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桃色温度は雨蛙の透明


昔々、夢の中に桃色の雨蛙が棲んでいました。


「あれ? なんだかおかしいぞ?」

と、すでにあなたはこの夢の中で目覚めています。

「だって夢には、昔も今もないのだから」

と言う声が、

どこかから聞こえてきます。

そうです。

それが『桃色雨蛙』です。

雨蛙は透明な水でできた夜空みたいなただの「ひろがり」でした。

そしてそれは

色もないのに

桃色だってことが伝わってきました。

「僕も君もあなたもみんなもないぐらい、

 ここは桃色で雨蛙な世界なんだよ」

と、雨蛙がいました。

「だから君には、すべてがわかるでしょう?

 どうしてこの世界の温度が
 
 ちょうどよい暖かさなのか?

 静かな世界と言うものはさ
 
 ちょうどいい温度でできていること。

「朝と昼」を「夜と夜中」で足して二つに割ると

 何色になるかわかるでしょ?

 すべてがたいらにひろがるような

 どこまでもたかく

 どこまでもふかく

 ひろがりながらもぐっていける 大空の温度のような

 大空に浮かぶ 世界中の雲が

 全部が全部 ひとつのつながり ひとつの気持ちみたいな

 僕はそういう桃色の雨蛙

 君はそういう

 ひとつぶの

 甘い雫」


 

朝です。

夕焼けを見つめているときと

同じ気持ちで

豆吉は目を覚ましました。
 
身体がまるで

夏の桃色の夕焼けになったみたいに甘く滲んでいるのが、豆吉にはわかりました。

そうか。

多分今日は久し振りに夢をみたのだろう。

そう思うと豆吉は、朝日に照らされたいつもの景色を眺めながら

「おはよう」

とつぶやきましたとさ。




はじまりはじまり






即興小説

Sokkyo Shijin Ai Ueoka




この物語は、ソイさんの同作童話をさっき読んで今つくりましたとさ。
おしまい❤

イラスト

Knight Monkey
内藤幸司


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