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就活のタイミングを3度も逃した人間の就職活動|その4:就職エージェントは良いぞ編

博士課程を満期退学して22卒の就職活動をしているあごひげ20cmです。

この記事およびマガジンでは、博士課程卒の就職活動について自分の体験談を紹介しようと思っています。境遇の近い方や興味のある方はお付き合いください。全4回+αになる予定です。

前回のテーマは『食品業界にアタック!』でした▼。

第4回のテーマは『新たな業界への進路変更』です。博士卒で就職活動を始める方には一番参考になる回かと思います。

1. アカ〇クのセミナーが転機に

 食品業界に絞った就職活動で苦戦していた4月下旬、選考中の企業は5社に減っていました。そんなある日、1通のメールが届きます。

 それは就活を始めたばかりの頃に登録だけしてずっと放置していたアカ〇クからの「博士卒のキャリア論」と題されたWEBセミナーの案内でした。

 それまでの就職活動中、自分は「博士卒」という肩書きになんとなく引け目を感じていて、意識的に修士卒と同じようなアピールを心がけてきました。そんな自分にとって、博士卒ならではのキャリアという触れ込みは魅力的に映りました。すぐにこのセミナーに申し込みました。ちなみに講師はこちらの方でした▼。

 セミナーで特に印象的だった話題が、「専門性」と「汎用性」についてでした。博士卒人材が身に付けてきたスキルの数々は、専門性と汎用性のグラデーション軸の中にマッピングできるという話。「専門性」を頂点に置いたピラミッド図が分かりやすかったです。
 例えば、自身の研究テーマの最新理論についての知見は「専門性」の最たるものになります。これを頂点に配置。もう少し汎用的なものへと目を移すと、データを統計処理するスキル、英語論文を読み書きできる英語力などが挙げられそうです。さらに「汎用性」を突き詰めると、Officeを使える、計画通りに物事を進められる、チームで仕事を進められるといったところまで分解できるでしょう。
 重要なポイントは、博士課程まで専門性を突き詰めてきた人材がどこまで汎用性に目を向けてアピールできるかという話でした。というのも、博士人材の典型的な就活失敗パターンが、自身の専門性にこだわるあまり視野が狭くなってしまって身を滅ぼすというものだからです。実際、自分が食品業界に絞って就活をしていた理由にも、専門性が活かせそうだからという部分がありました。(かと言って、汎用性にこだわりすぎるのも良くありません。汎用スキルで良いのなら「学部卒・修士卒で良かったのでは?博士まで進学した意味ない?」と自己肯定感が下がるからです。)

 そんな話の中で、博士卒人材の本質的な能力として紹介されたのが高度な課題定義能力でした。言い換えれば、学部の卒業研究から博士論文までを通して培われる、課題を自ら設定して解決していく能力です。
 自分にとっては目からウロコな視点だったので印象に残っています。というのも、自分が食品メーカーにアピールしていたのは「料理が得意」「海外経験が豊富」など、別に博士課程でなくても身に付くようなスキルばかりだったからです。

 このセミナーを聴いた後、自分は改めて自己分析をやり直しました。自分が培ってきたスキルをマッピングし直し、博士卒まで進んだからこそ身に付いた能力を探索したのです。こうして自分は博士卒ならではのアピールポイントをようやく手に入れました。これを武器にして、それ以降の就職活動を進めていくことになります。

 ちなみに上述した内容は講師の方のnoteにも書かれていますので、興味のある方はご一読ください▼。

2. エージェントとの二人三脚

 転機となったセミナーを受けた翌週、セミナーを主催していたアカ〇クとの電話面談がセッティングされました。担当の方は物腰の柔らかい男性で、現在の就活状況やこれまでの遍歴、研究テーマについて1時間ほど熱心に聴いてくださいました。自分は、これまで1人で就職活動を進めてきたこと、食品業界の開発研究職に絞って応募してきたが成果が上がっていないこと等を伝えました。

 電話面談は自己分析の発展形、いわゆる「他己分析」でした。話しているうちに明らかになったのは、身に付けてきたスキルを臨機応変に活かすような時に自分は達成感を覚えること、そして新しいことにどんどん挑戦して成長したいという意欲が強いことでした。身近に相談できる人が少ない自分にとって、こういう他者からの視点はとても参考になりました。相談相手、大事。


 面談を終えた日の夕方、さっそく送られてきた担当者からのメールを見て自分は目を剥きました。18社の求人票を一度に送りつけられたからです。指向性を探るためにも各社がどう見えるかを評価してほしいとお願いされました。

 翌日は丸一日かけて、求人票と企業HPを見て18社の企業研究をしました。2度目の自己分析や電話面談で明らかになった自身の特性をもとに、自分とのマッチング度合いを吟味する作業。とても大変でしたが、自分だけでは到底たどり着けなかった可能性の山にワクワクもしました。企業研究を通して興味が持てる企業と持てない企業に分け、そう考えた理由を1社ずつエージェントにお伝えしました。

 この時、自分が興味を持った企業はざっくり3パターンでした。研究支援系、IT系、コンサルティング系です。
 研究支援系は博士課程での専門性を部分的に活かせそうな仕事でした。具体的には、研究機器&試薬などの専門商社、研究者のアウトソーシング(正社員として雇用されながら研究者として企業に派遣される業態)などです。
 逆に、IT系とコンサル系は自身の汎用性を活かせそうな仕事でした。課題を整理して解決する論理的思考力、データを分析してまとめる力、分かりやすくプレゼンする説明力などが特に求められる業種だと感じました。ただし、ひと口に「IT」「コンサル」と言っても企業によって事業領域が大きく違っていたので、業界研究・企業研究は苦労しました。


 こうして、ひとり相撲の就活を卒業し、就職エージェントとの二人三脚を始めたのが5月中旬のことです。企業説明会を10社ほど受けながら、選考に進むための志望動機を具現化していきました。IT系・コンサル系については事前知識がまったくなかったので、企業の説明を聴きながら業界全体についても学んでいくという自転車操業っぷりでした。

 説明会ラッシュが終わったかと思えば、今度は面接ラッシュがやってきました。週5回ペースで面接をこなす日々。相変わらず面接準備に1社あたり1時間近くかけていたので忙しかったですが、そのぶん面接の手応えも良くトントン拍子で進む企業が多かったです。


3. 結果は……!?

 6月上旬にはエージェント経由で申し込んだ企業から1社目の内々定をもらうことができました。このご時世では珍しく、対面での説明会・入社試験・役員面接を実施した企業でした。志望度はそれほど高くなかったですが、とにかく内々定を1つ確保できたことで心の重荷がふっと軽くなりました。

 その後、比較的志望度の高い企業からも内々定をもらえたことで、志望度の低い企業の選考を辞退して上位陣を吟味するフェーズに入ることができました。現在は、ありがたいことに複数社から内定をいただき、内定後面談を通して会社理解を深めている段階です。納得度の高いまま就職活動を終えられそうでほっとしています。


 就職エージェントを使わせていただいた感想ですが、良かった点が多くて満足度は高いです。一方、悪かった点も少しあったので、それぞれ紹介します。

 まず就職エージェントの良かった点について。
 1つは、知らなかった職種を紹介してもらえて視野を広げる機会になった点。世間知らずな自分にとって、これはとてもありがたいことでした。就活初期には大学キャリアセンターの個別相談も活用しましたが、博士卒へのサポート体制が意外なことにあまり整っていなくてがっかりしたこともありました。その点、アカ〇クのサポートは非常に助かりました。
 もう1つは、書類選考にかける労力が圧倒的に少なくて済む点。アカ〇クが作成した履歴書フォーマットを埋めてアカ〇クに提出しただけで、10社以上の書類選考が終わりました。1社1社個別に履歴書やESを作成して提出していたのと比べると、時間効率がはるかに良かったです。
 最後は、書類選考が簡単だったぶん面接にじっくり時間をかける企業が多かった点。食品業界大手では面接時間が15分なんてこともザラで、不完全燃焼に終わることがフラストレーションでした。一方、エージェント経由で応募した会社は中小企業が多いこともあり、1時間近く対話してくれるところが多かったです。このお蔭で、面接の結果がたとえ不合格でも、その結果を納得しやすかったことが救いでした。また、面接対策として過去に訊かれた質問例や重視されるポイントを、エージェントが事前に共有してくれたことも大きな助けになりました。

 逆にエージェントの悪かった点。それは、企業とのやり取りをほぼ全てエージェント経由でおこなうため、企業とのコミュニケーションが煩雑になりがちな点です。面接の日程調整や結果報告などはややスピード感に欠け、トラブルが起きやすい構造だと感じることがありました。
 例えば、「〇日までで面接可能な日程を」と言われてその範囲の希望日時を送ったところ、その〇日になっても面接の案内が来ず、自分の希望日時にはなかった翌週の△日というピンポイントな指定をされたことがありました。もっとひどいトラブルとしては、予約していた面接の時間になっても面接URLがエージェントから共有されず、自分も企業も迷惑を被ったという珍事もありました。

 一連のメリット&デメリットを認識しながらエージェントを上手く活用していくのが1つの正解かなと考えている今日この頃です。もしももっと早い段階(例えば3月とか)からエージェントを活用していたら、もっと広い選択肢を確保できたのかもしれないですが、それは後悔先に立たずというやつです。賢明な就活生の皆さんには、就職エージェントも活用しながら自分でも企業にエントリーする2足のわらじスタイルをオススメします。


次回予告

 次回のテーマは『就活の反省を伝える』です。連載中に伝えきれなかった就職活動全体の反省点をあとがき的に書いてこの連載を締めくくりたいと思います。お楽しみに。


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