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海外臨床医を目指す君たちへ

割引あり

【はじめに】


このNOTEは、海外臨床医に興味を持つ若手の先生向けへの提言やアドバイスをまとめたものです。
昨今、特に2024年4月に始まった医師の働き方改革もあり、海外に来たいという先生方からの問い合わせが本当に増えています。

海外の働き方というと、多くの先生が考えるものとして米国への留学あるいはその留学から派生した数年間の勤務ということが一般的だったように思います。少なくとも私が研修医の頃はそれを目指している同期・先輩後輩がちらほらいて、それぞれ行く理由は様々でしたが、多くの方が研究や自己研鑽のために行かれるということが多かったように思います。その海外での働き方に、新しく皆さんにお伝えしたい選択肢、それが「アジアなどを含めて、別の地域で臨床医として働く」という選択肢です。

かつてJapan as No.1と呼ばれた時代から時がたち、日本の国力が世界的にみて相対的に衰え、今やJapan was No.1といわれる時代。お金持ちだった経済大国日本は残念ながらなくなってしまったと思います。今の若い先生方は驚くかもしれませんが、私が世界中を放浪していた20年前、当時はニューヨークもロンドンも、東京と同じか、あるいはものによっては東京より物価が安かったと記憶しています。もちろん日本の文化・教育などいまだに世界に誇れる素晴らしいものもたくさんありますが、経済的な面に関しては、もはや隣国の中国・台湾・韓国にもかなわないほどまで来てしまいました。20年前は明らかにこれらの国と差がありましたが、もはや経済的には追い抜かれている状況なのは、海外に出るとよくわかります。失われた30年もさることながら、コロナの影響もあったでしょう。この辺りのことは議論しても埒が明かないのでここでは取り扱いませんが、いずれにせよこのような変化が訪れたことで「外貨を稼ぐ必要性が増した」という新たな環境が生まれたかと思います。

もちろん、皆さん医師になったきっかけや動機はそれぞれかと思いますが、海外で臨床をやってみたいという方でも国外に出てくる理由も様々です。冒頭に述べたように、日本の超絶忙しい病院生活に疲れてしまった先生、高齢者医療に嫌気がさした方もいれば、純粋に海外へのあこがれがあって日本を出る方もいらっしゃいます。理由はそれぞれあって構わないと思いますし、高い志を持って研究者になりたいという方もいれば、憧れで海外に出る人、海外の医療に貢献したい人、すべてが立派なきっかけや理由だと私は思います。そしてそれに加えてお金を稼ぐために、特に時間と給料の両立つまりは家族との時間が欲しくて日本を出る方もいる、そういう時代になってきたのではないかと思います。お金だけの理由で海外に行くことになるのは個人的にはあまりお勧めしませんし、前向きな理由で国を離れるようにはなってほしいと思いますが、それでも現実問題として選択肢の1つとしての海外移住は日本に生活する医師にもより身近になってきたのではないかと思いますし、そうならざるを得ない苦しい環境であることも事実かと思います。

そのようなニーズにこたえるため、ベトナムで医師をしている私は多くの先生からお声掛けいただき、個別にコンサルティングを行ったり、実際に医療機関をご紹介したりと、日本の医者とベトナムの医療機関をつなぐことを現在行なっております。実際にお金をいただいてコンサルティングをし、医療機関から良い条件を引き出したりすることはもちろん、海外での生活に関するアドバイスやお手伝いも含めていろいろやらせていただいています。
ただ、外国に行くとなる場合、東南アジア諸国から必要となるのは即戦力。シンガポールは近年の国力の強さもあって研修・留学・研究の選択肢が現れるかもしれませんが、基本的に東南アジア諸国は発展途上国が多く、これからまだまだ国として成長することが見込まれています。そして中にいる人々も成長に対して貪欲ですし、何より先へ先への精神が強いです。そういった国は、基本的に日本を含めた先進諸国の人材を即戦力あるいは国への貢献をしてくれることを期待して集めてきます。したがって、ベトナムで医師として働く場合、即戦力でないと実質的には雇ってもらえません。そうなると、どうしてもある程度のご年齢の先生方を相手にせざるを得なくなってきます。そういうわけで、私が実際にお会いして海外での勤務をご検討してくださっている先生方も、卒後5年以上経過している先生ばかりです。


しかし、今後の5年・10年を見据えた今の研修医や学生の先生たちにとっても、私のような東南アジアで働く先生は物珍しくうつるようで、最近は個人のコンサルトをするには申し訳ないくらいお若いし、そんな方からコンサルト料をいただくのは抵抗があるのだけど、海外で臨床するためにはどんなことをしたらよいのか、どんなことを知っていた方がよいのかなどをお伝えしてあげられたら良いのになあ…と思うことが増えてきました。このNOTEはそういった学生や研修医の先生方を中心に、「まだ国内でトレーニングを積む必要があるけど、海外で臨床をするやり方を知りたい」「海外にちょっと興味あるけど、手っ取り早く情報に触れてみたい」「留学以外に海外で医師をできる方法があるなら聞いてみたい」といった、手軽に国外事情を知りたい方々をターゲットにして執筆しています。東南アジアのことが中心にはなりますが、別にその地域だけをターゲットにはしないように編集したつもりです。

残念ながら個人情報も含まれていたりすることもあるので、無料で全部をお伝えするわけにはいきませんが、かなり手軽に読んでもらえるような価格設定にしてみました。もちろん、医師や医学生の方をターゲットにしていますが、興味本位でそうでない方に読んでいただくのももちろん歓迎です。単なる情報集めで読んでいただくのも歓迎です。

多くの皆様にとって、有意義な情報になり、将来につながることを祈っております。なお、このNOTEは読者の皆様から指摘いただいたことがあれば、徐々にupdateしたりして、持続的により良いものにしていけるようにしていきたいと思っています。


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