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「真実」について

インドの首都ニューデリーに行くと、ほぼ立ち寄るところがある。モーハンダス・カラムチャンド・ガンディー(1869-1948)、つまりマハートマ・ガンディーが暗殺されたすぐそばにある記念碑である。その碑には彼が最期に遺した言葉「He Rām(おお、神よ)」が刻されている。

ガンディーについては多くを語る必要はないであろう。もし、あまりイメージを持てないようなら、映画『GANDHI』を観てもらえたらよいかもしれない。冒頭の葬儀は圧巻だし、長い映画ではあるが、観て損はしないだろう。

さて、その彼が語ったことで、もうひとつ好きな言葉は「Satyam eva jayate(真実こそ勝利する)」である。「satya 」は「真実」意味する語で、パーリ語仏典においては「sacca-kiriyā」としてあらわれ、「真理の作用」「真実の働き」を意味し、「厳粛なる宣誓、宣言」などと翻訳される。

サンスクリット語の「satya」と日本語の「真実」の意味する概念は必ずしも完全一致するわけではないが、古来インドでは、「真実の力」に対する信仰というべきものがあり、「真実」を語り、それを実践することは何よりも「功徳」に関わる「力」であると考えられてきた。

ガンディーが語った「真実こそ勝利する」もそれを受け継いでいる。こういうところはインドを見習いたくなるところで、忖度や同調圧力には意味がなく、「真理」や「真実」にこそ意味があるということであろう。

久しくインドも訪れていないので、また行きたくなってきた。ガンディーの記念碑にも…。

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