第54回 エクスペンダブルズ(2010 米)
日本が一夜だけソドムになるクリスマスが今年もやって来ました。キリスト教における最も大事な祭日も、日本においては汚らわしいセックス祭りでしかありません。
毎年この時期になると日本人の宗教観のいい加減なのには呆れます。下手をすれば12月25日がキリストの誕生日である事さえ知らずにいちゃついている罰当たりも少なくないはずです。
そのいい加減さがどんな宗教も混在して共存できる社会を作っているのは確かなのでしょうが、だとしても男にも女にもモテない私は身体に悪い食い物を一杯買い込んで家に籠り、酒をかっくらって嫌な気分を紛らわす他ありません。
そんなクリスマスを楽しめない同志の為に本日は景気よく行きましょう。女人禁制の見るステロイド、『エクスペンダブルズ』でホモ祭りを盛大に執り行おうではありませんか。
皆大好きシルヴェスター・スタローンと男性ホルモン過剰の仲間たちによる傭兵軍団「エクスペンダブルズ」が繰り広げるハリウッドの奇祭。そこにはストーリーなどあってないも同然です。汗と火薬とステロイドと精液の臭いがあるのみです。
しかし、そのアホ丸出しの内容と裏腹に出演者の過去の出演作へのオマージュやメタ知識が散りばめられ、見るたびに新しい発見のある映画でもあります。
そして、出てくる男たちは筋肉以外は中学生男子レベルであり、従って凄まじいホモソーシャルの世界を形成して男をニヤニヤさせ腐女子を悦ばせます。
腐女子の皆様には上質なオカズを、男性諸氏には女なんていらねえと一晩だけでも思わせる気休めをプレゼントいたします。
エクスペンダブルズを観よう!
Amazon、Netflixにて配信があります。U-NEXTではエクステンド版が配信されていますが字幕のみです。
真面目に解説
午後ロー視聴者に贈る
本作、というよりこのシリーズの流れを一応説明しましょう。スタローン演じるバーニー・ロス率いるドクロマークがシンボルの傭兵部隊が出て殺す。これだけです。
一応もう少し掘り下げると、CIAあたりから表沙汰に出来ない仕事を専門に請け負っています。闇から闇へのエクスペンダブル(消耗品)な連中なのでこんな風に呼ばれます。
本シリーズの鑑賞に当たって絶対に無視できない点は、キャラクターと役者当人が強くリンクしていることです。所謂中の人ネタがジャンジャンと飛び出し、全て読み解くには相応の予備知識が必要になります。
つまり、午後のロードショーを毎日見ているような、偏差値の低いアクション映画にどっぷり漬かっているような人達に向けた映画であるわけです。
だからと言って私は詳しくないからと身構える必要は全くありません。このシリーズを予備知識として出演者の他の映画を観れば同じ事です。
そうして沼に浸かり切ってから改めて見直せば、そこにはまた新しい発見があります。脳筋映画ですがその実態は知の迷宮なのです。
エクスペンダブル(直球)
最初に覚えるべき点は、この映画の出演者は平均年齢が異常に高いという事です。
レギュラーメンバーの公開当時の年齢を見てみると、スタローン64歳、ステイサム43歳、ラングレン53歳、ジェット・リー47歳、ランディ・クートゥア47歳、テリー・クルーズ42歳と中高年ばっかりです。
歳とステロイドでよぼよぼになり、3Dマシマシのスーパーヒーロー映画にも今更出られず、映画界から使い捨てられた、しかし潜在的ファン層は厚い彼らを集めて映画を撮ればイケるとスタローンは考えたのです。
というわけで、出演者はスタローンと同時代を彩った仕事のない爺さん連中と、スタローンの個人的なコネで集められたこれまた過去の人の格闘家が中心になっています。
仕事がない一方私生活は問題だらけの面々ですが、それでもストーリーを破綻させることなくシリーズを続け、彼らを食わせるばかりか再評価させる流れまで作っているスタローンは案外頭が良いと感心してしまうのです。
もっとも、この映画に破綻するほどのストーリーなど最初からないのも確かですが。
西部警察方式
さて、かつてはステロイドと己の肉体一つで何もかも解決できた面々が揃っているわけですが、寄る年波には勝てないのでアクションシーンはそれなりの工夫が必要になってきます。
どうするかとうと、衰えた筋肉の代わりに火薬を増やしたのです。どでかい銃を持たせて爆発シーンを増やし、動けないのをカバーして誤魔化します。我が国の『西部警察』が発明した偉大なる手法です。
誤魔化しというと聞こえが悪いですが、これでいいのです。名前だけでわくわくするような面々が集まってドッカンドッカンすればお客さんは喜ぶのです。そういうのが大好きな人の為の映画なのですから。
警察と言えば、この映画は薬物防止キャンペーンに起用されました。私は観た時笑い転げたものです。だって出演者はどいつもこいつもステロイドといういけない薬に手を染めているのですから。
夢の体現者バーニー
今後もシリーズは続いて行くのでレギュラーメンバーを簡単に紹介しておきましょう。まずはリーダーのバーニー。主演も監督も自分というロッキー方式でスタローンは久々に張り切っています。
筋肉野郎を束ねるリーダーだけあってカリスマは十分です。60過ぎても心は中学生の悪ガキです。
しかし、如何せん定年退職のお年頃なのでアクションは他の誰よりも無理があります。
そこでスタローンは脳味噌までステロイドに浸かっていないところを見せつつ、自らの夢も実現させる美味しい手を考え付きました。
スタローンはイタリア系なので西部劇をやりたいという夢を持っていました。そこで本作でやっちゃったのです。
バーニーは西部劇でお馴染みのコルトSAAを携帯しており、いざとなると早撃ちでケリを付けます。もはや尺の長い殴り合いは厳しいスタローンの衰えをカバーする妙案です。
午後ローは好きで早撃ちが嫌いなんていう人は嘘つきです。男の子はいくつになっても銃と拳で決着が付けたい生き物なのです。
正妻クリスマス
バーニーの正妻の地位を確固たるものにしているのがジェイソン・ステイサム演じるクリスマスです。
髪はないですがまだまだ若いので一番よく動きます。ナイフ投げまくりで世界一格好良いハゲの座を明け渡したショーン・コネリーも草葉の陰で喜んでいることでしょう。
そしてイギリス人なので他の連中とは一味違う所を見せたがりがちです。他の連中はハーレーに乗っているのに一人だけドゥカティに乗ってたりします。ジョンブルならトライアンフだろうがとバイクを手放して久しい私は吹き上がってしまうのですが。
それが行き過ぎてか、バーニーの嫁のくせにレイス(カリスマ・カーペンター)なる女を連れています。バーニーへの愛を中心に回っているエクスペンダブルズなのに、クリスマスだけは女が行動原理に入り込んでくるのです。
カーペンターと言えばアメフトのチアガール出身でコーディリア・チェイスなので、美人ですが大概なオメコ芸者です。女はコンドームであり男は男だけの世界に居ればいいというスタローンの女性観が覗きます。要はコンドームです。
アホの子ガンナー
本作で一番美味しいのがドルフ・ラングレン演じるガンナーです。麻薬中毒で頭がおかしくなっており、チームを追われて敵方に回ります。
ラングレンはデカいうえに空手家なので歳の割には根性を見せます。何と言ってもラングレンは『ロッキー4』で女と引き剥がして育てたスタローンの弟子ですから、スタローンは彼が可愛かったのでしょう。
ガンナーもバーニーが好き過ぎてヤンホモ入っているのですが、これについてはBL的の方に譲ります。
いずれにせよ、『ロッキー4』のドラゴの印象が強すぎて役柄が限定され、午後ローにもスルーされるような映画にばかり出ていたラングレンは本作でイメージを刷新させ、近年見違えるように元気になっています。
町山智浩氏はこのシリーズを「ハリウッドの福祉事業」と称していましたが、このようにこのシリーズを機に表舞台に返り咲くとは言わないまでも、出演作を増加させた役者はかなりの数に上ります。
マスコット担当ヤン
ジェット・リー演じるヤンはチームのマスコット、というには少し口うるさすぎるキャラクターで印象を残します。
ジェット・リーと言えばカンフー映画のスーパースターでしたが、今では大病を患ってカンフーどころか身動きさえ思う様に取れない状態ですので、こういう方向に味付けして使うわけです。
背が小さい(170センチ弱)のを他の連中にイジられ、何かというとギャラアップを要求するアメリカ人の考える中国人像を体現しています。
もっとも、170センチちょっとしかないスタローンは身長の事を言う資格はないのですが、そこは特権というものです。
以後のシリーズではまったく動かずにアクションシーン不参加を決め込むのですが、今作ではまだ元気が残っていたと見えて一応見せ場があります。
もっとも、彼の真価はBL的の方です。しかも、本作はほんのジャブです。
ガチ枠トール
スタローンの趣味で集められた格闘家枠でメンバーに入ったのがランディ・クートゥア演じるトールです。
クートゥアと言われても、と格闘技に興味のない人は思うはずですが、総合格闘技の頂点を極めたその道の大物です。
そのバックボーン故に耳が潰れているのをイジられる程度であまり目立つ役どころではありませんが、なにしろチャンピオンなのでアクションになると話が変わってきます。
とはいってもアクションでも投げ技が中心で一見は地味です。しかし、ある程度格闘技に通じていると分かるのです。これは一番ヤバい奴だと。
100キロはありそうな敵を担いでぶん投げたりするのです。スタローンにやれと言ってできるものではありません。そして、クートゥアがこのメンバーに入っているというだけで格闘技好きは嬉しいのです。
その他にもPRIDEでお馴染みだったノゲイラ兄弟や、プロレスラーの"ストンコ"ことスティーブ・オースチンが敵方で出ていたりと、スタローンの格闘技方面の人脈もこの映画では生かされています。
筋肉王シーザー
トリはテリー・クルーズ演じるシーザーです。クルーズは元NFL選手なので筋肉が群を抜いています。淀川先生が生きていたら一番喜ぶのは彼でしょう。
海外ドラマ好きには『ブルックリン・ナイン-ナイン』でお馴染みですが、本シリーズでは一番殺しを純粋にエンジョイしているちょっと危ない役どころです。ですが、テリー・クルーズはこのメンバーだとどうしても格落ち感が否めません。
というのも、この役は最初はウェズリー・スナイプスに用意されていたのです。ところがスナイプスは脱税で臭い飯を食う羽目になって出演不可能になり、筋肉モリモリなところが気に入られてクルーズが抜擢されたという経緯があります。
これが出世作となって『ブルックリン・ナイン-ナイン』に出演できた側面もある為、まさに筋肉が身を助けたということです。
そして、Metoo騒動の折、偉い人にともだちんこされた事を証言して波紋を呼んだのも記憶に新しい所です。結局シュワちゃんとお風呂に入り損ねた淀川先生もびっくりです。
ステロイドに溺れろ
エクスペンダブルズを取り囲む面々も大概アクの強い連中が揃っています。彼らのたまり場になっているバーの大将からしてミッキー・ロークだったりするのです。
本作だけの出演ですが、ローク自身の女癖の悪さをネタにしたりと絶好調です。こんなノリでアクションスターが過剰供給されるのです。
エクスペンダブルズに依頼を持ってくるCIAのチャーチなる男はブルース・ウィリス。こんな連中に仕事を頼むからツキが落ちるんじゃないかと『ダイ・ハード』ファンは笑ってしまうのです。
絶対に外せないのがエクスペンダブルズの商売敵のトレンチ。何気にこのnoteに初登場のシュワちゃんです。このメンバーでシュワちゃん抜きは客が許さないでしょう。客が許しても淀川先生が。
もっとも、当時はまだ知事でしたしステロイドの摂取量もスタローンの比ではないので肉体的衰えは一層ひどく、アクションはやらずスーツ姿で裏方ですが。
そして、シュワちゃんが出るという事はこの映画は吹替で観るべきという事です。というよりこの映画をあえて字幕で観るという選択はないでしょう。
シリーズが進むと「いつもの人」が被ってしまい、二番手の人が吹き替えたりするのも面白い所です。吹替声優はもはや役者の一部なのです。
その他カート・ラッセルやスティーブン・セガールにも話が行ったというのですから、スタローンはもう何を考えているのか(誉め言葉)という話です。
愉快なヴィレーナ島
エクスペンダブルズはチャーチの依頼を受けて南米の小島ヴィレーナ島を牛耳る独裁者のガルザ将軍(デイヴィッド・ザヤス)を始末しに行きます。
南米の小国で将軍が独裁者というのは嫌なリアリティがありますが、ガルザ将軍は独裁者とは言いつつもどうにもお人好しなところがあり、根っからの悪党ではありません。
何と言ってもザヤスと言えば『デクスター』のエンジェルですし、元警官という水野先生大喜びのバックボーンの持ち主なので、島の住民を搾取しつつもやっぱり郷土愛が先に来てしまい、非道な行いに躊躇いを見せる難しい役どころをいい感じに演じ切ります。
そんな将軍がボスではエクスペンダブルズが南の島に血の雨を降らせる動機が不十分です。やっぱり背後には黒幕が居るのです。
ラスボスはガチ
書いて字の通りです。このシリーズのラスボスは私生活が滅茶苦茶過ぎて干されている人が地で務めるのが恒例になっています。
今回のラスボスはガルザ将軍の裏で麻薬を栽培して儲けようとたくらんでいるモンロー。演じるのはジュリア・ロバーツの兄のエリック・ロバーツです。
日本ではあまりなじみのある役者ではありませんが実力派の悪役俳優です。しかし麻薬とDVで身を持ち崩して妹とも縁を切られ、にっちもさっちもいかなくなっていたところへお呼びがかかったのです。
吹替が大塚芳忠なのも実に胡散臭くてヤバそうな雰囲気を出しています。そもそもアクション俳優ではないので演技の方がしっかりしていないといけないのです。
果たしてロバーツはこの演技で一発逆転に成功し、本作以降目に見えて出演本数が増加しました。今やハリウッドを干されている不良中年たちは皆エクスペンダブルズと戦う事を望んでいるのです。
BL的に解説
ホモ大奥エクスペンダブルズ
バーニーには人事権があり、新しいメンバーを入れるも外すもすべてはバーニーの胸一つです。
そして、エクスペンダブル(消耗品)と言いながらメンバーは流動性が全くなく、バーニーはいつもの面々とばかり仕事をして、消耗品どころか宝物のように大事にしています。
この矛盾はいちいち説明は要らないでしょう。エクスペンダブルズはバーニー好みのいい男だけを集めたホモ大奥なのです。
スタローンは古き悪しき共和党員の典型のような男で、地でこういうホモソーシャルな世界が大好きです。
なんと女人禁制のホモソーシャルクラブを作り、同じ共和党とは言えリベラル寄りのシュワちゃんを誘って拒絶されたという腐女子大興奮のエピソードもあるのです。
私はまだ修行が足りないのか、いい大人が何アホな事をやっとるんだという感想が先に来てしまいますが。
つまり、スタローンは半分趣味でこの映画を作ったのです。マッチョな野郎同士でいちゃつくという欲望がこのシリーズの裏には潜んでいるのです。そして『ロッキー』一挙レビューで提唱したスタローン総受けがここでも生きてきます。
クリスマス×
クリスマスなのでやっぱり最初は王道であるこの二人から行きましょうね。
のっけの海賊退治からもう二人はお互いのナイフとコルトで殺す人数を巡って夫婦喧嘩をおっぱじめます。
もう歳だから自分に譲れといい所を見せようとするクリスマス、まだ若い者には負けんとやっぱりいい所を見せようとするバーニー。
結局この愛のシーソーゲームは引き分けに終わりました。もう他の面々はまた始まったという表情です。
しょっぱなから実質セックスです。こんなのがずっと続くのですから腐女子の皆様はこの映画を観ないと損です。
そして、エクスペンダブルズの輸送機はバーニー自ら操縦するのですが、クリスマスの指定席は何と助手席です。これだけで二人が特別な関係である事は明白です。
そしてヴィレーナ島に二人きりで偵察に行く機上でバーニーはレイスが間男をこさえたというので落ち込むクリスマスを励ますふりをしてやんわり女なんて下らないと説きます。
そしてレイスと別れる意思はないながらも嬉しそうなクリスマス。飛行機を自動操縦にしてヤっていても驚きません。
そして環境保護団体のふりをして島に潜り込むのですが、その様は完全にゲイカップルのデートです。入国管理官が二人の事を訝しがっていたのはそのせいとしか思えません。ラテンアメリカは同性愛に厳しいのです。
そしてデートしながらまだバーニーはレイスとの離縁を執拗に勧めます。ついでに将軍の娘のサンドラ(ジゼル・イティエ)というエロい姉ちゃんが案内役に来てくれますが、こんな事は些細な問題です。
将軍の配下が襲ってきますが女問題も何のそののコンビネーションで、夫婦喧嘩しながらジャンジャン殺して逃げていきます。つくづく山路和弘は男同士の夫婦喧嘩が上手い人です。
サンドラは二人のあまりのホモ臭さにビビってか飛行機で一緒に逃げるという提案を拒否し、またしても飛行機は二人の愛の巣に変身してしまいます。
しかも、さっさと逃げればいい物を発着場の桟橋まで追って来た兵士を片付けていきます。しかもこの飛行機、機首にクリスマス用の隠し座席があり、わざわざここから機銃が撃てる仕組みになっているのです。
中学生が考えるようなアホ過ぎるギミックです。どう考えてもバーニーとクリスマスの趣味です。あそこにクリスマスが座って機銃掃射をかますこと自体がもうプレイなのです。
帰りも自動操縦にしてバーニーの尻に機銃掃射が行われたのは明白ですが、クリスマスと来たらまだレイスに未練があり、おまけに間男がDVをしたのを知って間男の元に殴り込み、「タマを潰す」とホモ特有の脅しをかけてレイスとの決別を宣言します。バーニーはこの瞬間勝利したのです。
バーニーはツールの誘導もあって島に単身戻る決意をします。単身というのがポイントです。クリスマスは「女に貸しでもあったか」と止めるのがすでにレイスがコンドームに堕ちている証拠です。
そして「残った俺らはいい気分しないだろ」と構ってちゃん戦術まで取ります。エクスペンダブルズはこの戦術が得意です。バーニーは構ってちゃんフェチなのです。
結局ガンナーの襲撃の後にクリスマス達は「世話の焼ける」などと言いつつ無茶苦茶嬉しそうに合流します。勿論トールとシーザーも一緒です。彼らもまた大奥の綺麗どころなのです。
そして総出で将軍とモンローの宮殿に殴り込み、お待ちかねのラストバトルに突入です。
バーニーがピンチの時にもやっぱり駆けつけてきて男を見せます。トールとヤンも一緒ですが、何しろクリスマスは徒手空拳の二人と違ってナイフが武器なのでえげつなさが違います。俺が正妻だと二人に見せつける勢いです。
そしてもうこの後はストーリーも糞もありません。ひたすら火薬の大安売りです。西部警察も真っ青の頭の悪い殺し合いが数十分に渡って続きます。
ストーリーらしいものはクートゥア対ストンコの異種格闘技戦があるくらいです。ストンコは負けましたが死に様が凄かったのでやっぱり一番すげえのはプロレスなんだよということなのでしょう。
最後はモンローがサンドラを人質にひとしきり演説をしてバーニーの早撃ちの餌食になって幕切れとなりますが、クリスマスも後ろからナイフを投げつけてダメ押しの正妻アピールをしていちゃつくのを忘れません。イギリス人は恋と戦争では手段を択ばないのです。
その後なんかバーニーとサンドラは良い感じになってしまいますが、クリスマスは「あんたのタイプじゃなかったろ」とジェラシーも見せます。そして笑うバーニー。サンドラもやっぱりコンドームなのです。
そして最後はシリーズ恒例のバーでの打ち上げとなります。ツールとナイフ投げで張り合うクリスマス。いうまでもなくツールへのけん制に他なりません。一線を退いた爺に俺のバーニーを渡してたまるかというわけです。
そして最後はシェークスピアが怒りそうな稚拙な詩を詠みながらナイフを投げて映画は終わります。やっぱりクリスマスは特別なのです。
バイクで何処かへと去っていくエクスペンダブルズ。多分ブルーオイスターで二次会でしょう。まさに今夜はフィジカル。いや、彼らは常にフィジカルです。
ガンナー×
ガンナーは麻薬よりもバーニーにイカれている末期のヤンホモです。誰よりもバーニーを思っているのはガンナーなのです。
海賊退治で生き残った海賊を吊るそうとしたのもバーニーの気を引くためです。クリスマスといちゃついているのが面白くないのです。MITまで行ったのに心は小学生男子のままなのです。
その上ガンナーは止めに来たヤンを殺そうとします。バーニーは子守りに大忙しですが、そうやってバーニーに世話を焼いてもらうのがガンナーにとって最高の快感なのです。
しかし、バーニーはこの一件を機にガンナーをチームから外す決意をします。しかし、それはガンナーの為を思っての事です。
一方ガンナーにとってそんな提案は呑めるものではありません。バーニーと離れたくないのですから。
バーニーが仕事を取って来たのをホモ特有の嗅覚でいち早くかぎつけ、外さないでくれと懇願しますが、バーニーは「ヤクに溺れていて信頼できない」と突き放します。
これにガンナーは無茶苦茶怒ります。自分はバーニーの為に命を捨てる覚悟なのに、バーニーはそう思っていないのですから当然です。
なんならガンナーは自分だけを見てくれないバーニーへの当てつけで薬をやっている節があります。この二人の悲しいすれ違いが話をややこしくしてしまうのです。
あろうこかガンナーはモンローの下に走り、強引に配下に加わります。理由を聞かれて「痴話喧嘩」と即答するあたり、金は本当のところどうでもよく単なるバーニーへの当てこすりなのが明白です。
そして島に戻ろうとするバーニーに襲撃をかけます。カーチェイスになりますが、どうにかしのぐバーニーにガンナーは「さすがだ」なんて言っちゃいます。
そしてお目付け役のペイン(ストンコ)にさっさとやれと言われて逆切れしてペインを蹴り倒して二人きりの世界に耽るのです。オメコ芸者、わりゃあ黙っとれというわけです。
カーチェイスはクラッシュでお開きとなり、ヤンとガンナーの殴り合いになりますが、バーニーが銃で適当なタイミングを見て水入りにします。
バーニーはちゃんと心臓を外していますが、ガンナーは死を覚悟してしまいます。どこまでも構ってちゃんです。
「一度くらい人の役に立て」とバーニーに説得され、ガンナーはわざわざバーニーに耳を寄せさせて雇い主と島の情報を吐くのです。
これはガンナーのマッチポンプだと私は見ています。バーニーは自分を殺したりしないという確信があり、またガンナーもバーニーを殺すつもりはは最初からなく、こういう形でバーニーの役に立てば自分をまた構ってくれるというのを計算しているのです。流石MITは恋でも策士です。
というわけでガンナーも最後はきっちり生き返って打ち上げに参加します。そして何事もなかったかのようにチームに戻り、ヤンホモでバーニーを困らせるのです。
ヤン×
ヤンは金にうるさく、居もしない子供の学費と称してボーナスを寄越せと執拗に要求します。
小柄な分負担も大きいというのがヤンの言い分ですが、バーニーはボーナスを一回も払っていないようです。
つまり、ボーナスはバーニーが身体で払っているのです。ヤンの東洋人特有の堅い青龍刀と房中術がイタリアの種馬を雌馬にすることでプラマイゼロなのです。家族など居ないはずです。居たら邪魔ですから。
単身ヴィレーナ島に戻る決意をした時にもヤンはクリスマスに先んじてバーニーに無理矢理同行して抜け駆けを狙いに行きました。
二人して車でいちゃつきながら死地に赴く様は健さんと池辺良そのものです。まさに東洋の神秘。バーニーはメロメロです。
家族もいつかは持つさなどと言っています。トレンチがお膳立てして同性結婚が認可されたカリフォルニアで式を挙げてやるという野心の表明です。これは後のシリーズで重要な伏線になるのでよく覚えておいてください。
そこへヤンホモガンナーが襲撃をかけます。このシーンはヤンとガンナーとバーニーの複雑な三角関係からくる痴情のもつれの産物なのです。
そして、バーニーは「ヤンを守る為」という名目でガンナーを撃ちます。こんな事言われたらヤンはまた別に欲しくもないボーナスを要求してしまうのをバーニーは知っているのです。
チームとの合流後もこのハードなプレイの顛末を知らない他の仲間は不思議がりますが、ヤンは「涙なしには語れない」と自分とバーニーだけの濃厚な時間に優越感を爆発させ、クリスマスに「俺一人でも勝てた」とくぎを刺すのを忘れません。
そして、そんな風に正妻争いをしながらもなんだかんだ嫁同士でいちゃいちゃする彼らとの甘美な一夫多妻、いや一夫多夫がバーニーはたまらなく楽しいのです。
ガンナー×ヤン
ガンナーはヤンホモである反面多情でもあり、ヤンを執拗にいじります。これもまた小学生レベルの愛情表現です。自分は2メートル近いものだからチビネタに迷いがありません。
海賊を吊るすのを力づくで阻止しようとしたヤンをガンナーはこれまた力づくで抑え込んで殺そうとします。こんなの実質セックスです。いきなりSMとは流石ポルノの本場スウェーデン生まれは違います。
この二人は間違いなくデキています。バーニーと二人していちゃついているところを襲撃して車をクラッシュさせ、まずヤンに襲い掛かったのがガンナーの複雑な乙女心を物語っています。
そしてヤンをミニペンギン呼ばわりです。北極圏に生まれたガンナーが知らないはずがありません。逞しい命知らずの男達がペンギンと互いの尻を性処理に使いながら未踏の地を目指した極地探検の闇の歴史を。ヤンは南極二号なのです。
そして二人の勝負は不透明なままバーニーの銃撃でお開きとなります。ヤンを守る為とバーニーは言いましたが、ガンナーは「ビビらしただけだ」と殺意を否定します。
これは本心です。適当なところでバーニーが止めてくれることを知っていたのです。何の事はありません。すべてはプレイだったのです。ガンナーは小柄な男とSMするのが大好きなのです。
それを証拠に最後の打ち上げではお互いを許してイチャイチャしています。しかもガンナーはヤンの「俺が勝ってた」という言葉を否定しません。SMは信頼関係なくして成立しえないのです。
ツール×
バーニーの身体はタトゥーだらけですが、これはバーのマスターであるツールが彫っているものです。
刺青を彫るというのは実にエロティックな行為であるのはホモレズノンケを問いません。もう実質セックスです。彫る事は掘る事なのです。
二人はかつて一緒に戦った仲であり、バーニーはガンナーの代わりに復帰しないかと誘ったりといちゃつきます。ツールはエクスペンダブルズを抜けてもやっぱりバーニーの男なのです。
サンドラを残して島を去り、仕事を断る決意をした時もツールに相談します。そしてツールはセルビアで一緒に戦った時の思い出話をして結局バーニーは島に戻る決意をします。
ツールはバーニーのお人好しで戦闘狂な性格を誰よりも知り抜いているのです。何しろ一緒に二人だけ生き残るような修羅場を何度も潜ってきた仲です。当然一回もヤっていないはずがありません。
第一ミッキー・ロークは実はプロボクサーであり、インディアン王者なるインチキ臭い相手と武道館でデビュー戦をした過去があります。スタローンと相性が良いのは当然です。
それに、やっぱり代表作は『レスラー』でしょう。リングの上で実質セックスをするのが得意な二人が惹かれ合うのは当然の帰結なのです。
ヴィレーナ島ゲイアイランド説
元CIA局員のモンローはガルザのケツをカいて(意味深)クーデターを起こし、裏で完全に島の実権を握って身も心もガルザを支配しています。
モンローのゲイのサディストぶりたるや凄まじいものがあり、ガルザ将軍に無理矢理窃盗の容疑者を射殺させ、部下の前で無理筋に将軍をなじり、「私は君のライフラインだ」と独占欲をむき出しにします。
そして金で買えない物はないと悪役の王道を突っ走った事を言って将軍を傷つけます。勿論、将軍の尻も金で買えてしまうのです。
そんな哀れな将軍を見て彼に付き従っている赤いベレー帽がトレードマークの兵士たちは悲しそうです。そう、彼らは将軍の楯の会なのです。
彼らにとって将軍はこの美しき故郷の島を愛する優しい父親であり、夫なのです。なのにそんな俺たちの将軍は金に目がくらんで嫌味なアメリカ野郎にその故郷を売り渡し、不浄なコカの栽培などに手を染めてしまったのです。彼らの心中や想像もできません。
将軍の「金で買えないものもある」という必死の抗弁が全てを物語っています。そう、愛は金で買えないのです。それはコカイン以上の快感なのです。
そんな優しいガルザ将軍の娘なのでサンドラは危険を承知でエクスペンダブルズを島に引き込んだわけですが、郷土愛溢れるガルザ将軍の娘なので島からの脱出を拒否してモンローに捕まり、処刑の危機です。
嫌がるガルザ将軍への「人恋しい日には相手してやる」というモンローの議論の余地なきガチホモ宣言にはめまいがしました。
モンローの配下の面々も相当にホモ臭い連中が揃っています。若頭格のペインなど売込みに来たガンナーを露骨に敵視してあわや撃ち合いのにらみ合いです。
将軍とガンナーを見るに、恐らくモンローはガタイ専なのでしょう。なればこそペインは寵愛を受けているわけですが、ドルフ・ラングレンなどに来られてはピンチです。
ドウェイン・ジョンソンを筆頭にプロレスラーは素人にしては芝居が上手いものですが、ストンコはこの辺見事です。何しろ彼の所属するWWEの副社長はゲイだと専らの噂ですからね。結婚しても偽装だとプロレスファンが信じて疑わない小橋建太とデキていたと信じられています。
ペインは女も平気で殴るのでサンドラを大喜びで拷問します。こういう時は興行的見地からもヤっちゃえばいいものを、一向にその気配がありません。
つまりスタローンの趣味です。男同士の崇高な戦いに女とのセックスなどという汚らわしい不純物は不要なのです。後で下っ端がヤりに来ますが直前でバーニーが血祭りにあげます。
ペインもまたエロエロのサンドラを前にそういう事に興味を示さないのはやはりモンローを愛しているからです。
シュワちゃんは筋トレは女と寝るより快感だと言ったそうですが、ペインにとってモンローの期待に応えるのは女と寝るより快感なのです。
一方将軍は一転攻勢のリバを狙い、愛する妻にして息子たちに戦士の顔と称した強そうなフェイスペイントを施し、「男は決して子供を殺さん」と男らしい戦士の心得をモンローに説いて宣戦布告です。
そして貰った金を叩き返して島から出て行けと迫り、痴話喧嘩をおっぱじめます。
そしてバーニー達とドンパチやっていた部下たちに演説をぶってモンローの排除を呼びかけますが、結局モンローに射殺されてしまいます。
ホモ臭い私兵と無理筋の演説からの死。五十回忌を迎えたばかりのあの人を思い出す死に様です。ホモは最後を華々しくしたがるものなのです。
モンローの方はサンドラを人質にして最後の悪あがきをしますが、筋肉がすべてを支配するこの世界で筋肉の無い男は何をやっても無駄です。
トレンチ×
この二人は長嶋と王、馬場と猪木みたいなものなので二人向き合うだけでBLになる勢いです。
やっぱり元戦友という関係なのもですが、チャーチに呼び出されて久々に再開するやトレンチは「しばらく見ない間に締まったな」とスタローンが萎んだ事をちくりとかまし、バーニーも「貫禄が付いたな」とシュワちゃんが太った件でやり返します。
ホモ臭いやり取りです。お互いのコンプレックスを突き合える仲というわけです。しかもなんだかんだ凄く楽しそうなのが最高です。
チャーチの「慰め合いならは後にしてくれ」というコメントも光ります。コンドーム扱いされて面白くないのです。ブルース・ウィリスさえコンドーム扱いすなんですから半端じゃありません。
トレンチはヴィレーナ島の危険さを事前に知っているので「ジャングル好きの友人に譲る」といって手を引いてしまいます。
しかし、その後「1000年後」という約束で食事に誘うのがコマンドーのランボー評の全てです。生きて帰ってくることを全く疑っていません。
もっとも、トレンチについては今回は前戯にすぎません。後でもう凄い事になります。しかも意外な相手と。
お勧めの映画
独自の統計(主観)に基づきマッチング度を調査し、本noteから関連作品並びに本作の気に入った方にお勧めの映画を5点満点にて紹介します
ロッキーシリーズ
『ロッキー』
『ロッキー2』
『ロッキー3』
『ロッキー4/炎の友情』
『ロッキー5/最後のドラマ』
『ロッキー・ザ・ファイナル』
『クリード チャンプを継ぐ男』
『クリード 炎の宿敵』
ご支援のお願い
本noteは私の熱意と皆様のご厚意で成り立っております。
良い映画だと思った。解説が良かった。憐れみを感じた。その他の理由はともかく、モチベーションアップと資料代他諸経費回収の為にご支援ください。
クリスマスプレゼントください
皆様のご支援が資料代になり、馬券代になり、励みになります。どうぞご支援賜りますようお願いいたします