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「私、『入ーれーて!』はドキドキして言えないけど、『私もやりたい』は言えるの!」

すでにある輪に入れてもらうときの、ドキドキする感じが苦手だ。

無視されたらどうしようとか、イヤって言われたらどうしようとか、いろいろ考えてしまう。さらに言うと、声をかけたときに視線が集まる瞬間は、逃げ出したくもなる。

「私、幼稚園で『入ーれーて!』って言わないの。ドキドキするから。」

どうやら、5歳の娘も同じタイプらしい。

「ママも苦手やで、わかるよー!」
「それパパもやで!ドキドキするよな。」

夫のコミュニケーション能力の高さはピカイチなのだが、そんな彼でもドキドキするらしい。

「100くらいドキドキする?」
「そうやな、あの瞬間は、100くらいはあるね。」

そうか、そうなのか。ドキドキするのは自分の自信のなさゆえだと思っていたけれど、誰にとっても同じなのだろうか。


とはいえ、「入ーれーて!」を言えない娘を、親としては心配してしまう。普段はどんな風に過ごしているのだろう?

気になって尋ねてみると、自分から誘うことはせず、来るものは拒まず、誰も来なければひとりでえほんを読んでいるらしい。

「今日は何して遊んだの?」
「えほん!ずーっとえほん!」
「お外で遊ぶときは?」
「二輪車!」
「ひとりで?」
「うん!」

これは想定内。二輪車はひとりで遊びたいらしい(きっとマイペースに漕ぎたいのだろう)。

「あ、あと、あれもしたよ、登るやつ、ママ見たことない?」

確かにあった。ジャングルジムみたいな遊具だ。

「見たことあるよ!ひとりで登ったの?」

楽しいのならいいのだよ。でもでも、ちょっとくらいお友達と遊んでいる話も聞きたい。

「ううん、〇〇ちゃんと、〇〇ちゃんも!」
「!!!」

これは聞きたい、ぜひ話を広げたい。

「そうなんや!『入ーれーて!』って言ったん?」
「違うよ!『私もやりたい』って言ったんだよ!』
「!!!」

なんてことだ。てっきり、すでにある輪に入れてもらったのだろうと思っていた。早とちりをした自分が恥ずかしい。

「私、『入ーれーて!』はドキドキして言えないけど、『私もやりたい』は言えるの!」

……なるほど!確かにこれなら言える気がする。輪に入れてもらうのとは状況が違うけど、なんだろう、これらの違いは、紙一重のように思える。

この紙一重の違いを、自分なりに理解している娘。感心せずにはいられなかった。


こういうとき、言葉の力ってすごいなと思う。自分にしっくりくる言葉をたくさん持っていれば、きっといろんな可能性が開かれる。

反対に言葉の引き出しが少なければ、極端な思考を行ったり来たりしかねない。

「入ーれーて!」って言えるのか、言えないのか。入れてもらえるのか、入れてもらえないのか。みたいにね。

「一緒にやりたい」って思うなら、そう言えばいいし、ひとりで遊びたければ、そうすればいいのだ。


娘と話していると、自分がどれほど先入観や思い込みに支配されているのか、よく分かる。

親として、なるべくフラットな状態で娘を受け止めたい。そのためにも、言葉の引き出しを増やしていかなくては。

そう、5歳の娘を見習ってね。

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