまりマハートマ・ガンディーが暗殺されたすぐそばにある記念碑である。その碑には彼が最期に遺した言葉「He Rām(おお、神よ)」が刻されている。 ガンディーについては多くを語る必要はないであろう。もし、あまりイメージを持てないようなら、映画『GANDHI』を観てもらえたらよいかもしれない。冒頭の葬儀は圧巻だし、長い映画ではあるが、観て損はしないだろう。

          「真実」について

          NHK歴史秘話ヒストリア「法隆寺 1400年の秘密」に寄せて

          2月19日に放映されたNHK歴史秘話ヒストリア「法隆寺 1400の秘密」は縁あって、その制作を耳にしていた。 この番組で登場した西岡常一氏(1908-1995)は「最後の宮大工」称され、聖徳太子建立の法隆寺の再建に従事したことでも知られているだろう。 われわれ研究者には耳の痛いことであるが、「学者は様式論です。…あんたら理屈言うてなはれ。仕事はわしや。…学者は学者同士喧嘩させとけ。こっちはこっちの思うようにする」というように、現場でたたき上げられた知見で、ことごとく研究者

          NHK歴史秘話ヒストリア「法隆寺 1400年の秘密」に寄せて

          はじめまして

          Facebookはほぼ利用せず、もっぱらTwitterにつぶやいていましたが、140文字の世界にはそれなりの意味はあると思いつつも、そこには表現できない事をここにつらつらと綴ってみようと思っています。と言っても、日々の雑感が主になるかとは思いますが…。何卒、ゆるりとお付き合いのほどを…。

          はじめまして