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持続可能性の実現に必要な逆転の発想

 私たちの社会はこれまで、省エネ、リサイクル、倫理的消費といったSDGsに基づく取り組みを進めてきました。しかし同時に、実態のない環境配慮を装う『グリーンウォッシング』が国際的に問題となっています。このような表面的な対策が増える中、真に持続可能な社会を築くためには、『持続不可能な状態を避ける』という逆説的な視点が必要です。

 例えば、国際会議ではCO₂の排出量や削減量が地球温暖化の指標としてよく取り上げられますが、この単純な説明に疑問を抱く人も多いでしょう。さらに、自分の日常生活がどれだけCO₂を排出しているか把握するのも容易ではありません。そこで従来の『CO₂悪玉論』に固執せず、以下の視点から持続可能性を考えることが重要です。

 まず、避けるべきは資源の枯渇と環境破壊です。地球の資源は有限であり、過剰な消費が続けば将来世代が利用できるものは失われます。森林の過剰伐採や生態系の崩壊はその典型例です。持続可能な開発には、再生可能なペースでの資源利用が求められます。

 次に、貧困と格差の拡大も問題です。富の集中が進む一方で貧困層が増えれば、社会の安定が揺らぎ、暴動や紛争のリスクが高まります。SDGsには、こうした格差を是正し、誰もが公平に利益を享受できる社会の実現が含まれています。

 また、生態系サービスの劣化も深刻です。空気や水の浄化、土壌の肥沃化が失われれば、農業や生活の基盤が崩れ、持続可能な発展が困難になります。自然との調和を前提とした開発が不可欠です。

 さらに、気候変動も無視できません。温室効果ガスの削減を怠れば、地球温暖化が進み、海面上昇や異常気象が頻発します。結果として、食料生産が不安定になり、日常生活に深刻な影響を与えるでしょう。

 これらの問題に共通するのは、短期的な利益を優先し、長期的な影響を無視する姿勢です。環境コストを無視した過剰な資源利用や、気候変動対策の後回しは、一時的には利益を生むかも知れませんが、持続不可能な未来へ向かうリスクを高めます。

 今、私たちに求められるのは、持続不可能な要素を正しく認識し、それを回避する行動です。SDGsは、そのための道標であり、表面的な取り組みを超えて、本質的に持続可能な社会を目指すガイドラインです。『持続不可能な状態を回避すること』こそが、真のSDGsの実現につながるのです。

武智倫太郎

【以上、原稿のタイトル、著者名込みで、1000文字以内です】

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