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日本国のサイバーセキュリティの危機的実体(16)

 日本では #キャリア官僚 を『 #エリート官僚 』として認識することが一般的かも知れませんが、私は多くの日本人が彼らを特別な存在だと過度に評価していると感じます。例えば、東京大学を卒業しただけで『 #高学歴エリート 』と称されることがあります。しかし、海外の観点からは、東京大学を卒業しても『学士(BA)取得しただけ?』としか評価されません。

 日本の『高学歴』の基準は先進国のものとは異なります。国際的には、高学歴とは少なくとも修士(Master)や博士(Ph.D.)取得者を指します。博士号を幾つ持っているかが、学歴評価の対象となることも少なくありません。

 職歴は学歴とは異なり、その人が持つ実績や経験に基づくものです。例えば、 #ビル・ゲイツ や、 #スティーブ・ジョブズ や、 #マーク・ザッカーバーグ は高卒ですが、彼らの実績は世界的なビジネスマンとして非常に高いです。これは、学歴、職歴、そして所得が必ずしも一致しないことを示しています。

『エリート』という言葉の意味は、時代や文化によって変わってきました。

エリートの概念の変遷
 古代には、特権階級や貴族がエリートとしての地位を保持していました。近代に入り、高い教育や専門的な知識を持つ人々がエリートとしての認識を得るようになりました。20世紀後半からは、経済的成功を収めた人々もエリートとして評価されるようになりました。

現代の日本におけるエリートの認識
 戦後の日本では、特定の大学や官僚組織、大企業に所属する人々が社会的にエリートとして見なされていました。しかし、経済のグローバル化や多様性の増大に伴い、その認識は変わりつつあります。今では、トップ企業に所属しても、待遇や能力に大きな違いがないことが珍しくありません。

 実際のキャリア官僚の実力と一般的な日本人が彼らに抱くイメージとの間には大きなギャップがあります。キャリア官僚と一口に言っても、その実情は省庁によって異なります。かつて、 #大蔵省 のキャリア官僚は、他の省庁のキャリア官僚よりも特に高く評価されていましたが、現在はその役割を #財務省 が受け継いでいます。

 キャリア官僚の年収の目安を示すと、22歳で年収350万円、40代課長で年収1200万円、事務次官で年収2400万円程度です。一方で、著名なシンクタンクや経営コンサルタントの役員などは、これよりもはるかに高い報酬を受け取っていることが多いです。

 このような現実を踏まえ、なぜ多くの日本人がキャリア官僚を特別視してしまうのかについて以下で詳しく解説していきます。

御上には逆らえないという擦り込み

 私はテレビを持っていないのでテレビは見ませんが、それでも、日本では『 #大岡越前 』、『 #水戸黄門 』、『 #遠山の金さん 』、『 #暴れん坊将軍 』、『 #長七郎江戸日記 』、『 #鬼平犯科帳 』、『 #桃太郎侍 』といった #勧善懲悪 をステレオタイプ化した『 #悪人は御上が裁いてくれる 』という時代劇が、毎日のように放映されていることは知っています。

 私は十カ国以上で仕事をしてきましたが、このような『悪人は御上が裁いてくれる』という概念が一般市民に浸透しているのは、世界中探しても日本だけだと思います。

 日本人の多くは警察官のことを御上とは考えません。警察官に向かって『 #御上には逆らえない 』と表現するのは、絶滅危惧種の広域指定暴力団員くらいでしょう。一方で、国会議員のことを御上と思っている人は極めて少ないでしょう。内閣支持率の低迷などを見ても、日本の有権者にとっては、内閣は頻繁に変わって当たり前で、国会議員は落選したら単なる一般人ということを認識しています。

 しかし、日本の金融・証券業・保険業にとっては、いまだに旧大蔵省や現在の #金融庁 #御上として認識する傾向が強いのが現状です。これらの業界にとって金融庁が『御上』である理由は、金融庁には金融・証券・保険会社に対して、 #業務停止命令 #業務改善命令 を発令する権限があり、文字通り生殺与奪の権限を持っているからです。業務改善命令を通じて銀行の人事にも介入しています。例えば、 #みずほFG では、相次いだ #システム障害 の責任をとって、坂井辰史社長とみずほ銀行の藤原弘治頭取が2022年4月1日付で辞任しましたが、この辞任の原因となったのが金融庁からの業務改善命令でした。 

MOF担からFSA担への横滑り

 50歳以上の人で『 #ノーパンしゃぶしゃぶ 』事件を知らない人は少ないと思いますが、このブログの読者の中には未成年もいるため、以下はお子様向けにユーモラスに書いています。 #MOF担 とは『Ministry of Finance』(大蔵省担当)の略です。
 
MOF担(モフたん):『もしもし、大蔵省のお兄さん! 金融抜き打ち検査の日、教えてくれる?』

大蔵省の役人:『あっ、MOF担くん! そうだね…次回の検査は…ええと…』

 このような秘密のやり取りが日常茶飯事でした。MOF担は、大蔵省との癒着を通じて、業界の裏情報を手に入れる名人でした。しかし、その接待の方法が次第にエスカレートしたんです。そして、新たな接待の場として『ノーパンしゃぶしゃぶ』という『ピ~~~』な店が登場しました。

 このニュースを知った当時の人々は、『ノーパンしゃぶしゃぶ』という言葉に困惑しました。一部は『ノーパン…しゃぶしゃぶ? それはどんな料理?』や、『ノーパンって、パン無しで、しゃぶしゃぶするの? そもそもしゃぶしゃぶには、パンなんかいれないよね!』という反応でした。

 その後、『ノーパンしゃぶしゃぶ』の実体が判明したことで、この事件は大きな社会問題となり、大蔵省の信頼を大きく損ないました。そして1998年、 #国家公務員倫理法 の制定を経て、大蔵省から金融行政の権限が移行し、新たに金融庁が設立されました。
 
金融庁:『こんにちは! 新しく金融の監督・規制を担当する金融庁です! MOF担たちのようなお騒がせ行為は、私がちゃんと監視するからね!』

MOF担:『えぇ!?でも私たちの仕事は…』
 
金融庁:『大丈夫、君たちのような役職は、今後FSA担として続くから!』

 そしてMOF担の時代は終わり、 #FSA担 の時代の幕開けです。FSA担とは『Financial Services Agency』(金融庁担当)の略です。こうして、MOF担の時代は終焉を迎えましたが、その役職と業務は、金融庁時代の新たな形として脈々と生き続けています。

『ノーパンしゃぶしゃぶ』は伝説として、今日にまで語り継がれていますが、日本の金融史は、このようなドラマティックな出来事で溢れているのです!

 ちなみに、歴代の金融庁長官の経歴を調べてみれば直ぐにわかることですが、初代の日野正晴だけは、元名古屋高等検察庁検事長で、金融犯罪を予防するように見せ掛けていますが、二代目長官の森昭治から、2023年現在の栗田照久(1987年4月:大蔵省入省)まで、いまだに元大蔵省出身者が仕切っているのが金融庁なので、MOF担(モフたん)の名前が、FSA担(フサたん)に代わっても、やっていることには大差ありません。

 読者の皆様のエリート官僚に関する誤解を認識していただいたところで、次回の記事では、 #金融庁 が日本の #サイバーセキュリティ #テロ対策 などでどのような役割をはたしているかについて焦点を当てて説明します。

つづく…

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