一人目デザイナーとして入社して3年、デザイン組織の成長を振り返る
こんにちは、AI inside CXO の保坂です。
AI inside に一人目デザイナーとして入社し、ちょうど3年が過ぎました。
「石の上にも三年」ということで、この3年でどうデザイン組織が成長してきたかを組織づくりの観点で振り返ってみます。
これからデザイン組織を立ち上げようとしている方、もしくはまだ数名で絶賛組織を拡大中の方にとって、ケースとして何か参考になるものがあれば嬉しいです。
人数の推移
AI inside におけるデザイン組織(以下、"Design Group" と呼ぶ)の人数の推移は以下の通りです。
2019年に一人目デザイナーとして入社し、デザインチームを立ち上げ、2022年度下半期(現在)では12名にまで拡大しました。
エージェント、求人媒体、リファラルなど、メンバーがAI inside を知ったきっかけ・参画経緯はさまざまです。まだまだやりたいことに対して人数が足りておらず、更なる拡大を目指しています。
これまでを振り返ると、大きく3つの期に分かれるように思います。
立ち上げ期(2019年度下半期〜2020年度上半期)
成熟期(2021年度上半期〜2021年度下半期)
拡張期(2022年度上半期〜2022年度下半期)
この記事では、それぞれの期を回想しながら、一人目デザイナー目線でどのようにチームを拡大してきたか、その時どんなことを考えどんな取り組みを実施したかを振り返ってみます。
1. 立ち上げ期
入社後約1年半は、まさに「立ち上げ期」といったフェーズでした。
1-1. 独り身の半年間
私は2019年10月にAI inside に正式入社しました(それまでは業務委託で一部プロダクトのUIデザインを不定期でお手伝いしていました)が、改めて一人目デザイナーとして入社後まず感じたのは、「デザインする対象が膨大にある!」ということでした。
プロダクトはもちろん、コーポレートサイトから各種営業資料、パンフレット、メールのテンプレート etc… これまで社内にデザイナーがいなかったので当然ではありますが、マザーズ上場を直前に控えている状況もあり、正直カオスな状態でした。
私はもともと特にデジタル領域のUXデザインとUIデザインを専門としてきたため、グラフィカルな制作物のデザインはそこまで得意ではありませんでした。なので、まずは「自分と一番真逆のスキルを持つ人」(つまり紙媒体含むグラフィカルな制作物が得意なデザイナー)に参画してもらおう、と決めました。
また、プロダクトに関してもちょうど新バージョンの立ち上げフェーズで、かつ社内システムのUXデザインにも携わることになり、一人だけのリソースでは到底足りなかったので、「UXデザイン、UIデザインがそれぞれ得意なメンバー」も探すことにしました。
1-2. デザインチームの発足
会社がこれまでやりとりしていたエージェントさんにお声掛けし、無事3名の採用が決まりました。
そして約半年の独り身期間が終わり、コロナ禍、フルリモート環境でのデザインチーム立ち上げとなりました。2020年5月に新メンバー3名同時入社。
チーム立ち上げに際して当時気をつけたことは、以下の記事にまとめいます。
1-3. チームとしてのケイパビリティの拡大
メンバーが増えた結果、チームとしてできることがどんどん増えていきました。しかし、デザインチームのプレゼンスを徐々に発揮する一方で、他部署からの依頼もさらに増え、まだまだ手が回らない状況でした。
また、Webサイトのリリース作業やCRMツールで作成するページ埋め込み、メールのCSS調整など、エンジニアリングのスキルが求められる場面も多く、都度社内のエンジニアにお願いする状況でした。しかし彼らは通常の開発業務もあり、なかなかタイムリーな連携が取れていませんでした。
そこで、デザインチームメンバーからの助言もあり、フロントエンドエンジニア(業務委託)をデザインチームに迎え入れることにしました。これにより、チームとしてデリバリーまで対応できる体制になりました。
さらに、その他スキルセットを持ったデザイナーも入社し、デザインチームのケイパビリティが大きく拡大しました。
2. 成熟期
2021年度、一旦チームメンバーの増加は緩やかになり、チーム体制の整理・強化や、社内のUX/デザイン成熟度を上げるフェーズになりました。
2-1. デザインチームを2つのユニットに分解
これまで「デザイン部」として1つの部署でしたが、2021年4月、全社的に「ユニット制」が導入され、同じタイミングでデザイン部を2つのユニットに分解しました。
Product Design Unit
Communication Design Unit
もともとポジションとしては上記2つを分けていたので、ユニットに分解するのは自然な流れでした。
同時期に私が執行役員CXOに就任し、両ユニットを "Design Group" として統括する立場になりました。経営とデザイン・エクスペリエンスをつなぐ動きを取りつつ、ユニット化によって機動力を高める体制を目指しました。
また、タイミング同じくしてAI inside のビジュアルアイデンティティも一新。バラバラだったトーン&マナーも統一していく舵を切ることができました。
2-2. 全社デザインイベント「AI inside Design Week」 開催
Design Group として他のBusiness Group や Development Group と肩を並べた一方で、まだまだ社内の「デザイン」に対する捉え方がバラバラであることは課題と感じていました。
そんな中、同時期に入社した新メンバーの企画により、デザイン思考やUXに関する取り組みを社内に広めるために「AI inside Design Week 2021」というイベントを2021年5月に開催しました。
詳細は以下の記事に譲りますが、最大90名以上に参加してもらうことができ、デザイン/UXの知見を社内に広める有意義なイベントとなりました。
なお、このDesign Week の前後のタイミングで、デザイン思考を用いたAI作成ワークショップ(現 AI Growth Program の前身)をデザインチーム起点で他ユニット協業しながら企画・実施したこともあります。
その結果、スパイダープラス様に当社のLearning Center Vision を採用いただくなど実案件としての成果につながっており、Design Group としての事業貢献が社内外に認められた出来事でした。
2-3. 初の対面オフサイトミーティング開催
これまでずっとリモートで業務を行ってきましたが、コロナが以前より収束してきたこともあり、2022年1月にDesign Group メンバー正社員全員を集めて、丸一日かけて対面でのオフサイトミーティングを実施しました。
(これまで飲み会などで一同介したことはありましたが、業務で皆が集まるのは初。)
テーマは "Reboot"。
デザインチームが発足して約20ヶ月、ビジネス面や組織面で様々な変化がありました。これまでのデザインチームを振り返り、未来を描き、想いを共有し合うことで、チームとしての「再起動」を狙いました。
各自が思う「デザインチームの理想像」、価値観、取るべきアクションなどを可視化・整理し、チームとしての一体感を強めるきっかけを作りました。
3. 拡張期
2022年度(今年度)はまだ終わっていませんが、デザイン組織のさらなる拡張に向かっています。
3-1. 「Design Group Vision FY2023」 のチーム内外提示
先期に実施したオフサイトMTGの結果を踏まえ、改めてDesign Group のビジョンを策定し、2022年4月にチーム内と全社に向けて発表を行いました。
我々AI inside は「AI inside X」というカンパニービジョンを掲げています。つまり、「X = 様々な環境」に溶け込むAIを実装し、誰もが特別な意識をすることなくAIを使える、その恩恵を受けられる、といった社会を目指しています。
このような誰も見たことがない社会実現を目指し、デザインの力で未踏の世界を手繰り寄せ、事業の方向性を照らし、牽引していける、そんなデザイン集団でありたいと考えています。
具体的には、未来を形作るために以下の4つのテーマを掲げています。
Vision Design | 未来を描く
UX Research | 未来を探る
Product Design | 未来を届ける
Communication Design | 未来を伝える
これらを社内説明用にわかりやすく表現したのが以下の画像です。デザインの各テーマを山登りに例えました。
これがきっかけで、社内メンバー各所から「ビジョンを可視化したい」という要望を改めてもらい、プロジェクト化したケースもありました。社内に情報発信することの大切さを再認識したエピソードでした。
3-2. aiforce solutions 吸収合併によるメンバー参画とコラボレーションの促進
今年度の会社としての大きな出来事として、2022年5月、aiforce solutions の吸収合併がありました。Design Group にもaiforce社から1名参画いただきました。
そして2022年8月には、第2回のDesign Group 1 day オフサイトミーティングも実施。
テーマは "Collaboration"。
久しぶりに新メンバーが加わったことや、「LIFT」と呼ばれる働き方・福利厚生パッケージが2022年4月に導入されフレックスタイムやWork Form Anywhere が適用されたこともあり、改めてチーム内のコラボレーションの仕方を見直し、お互いが協力しやすい関係を築くことを目指しました。
具体的には、これまでのチーム内アクティビティのKPT (Keep, Problem, Try) 実施やスキルマップの作成、働き方嗜好マッピングとギャップのすり合わせを行いました。
オフサイト実施後、議論した内容をすぐにアクションにつなげて、チーム内コラボレーションがより促進されました。
3-3. マーケティング組織強化に伴う、コミュニケーションデザイナー人員増強
今年は会社としてマーケティング組織が強化されました。具体的には、元アップル日本法人代表前刀禎明氏が当社CMOに2022年2月に就任され、Marketing Group も発足。それに伴い事業の多角化とも相まってマーケティング施策・コンテンツも増加しています。
マーケチームと伴走して高品質なアウトプットを出すためのデザインリソースを確保すべく、コミュニケーションデザイナーの採用を強化し、無事計画通りの採用ができました。
マーケティング施策に関するコンテンツも含め、今後もAI inside とステークホルダーの多様なタッチポイントをデザインしていきます。
今後の AI inside Design の展望
上記のような経緯で、3年かけて12人の組織になりました。ただ、まだまだ事業をスケールさせるためにDesign Group がやるべきこと・やりたいことに対して、リソースが足りていない状況です。
具体的には、今後は以下のような取り組みを特に強化していきたいと考えています。
新規プロダクトのUXデザイン・UIデザイン
デザインシステムの構築と運用
UXライティング
ビジネスエスノグラフィ・UXリサーチ
ビジョン・ブランドデザイン
Design Group のビジョンとして掲げた「未踏を開拓するデザイン集団」を目指して、今後も邁進してまいります。
おわりに
以上、AI inside Design Group の組織拡大の変遷をご紹介しました。
組織づくりに正解はなく、今振り返ってみても社内外の様々な要因が絡みながら、現在の組織になりました。当然私だけがデザイン組織を作ったのではなく、入社していただいたメンバー皆さんの協力・貢献のおかげで、今のDesign Groupがあります。改めてこの場を借りて感謝申し上げます。
まだまだ成長の途中段階ではありますが、組織づくりに関係している皆様にとって何かケースとして少しでも参考になるものがあれば幸いです。
また、今回の記事ではDesign Group の各ユニット(プロダクトデザイン/コミュニケーションデザイン)の具体的な取り組み、成果については深く触れられなかったので、次回以降の記事で取り上げられればと思います。
最後に、AI inside ではデザイナーを絶賛募集中です。まずはカジュアルにお話するだけでも良いので、興味を持っていただけたらぜひお気軽にご連絡ください!