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感情を殺すことと、感情を挟まないことは違う

Tomokiです.気がついたらあらゆることがスムーズに進むようになった.AIの発展も相まって,着想から実装までの速度がかなり高くなった.こうなってくると,今までの経験の数だとか勉強量よりも相対的にいかに軽やかさ新しい事に取り組めるかが重要になってくる気がする.もちろん,経験や知識量も変わらず重要だ.しかし,その経験の積み方や知識の重ね方がかなり早くできるようになった.軽やかな人は,臆する事なく新しい場所に足を踏み入れて,多くを経験できるし,多くの新しい知識を得ることができる.それがかなり加速された世界に入ってきた.そんな世界をうまく飛び回るために大切な,軽やかさを保つ事について考えてみた.

仕事に感情を持ち込まないは正解だろうか

昔からよく言われてきたのが「仕事に感情を持ち込むな」という言葉だ.我々は社会のシステムとして滞りなく機能する歯車だ.一人一人の気まぐれな感情でシステムを止めたりしてはいけないという形だ.それは確かに理に適っている気がする.

しかし,それも行き過ぎるとチャップリンのモダン・タイムスのように,機械のように正確で無感情で合理的すぎる働き方になってしまう.それはあまりに味気なく,精神をすり減らす働き方だ.
仕事で知り合う人々はそんな役割だけの歯車でしかないような味気ない関係なのだろうか.僕はそれにずっと違和感を感じてきた.顧客だろうが仕事仲間だろうが,同僚や提携先の社員さんだろうが,人と人との関わり合いだ.そこには想いやりだったり,楽しさだったり,何か暖かなものがあっても良い気がする.

しかし一方で,モチベーションが湧かないからだとか,失敗を恐れるがあまり,全く進捗が生まれないのも仕事として問題だ.誰かの感情論にプロジェクト全体が振り回されたり,遂には進行不可能になってプロジェクト自体が頓挫してしまうのは避けるべきだ.感情を押し殺して仕事をするのではなく,かといって感情に振り回されない為にはどうすればよいのだろうか.

感情の波を作らない

それにはまず,感情の波を作らないことだ.自分で勝手に作った壁や恐怖心や不安感情というものが,自分でも知らず知らずのうちに歩みを遅めていたことに気づいたのが最近の僕の収穫物だ.やってみれば実は大したことではないことも,色んな悪い想像を巡らすうちに,どんどん恐怖に呑まれていってしまう.そんな恐怖を乗り越えて挑戦して何かを成し遂げた瞬間は,確かに大きな喜びがあるかもしれない.大きなドラマを作り出すことができるかもしれない.しかし,それはかなり疲弊する状況を自分で創り出してしまっている.プロジェクトの内容そのものではないところで創造性を使ってしまっているようなものだ.

そういった刺激的なストーリーテリングをしたいのならば,それも良いことかもしれない.しかし,それで自分の精神が疲弊してしまって,次なる挑戦へと足が赴かなくなってしまうのであれば本末転倒だ.そういったドラマは自分自身が創り出していた,大きな壁は自分が創り出していたと気づければ,逆にもっと穏やかな気持ちで取り組むことができる.そういった恐怖心がないならば,軽々とした気持ちで足を踏み出せるはずだ.そういった感情の波を作らず,凪のような穏やかな気持ちで創造することが,最も創造性の高い状態を作れるのかも知れない.

最近の自分はそういったドラマを極力無くしてきた.高揚するようなワクワク感を入れず,ただ涼しい風が優しく吹き抜けるような感覚で,当然のように物事がうまく運んでいく,そんな感覚のときがもっともスムーズにことが進んだ.実は大して難しいことではなかった.自分で難しく考えてしまっていたようだ.そんなスムーズな感覚を当たり前のものとして享受できると,それは本当に自然の法則かのように,ただ当たり前に目の前を通り過ぎていく.それは当然の結果なので,多幸感もないが絶望に打ちひしがれることもない.しかし,そんな状況に満足感を覚えるようになった.

感情を挟まない=自我を入れないということ

こうやって初めて気がついたのは,感情を挟まないとは感情を殺すということではないということだ.感情を挟まないのは,自分の自己顕示欲や承認欲求などのエゴを入れないことだったのだ.自分が周りにどう見られたいか,どういう立場を築き上げたいかということを度外視して,自分の心がいかに穏やかにいられるか考えることだ.感情を挟むとは,感情ベースで物事を決めることだ.つまりは,自分の感情にコントロールを奪われて揺さぶられてしまっているわけで,我を失っている状態だったわけだ.自我を入れるということは我を失うということという結論になったのは,どこか皮肉で面白い.そんな自己破壊的な夢を見ていたということにようやく気づいた.

うまくいかない現実も,絶望感も,それを乗り越えた達成感や,高揚感も,全て僕らの創造性が生み出したストーリーなのだ.プロジェクトの成果物や内容だけではなく,そのプロジェクトの過程にさえも僕らは少なからず創造性を使っている.もし,プロジェクトをもっと面白くて良いものにしたいのなら,過程ではなくプロジェクト自体に創造性を費やした方がきっと良いものができる.それならば,プロジェクトの進行にいちいちドラマを作る必要なんてないはずだ.なぜならば,そのプロジェクトの内容自体が輝かしい結果を示してくれているのだから.だからこそ,自分の感情を凪のような穏やかな状態を保って,感情を挟まないで物事を進めることがきっと重要なんだ.


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