第12夜👀人気の「ハイブリッド・ドッグ」・「デザイナー・ドッグ」って、なに？《第２章》遺伝子疾患を知ろう

2023年11月18日 18:04

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今回は、３章でお届けしております。

生物の専門家ではない私が調べた内容になります。
最新情報で追記などがありましたら、温かいコメントを
お願いします！

１章　最近人気の「ハイブリッドドッグ」・「デザイナードッグ」
２章　遺伝子疾患を知ろう
３章　相棒たちとの付き合い方

2章.　遺伝子疾患を知ろう

19世紀後半に本格的な純血種の犬籍（けんせき）管理が始まりました。
純血種の犬籍管理を目的とした畜犬団体で最も古いと言われるのが、1873年にイギリスで設立した”ケネルクラブ”です。この頃から、健康な純血種をつくるための活動がされていたようです。

　日本にも、純粋犬種の保護と質的向上のため血統証明書を発行する機関があります。一般社団法人ジャパンケネルクラブ（JKC）です。JKCは、世界89カ国が加盟する国際畜犬連盟（FCI）に加盟しており、登録頭数は国内最多、世界第2位を誇る国際的なケネルクラブの１つです。
世界第２位の登録数！とは、日本のペット市場の大きさが伝わりますね。

そして、JKCは地震等の災害時に被災者捜索を行う災害救助犬の育成を1991年から行っています。これは、1995年に起こった阪神・淡路大震災よりも前になります。

・JKCの歴史

JKCは、1945年の終戦後から間もない1948年（昭和23年）に設立しました。初代理事長の東京都畜犬商業組合組合長の坂本保をはじめとする有志により全犬種団体「全日本警備犬協会」として設立し、翌年には農林大臣から設立を許可され、JKCの歴史がスタートしました。この背景には、戦後の純粋日本犬の管理もあったようです。ジャパンケネルクラブのホームページによると、日本犬の純血種を維持するための苦労が記されていました。

価値観の急激な転換により一様に大きな不安を抱えていた国民が、家族や財産を守る番犬として、ジャーマン・シェパード・ドッグや日本犬が主に飼育されていましたが、駐留軍の家族がその一員として連れてきた洋犬種も次第に日本の家庭に紹介されるようになり、現実に純粋犬種が繁殖されても、この血統を証明し、登録する公の犬種団体がなかったため、私製の血統書が横行するなど、犬の健全な繁殖にとってたいへん不幸な状態が続いていました。

ジャパンケネルクラブのホームページ

　また、JKCが主催した『第1回本部展覧会』には、1950年11月と終戦の復興期間もない頃にも関わらず、全国から約300頭の犬が参加しました。

「1950年（昭和25年）11月 3日上野公園で開催された第1回本部展覧会は、戦後間もない時期にもかかわらず、全国から約300頭の犬が参加したと記録されています。
　
　JKCの前身であった「全日本警備犬協会」。警察犬という響きは『軍用犬』を想像させます。国内の軍用犬の歴史的は古く、南北朝時代の記録にも偵察犬の話が書かれているそうです。　
　軍用犬は、大正時代に入ってから軍国主義の台頭とともに、その軍用犬と扱うブリーダーや訓練士の数も増えたそうです。

激しさが増す終戦の直前には、撲殺や、飼い犬や飼い猫なども食用や戦地の毛皮用に供出されていた時代がありました。その時代を生き抜き、終戦の5年後に全国から集まった約300頭の犬たち。山奥などで、いろいろな人たちの思いを背負って守り切られた犬たちだったのかもしれないなぁ～と想像を馳せると、平和の尊さが更に込み上げて来ます。

・戦争と出会ったしまった犬や猫たち

以下に、戦争による動物たちとの悲しい別れが書かれた書籍をご紹介します。戦争と出会ってしまったばかりに辛い思いをしたのは、犬や猫たちだけではありません。動物園の動物たちもそうでした。
私たちの身近にいた犬や猫がどんな運命を辿ったのか。
同じ過ちを繰り返さないために、語り継ぎたい本たちです。

・遺伝性疾患への取り組み

　このJKCでは、現在、交配するすべての牡犬のDNA登録を義務付け、厳正管理を追求しています。2006年4月からは、遺伝性疾患への取り組みの一環として、特定非営利活動法人日本動物遺伝病ネットワーク（JAHD）による股関節・肘関節評価結果の血統証明書記載を実施しています。

また、正しいブリーディングとして守るべき7つの心得を示しています。

犬種のスタンダードについて、良く理解し把握しておくこと。
血統内容及び犬種のタイプ、性格を理解すること。
交配の良否、犬種の有する遺伝性疾患について究明し、発症を防ぐために　　
無計画な交配はしないこと。
牝犬の生殖生理を十分に知っておくこと。
出産後、子犬の管理を十分に行い、譲渡前に駆虫、骨学的遺伝疾患の有無のチェックをすること。
奇形や欠点を有した子犬は、他の者に対し絶対に提供しないこと。
生まれた子犬の血統登録をすみやかに行なうこと。

・遺伝子疾患について考えよう

　以下、JKCより抜粋した内容です。
　監修：鹿児島大学共同獣医学部教授大和修

●遺伝とは、繁殖によって親から子へ形質が伝わること

　生物の体は細胞からできています。
　細胞の核の中には、染色体があります。
　染色体は2本一組で遺伝情報の発現・伝達を担っています。

●遺伝の仕組み

有性生物の場合、染色体は、各組ごとに、1本が父犬から、もう1本が母犬からもたらされます。この仕組みにより、両親の遺伝情報であるDNAが子犬に引き継がれ、新しい個体となるのです。

では、ある遺伝情報について、父犬と母犬からもたらされた情報が異なっていたら、そのうちどちらが子犬にあらわれるのでしょうか。

その場合、多くの遺伝情報では、どちらか一方の情報があらわれます。
そして、遺伝情報の2つの型のうち、特徴があらわれやすい場合を「優性」、あらわれにくい場合を「劣性」と呼びます。

≪参考≫誤解や偏見につながったり、分り難かったりする用語の改定
上記の★ポイント★に書かれた「優性」及び「劣性」という用語

2017年9月の用語改定案から約4年半を経た、2022年1月に最終報告が発表されました。

2022年1月に日本医学会は、5年程度の期間を経た後に推奨用語に移行するとして、優性遺伝と劣勢遺伝に関わる推奨用語を発表しました。
　　　「優性遺伝」⇒「顕性(けんせい)遺伝」
　　　「劣性遺伝」⇒「潜性(せんせい）遺伝」

従来の表記は、（優性遺伝）、（劣性遺伝）として、括弧書きで表記す
る。これらの用語は、本来，遺伝形式を示す用語であり、「顕性遺伝
（優性遺伝）」「潜性遺伝（劣性遺伝）」と，遺伝形式として明記する
ことが必要と考えられることから、４文字の用語として推奨用語を示す。
（注）顕性（優性）、潜性（劣性）はそれぞれ遺伝形式を示す表現であることから、推奨用語としてはそれぞれ「遺伝」を付与した「顕性遺伝」「潜性遺伝」として使用するものとする。

2017年に、遺伝学用語の改訂案が示され、新聞報道をはじめとして，社会的にも大きな注目を集めたそうです。

●遺伝子疾患のあらわれ方
遺伝子疾患をもたらす変異のほとんどは、「劣性」となります。
これにより、特定の遺伝子疾患について、子犬の状態は次のいずれかとなります。

●遺伝子疾患と交配

遺伝子疾患の変異が「劣性」の場合、クリア、キャリア、及びアフェクテッドの親犬が交配したら、子犬にその遺伝子疾患がどのようにあらわれるかみていきましょう。

●遺伝子疾患の原因変異が「劣性」の場合、交配結果は次の通りとなります。

例えば、原因変異が「劣性」となる遺伝子疾患について、その遺伝子疾患の検査を行いクリアと判明している犬との交配であれば、交配相手が未検査であったとしても、すべての子犬はアフェクテッドにはならず、その遺伝子疾患は発症しません。
キャリア×キャリアの交配で、その25％がアフェクテッド(遺伝子変異を有する)で誕生する確率があるということになります。

・年々解明される遺伝子疾患と原因変異の特定

●現在約700ほどの疾患が特定され、うち200以上の原因変異を特定

JCKによると、犬の遺伝子疾患は、獣医学の進歩により年々解明が進み、現在700ほどが疾患が特定され、その内、200以上の疾患で原因変異が特定されています。しかし、遺伝子疾患の全てをクリアにすることはできません。

このため、犬種としての理想と照らし合わせ、重篤度の高い疾患から、対処していく必要があります。

一方、キャリアと判定された健康な犬を積極的に排除することは、動物倫理に反する行為です。キャリアもペットとして飼育することになんら問題がありません。

・遺伝子疾患を減らしていくために、大切な3点

●ブリーディングされる犬種に多い遺伝子疾患を知ること
・700ほどの遺伝子疾患の特定や、200以上で疾患の原因が特定されている
・サイズや毛質の違うバラエティー間交配に関するガイドラインの確認
　⇒サイズ違い
　　出産にリスクがあり、近いサイズバラエティーでの交配が原則
　⇒毛質の違い
　　マール同士の交配は、高い確率で致死や、難聴など健康欠陥が生じる

●その遺伝子疾患について、正確な知識を持つこと
・キャリアと判定された健康な犬を積極的に排除しない

●その知識に基づき、計画的な繁殖を行っていくこと
・遺伝性疾患の発生リスクが高いと考えられている犬種を54種提示
（ブルドック、ゴールデンレトリーバー、ポメラニアンなど）

つづきは、『３章　相棒たちとの付き合い方』へ

≪参考≫
●第２章

・ウィキペディア　軍犬：https://ja.wikipedia.org/wiki/%E8%BB%8D%E7%8A%AC#:~:text=1950%E5%B9%B4%EF%BC%88%E6%98%AD%E5%92%8C25%E5%B9%B4,%E3%81%A7%E3%81%AF%E5%BB%83%E6%AD%A2%E3%81%95%E3%82%8C%E3%81%A6%E3%81%84%E3%82%8B%E3%80%82
・　一般社団法人ジャパンケネルクラブ (以下「JKC」：　https://www.jkc.or.jp/
　JKC　正しいブリーディングとして守るべき7つの心得：https://www.jkc.or.jp/certificates_and_breeding/guidelines/knowledge
　JKC　遺伝子疾患について考えよう：https://www.jkc.or.jp/certificates_and_breeding/guidelines/approach/dna-deseases
　JKC　バラエティー間交配に関するガイドライン　：https://www.jkc.or.jp/certificates_and_breeding/guidelines/variety_mating
　JKC　　遺伝子疾患を減らしていくために、大切な3点　：　https://www.jkc.or.jp/certificates_and_breeding/guidelines/approach/dna-deseases
　JKC遺伝性疾患の発生リスクが高いと考えられている犬種：https://www.jkc.or.jp/certificates_and_breeding/hereditary_disease/typelist

・遺伝学用語改訂（優性を「顕性(けんせい)」、劣性を「潜性(せんせい）」とする用語改訂）「遺伝学用語改訂に関する最終報告」：https://jams.med.or.jp/glossary_committee/doc/2021material_s3.pdf

・犬やねこが消えた―戦争で命をうばわれた動物たちの物語 (戦争ノンフィクション) | 井上こみち（著）, ヨウコ, ミヤハラ(絵）：https://www.amazon.co.jp/%E7%8A%AC%E3%82%84%E3%81%AD%E3%81%93%E3%81%8C%E6%B6%88%E3%81%88%E3%81%9F%E2%80%95%E6%88%A6%E4%BA%89%E3%81%A7%E5%91%BD%E3%82%92%E3%81%86%E3%81%B0%E3%82%8F%E3%82%8C%E3%81%9F%E5%8B%95%E7%89%A9%E3%81%9F%E3%81%A1%E3%81%AE%E7%89%A9%E8%AA%9E-%E6%88%A6%E4%BA%89%E3%83%8E%E3%83%B3%E3%83%95%E3%82%A3%E3%82%AF%E3%82%B7%E3%83%A7%E3%83%B3-%E4%BA%95%E4%B8%8A-%E3%81%93%E3%81%BF%E3%81%A1/dp/4052029585

・マヤの一生 (子ども図書館) ｜椋鳩十（著）：　 https://www.amazon.co.jp/%E3%83%9E%E3%83%A4%E3%81%AE%E4%B8%80%E7%94%9F-%E5%AD%90%E3%81%A9%E3%82%82%E5%9B%B3%E6%9B%B8%E9%A4%A8-%E6%A4%8B-%E9%B3%A9%E5%8D%81/dp/4477020961/ref=tmm_hrd_swatch_0?_encoding=UTF8&qid=&sr=

・動物園の昭和史―おじさん、なぜライオンを殺したの戦火に葬られた動物たち｜秋山正美 (著)：https://www.amazon.co.jp/%E5%8B%95%E7%89%A9%E5%9C%92%E3%81%AE%E6%98%AD%E5%92%8C%E5%8F%B2%E2%80%95%E3%81%8A%E3%81%98%E3%81%95%E3%82%93%E3%80%81%E3%81%AA%E3%81%9C%E3%83%A9%E3%82%A4%E3%82%AA%E3%83%B3%E3%82%92%E6%AE%BA%E3%81%97%E3%81%9F%E3%81%AE-%E6%88%A6%E7%81%AB%E3%81%AB%E8%91%AC%E3%82%89%E3%82%8C%E3%81%9F%E5%8B%95%E7%89%A9%E3%81%9F%E3%81%A1-%E7%A7%8B%E5%B1%B1-%E6%AD%A3%E7%BE%8E/dp/4887183038

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