見出し画像

世界最大の農業生産国と農業輸出国から考える食料問題(1)

 多くの日本人がアメリカかブラジルが世界最大の農業生産国だと誤解していますが、読者の皆さまは、世界一の農業生産国がどこだかご存じですか?

 答えは、世界最大の農業生産国は中華人民共和国です。中国は幅広い農産物を生産しており、主要な生産品目には以下が含まれます。

米:中国は世界最大の米生産国であり、主食としての需要が高いです。
小麦:中国は米に次いで多くの小麦を生産しています。
野菜:特に白菜やにんじん、トマトなど、多種多様な野菜を大量に生産しています。
果物:リンゴ、梨、ブドウなどの果物も多く生産しています。
肉類:特に豚肉の生産が盛んです。

 中国は世界で一番人口が多い国なので、自国民の食料生産量が極めて大きいため、アメリカのような #農業大国 の印象が薄いかもしれませんが、実は中国が世界一の #農業生産国 なのです。

世界最大の農産物輸出国

 世界最大の #農産物輸出国 はアメリカ合衆国です。アメリカの主要な輸出品目には以下が含まれます。

大豆:アメリカは世界最大の大豆輸出国であり、主に中国が主要な輸出先です。
トウモロコシ:アメリカは世界最大のトウモロコシ生産・輸出国です。
小麦:アメリカは主要な小麦輸出国の一つです。
綿花:アメリカの綿花は世界市場で高い需要があります。
肉類:特に牛肉や豚肉の輸出が盛んです。
乳製品:チーズやバターなどの乳製品も輸出品として重要です。

 これらの国々はそれぞれの強みを活かして世界の農業市場で重要な役割を果たしています。

アメリカの主要生産穀物

 皆さんも地理の授業で、以下の図のような酪農地帯、春小麦・冬小麦、 #コーンベルト #コットンベルト などを習っていると思います。

地理B(6.北アメリカの農業)

 ところが、近年のアメリカの主要生産穀物を以下のように1~5位に並べると興味深いことが分かります。

トウモロコシ ・メイズ(Corn・Maize):アメリカは世界最大のトウモロコシ生産国であり、主に飼料、エタノール、および食品添加物として使用されます。
大豆 (Soybeans):大豆は飼料や油脂の製造に使用され、特にアジア市場への輸出が盛んです。
小麦 (Wheat):小麦はパン、パスタ、ケーキなど多くの食品に使用されます。アメリカは主要な小麦輸出国です。
ソルガム (Sorghum):ソルガムは主に飼料用に使用されるほか、エタノールの原料としても利用されます。乾燥に強い性質があり、特に乾燥地域での栽培が盛んです。
綿花 (Cotton):綿花は繊維産業の重要な作物であり、アメリカは世界有数の綿花生産国です。繊維産業での需要が安定しており、引き続き重要な農産物です。

ホワイトソルガムの生産量増加の背景

 近年、 #ホワイトソルガム の生産量が大きく伸びています。乾燥に強い性質を持つホワイト #ソルガム は、水不足の地域での栽培に適しており、飼料やエタノールの生産に利用されています。さらに、 #グルテンフリー であるため、健康食品市場でも注目されています。ホワイトソルガムの生産量増加は、 #持続可能 な農業慣行と市場の多様化を促進する要因となっています。アメリカは深刻な農業水不足に直面しており、ソルガムのような乾燥地域に強い作物の比率が大幅に伸びることが予測されています。

 ソルガムには多くの品種があり、それぞれが特定の用途に応じて栽培されています。例えば、食用ソルガムは栄養価が高く、グルテンフリーの穀物として人気があります。また、 #サイレージ 用ソルガムは #家畜飼料 として使用され、糖度の高い #ソルガムシュガー は甘味料として利用されます。こうした多様な用途に対応するため、ソルガムの栽培が広がっています。これにより、持続可能な農業と #食料安全保障 の向上に重要な役割を果たしています。

 私は直近の三年間のうち二年間ほど、完全に #玄米食 を止めて、ホワイトソルガム(高粱・高黍)を中心に、粟、稗、黍、蕎麦、小麦、もち麦、オーツ麦、ライ麦、大麦、鳩麦などを食べ続けてみました。他にも小豆やササゲ豆などの豆類を一緒に炊飯器で炊いて、ご飯の代わりに食べてみました。

 ここで注意していただきたいのは、私はこれらの穀物を #腸活 として、読者の皆さまに勧めているわけではないということです。私がこれらの穀物を様々な配合で食べ比べてみたのは、自分が特定の雑穀に対して #アレルギー がないかを確かめることが目的でした。

 味の良し悪しや品質を調べる目的もありましたが、私は全ての雑穀に対してアレルギーはありませんでした。事前に血液検査をして、アレルギー体質でないことは確認していましたが、あまり大量に摂り続けることでアレルギー体質になってしまうこともあるので、このような体調の変化も含めた自分を使った人体実験です。

 実際に科学的な調査をするためには、少なくとも3,000~10,000人に、長年にわたって私と同じような食生活をしてもらう必要がありますが、まずは自分で実験してみるのが、私の癖なのです。

 アレルギー原因物質としては、卵、牛乳、ピーナッツなどが有名ですが、アレルギー体質が悪化すると、極少量のピーナッツバターが唇についただけでも #アナフィラキシーショック で死亡することがあります。小麦や蕎麦、大豆アレルギーの人もかなり多いですが、私のような穀物生産者にとっては、アレルギー問題は非常にセンシティブな問題です。

 このように、アレルギー対策を含めた食生活の改善は個人の健康維持にとって非常に重要です。皆さまも、自分に合った食材を見つけ、健康的な食生活を心掛ける必要があります。

グルテンフリーだから大丈夫だという誤解

 テレビや雑誌、ネットなどで『グルテンフリーだから健康にいい』と無条件に勧めている人がかなりいますが、これらの方々は非常に無知であり、無責任であるというのが私の見解です。

 グルテンが体に悪いとされる理由は、主にグルテンに対するアレルギーや不耐症( #グルテン不耐症 )に起因しています。グルテンは小麦、ライ麦、大麦に含まれるタンパク質で、これに対して特定の反応を示す人々が存在します。

グルテン関連の健康問題

セリアック病:セリアック病は自己免疫疾患で、グルテンを摂取すると免疫系が小腸の粘膜を攻撃し、栄養吸収が妨げられる病気です。 #セリアック病 の人々はグルテンを完全に避ける必要があります。
グルテン不耐症:グルテン不耐症(非セリアックグルテン過敏症)は、セリアック病や小麦アレルギーではないものの、グルテンを摂取すると消化不良や腹痛、疲労感などの症状が現れる状態です。グルテン不耐症の人々もグルテンを避けることで症状が改善します。
小麦アレルギー:小麦アレルギーは、小麦に含まれるタンパク質に対するアレルギー反応であり、摂取すると蕁麻疹、呼吸困難、アナフィラキシーなどの症状を引き起こすことがあります。

グルテンフリーで体質が改善できる人とそうでない人


グルテン関連疾患がある人:セリアック病やグルテン不耐症、小麦アレルギーの人々は、グルテンを避けることで消化器症状やその他の健康問題が劇的に改善されます。これらの人々にとって、グルテンフリーダイエットは必須です。

グルテン関連疾患がない人:グルテンに対するアレルギーや不耐症がない人にとって、グルテンフリーダイエットが健康に有益であるかどうかは明確ではありません。いくつかの研究では、グルテンを避けることが特に有益であるという証拠は見つかっていません。

 つまり、グルテンが体に悪いとされる主な理由は、セリアック病、グルテン不耐症、小麦アレルギーなどのグルテン関連疾患によるものです。これらの疾患を持つ人々はグルテンを避けることで健康状態が大きく改善されます。一方、これらの疾患がない人々にとっては、グルテンフリーダイエットが特に健康に有益であるという確固たる証拠はありません。したがって、グルテンフリーダイエットが必要かどうかは個人の健康状態や医療専門家の診断が必要です。極端な話をすると、蕎麦アレルギーの人に『蕎麦はグルテンフリーの健康食なので、毎日ソルガム80%に蕎麦の実20%を混ぜて食べると健康になります!』と言うのは非常に危険です。

 このようなメニューを勧めてしまうと、蕎麦の実20%混合炊飯を勧められた人は、アナフィラキシーショックで死亡したり、ソルガムや蕎麦が原因で毎日体調が次第に悪くなっていくことも十分にあり得ます。中途半端な食の知識で何かを人に健康食だと勧めることは、好ましくない傾向だと思います。

つづく…

武智倫太郎

この記事が参加している募集

#このレシピが好き

with 料理レシピ本大賞

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?