見出し画像

「男性の育休取得」が社内ルールになるまでの話。

2021年3月。
僕が働く会社の「新しいルール」として、
「男性の育休取得」が義務化になりました。


なぜ「男性の育休取得」に積極的に取り組んだのか。
なぜ「義務」なのか。
この記事では、そんな内容を綴っていきたいと思います。




男性の育休取得に取り組んだ経緯

当時、「A」さんのご家庭に初のお子様が誕生しました。
続いて「B」さんのご家庭でも第二子の出産予定がありました。
更に続いて「僕」の家庭でも第三子の出産予定がありました。

当社は若い社員さん(30歳~40歳)が多いため、
このような「幸せの連鎖」が起こっていたのです。
とてもめでたく、素晴らしいことだと、嬉しく思っていました。


そんな中、初のお子様を迎えられた「A」さんが
日に日に疲れていく表情を目にしました。


「初のお子様」
「初の子育て」
「奥様のご実家が遠い」


そんなことが相まって、
奥様が非常に疲弊していると聞きました。

でも僕からしたら、
それを僕に話してくれている
「A」さん、あなたが疲弊していますよ。
そんなことを強く感じ、とても心配になりました。


「困難は二人で乗り越える。それが夫婦」


そんな考え方も、きっとあると思います。
共感はします。でも全てがそうでは無いと思います。


うちの会社で働いてくれているからこそ、
うちの会社の仲間だからこそ、
さし伸ばすことができる「手」があるはず。

「A」さんのために、
「A」さんの奥様のために、何ができるか。
さし伸ばすべき「手」が何かを考えました。



育休取得が認められるまで

「男性の育休取得」これしかない。
直ぐにそう感じ、「男性育休」について調べました。

ネットで調べられることは調べる。
そのうえで、労務士に相談をする。
もう少し深い部分を学ぶため、育休についての本を読む。

noteの世界で仲良くして頂いていた成川献太(なりけん)さんに
アポを取り、色々とアドバイスを頂きました。


こうして得た知識をまとめ、いざ社長にプレゼン。
最初は難色を示されておりましたが、
二度目の話し合いで、無事に「男性育休取得」へのGOサインが出ました。


「A」さんが育休を取得できる
お子さんの出生から1年以内という期限まで
ギリギリの所でしたので、心からホッとしたことを覚えています。


さきほど「幸せの連鎖」と表記しましたが、
子どもが産まれて「幸せいっぱい」のはずのご夫婦が
日に日に「疲弊」していく姿は、何とも言えず複雑な気持ちでした。


なので、本当に良かった。
間に合って、良かった。


ご協力下さった皆様、
そして理解を示して下さった当社の社長。
誠にありがとうございました。




なぜ「義務」にしたのか

「長期休みは会社に申し訳ない」
「頑張っている仲間を差し置いて、自分だけ休むなんて」
「自分がいなくなって、会社は回るのだろうか」
「育休明け、戻ってくる場所はあるのだろうか」

いざ、育休を取得しようとすると、
このようなネガティブな考えが往々にして生まれるそうです。
色々な本を読みましたが、全ての本にそう書かれていました。

そこで、当社の従業員に質問してみました。


「育休取れるなら取りたい?取りたくない?」

返ってきた回答はこうでした。

「取れるなら取りたいけど、何か申し訳ないなぁ。。。」



複数の本に書いてあるだけあって、本当なんだ。と実感。

このまま育休取得を進めるのはマズイと思い、
当社では「育休取得を義務化」しました。

「お子様の出生1年以内に、9日間連続で育休を取得すること」

そう決めることにしました。



かなり強引なやり方ですが、
こうすることで育休を取得する社員を守れると僕は考えました。


もしも、仮に育休取得者が
「自分だけ9日間も休んで、なんだよ!忙しいのに!」
というように責められたとしても、
「会社のルールなんだから、しょうがないだろ」
そんな風に躱せる口実を作っておきたかったのです。

誰が何と言おうと、会社のルールになったのですから。
従ってもらわないと、いけません。
(※そんなこと言う人は当社には1人もおりませんが)

そんなことから、かなり強引ではありますが、
9日間連続での育休取得を義務にしました。




実際に育休を取得してもらって

現在(令和4年3月)までに、
当社では2名の男性社員さんが育休を取得してくれました。

「普段できない、奥さんの手伝いができた」
「とにかく奥さんが喜んでくれた」
「日常ではこれだけの時間を子供と過ごせないので、新鮮だった」
「上の子の幼稚園の送り迎えができて楽しかった」
「育休を取得してみて、良いことしかなかった」

2名共に「育休をとって良かった!!」
と喜びの声を届けてくれました。


当社のような中小企業は、
ギリギリの人数で、ギリギリの仕事を日々回しています。
1人お休みになるだけでも、なかなかのピンチに陥ります。

たった1日でもそんな状況なのに、9日間連続でのお休み。
これは育休取得者だけではなく、他の社員さんの協力がないと
決して成り立たないことだと、心から感じました。

社員のみなさん、男性の育休取得について
ご理解して下さり本当にありがとうございました。
この場にて改めてお礼申し上げます。


今後も引き続き、
「男性の育休取得率100%」を目指し、実現させていきます。




最後に

とても小さく、何とも可愛いこの時期は
一瞬で過ぎ去ってしまうものだと、最近改めて実感する。

「9日間」
決して長い日数ではありませんが、
思いっきり子供と過ごす。そんな時間を大切にしてもらいたい。
そして、僕自身そんな時間を大切にしたいと心から思う。

日々子供と向き合い、疲れをためている妻。
怒りたいわけではないのに、子供と過ごすことが日常であり、
終わる事のない育児と家事に追われ、余裕の無い妻。

そんな妻をリフレッシュさせてあげ、
柔らかな気持ちで、子供とゆっくり向き合う。
そんな時間も作ってあげることができるかもしれません。

「9日間の育休」
この9日間が僕たち親にとって、そして子供にとって、
人生の中の、最高の思い出の1つになること。
そんなことを祈りながら、この記事の締めとさせて頂きます。


2023.11.22追記
社内で男性育休を義務化するにあたり
その背景や困難、逆に良かったこと。
社内ルールとして認められるまでのこと。
その辺りを赤裸々に綴った本を発売しました。
よろしければご一読ください。




この記事が参加している募集

企業のnote

with note pro

あなたから頂いたサポートのお金は「誰かを応援する資金」に充てさせて頂きます。