「平均65点」よりも「誰かの120点」。 木村石鹸さんと話した小さなブランドならではの“良いものづくり”
アジャイル コスメティクス プロジェクト(以下ACP)が、noteを通じ出会った木村石鹸さん。
生まれたてほやほやな東京の新ブランドであるACPと、96年もの歴史をもつ大阪の老舗である木村石鹸という、一見正反対な2つのブランドを結びつけたのは「本当にお客さまにとって良いものを作る」という姿勢でした。
そんなシンパシーを感じた木村石鹸さんのことをもっと知りたい!ということで、ACPの内保が木村石鹸4代目社長の木村祥一郎さんとZoomで対談させていただきました。
ラジオ感覚でつれづれに語る2人の会話を、前編・後編でお届けします!
おしゃべりしたのはこの2人
木村石鹸 木村祥一郎さん
note→https://note.com/yudemen
Twitter→@yudemen
木村石鹸4代目社長。もともとは家業を継ぐつもりはなく、大学を卒業後はご自身でIT会社を立ち上げたという木村さん。取締役として18年間IT業界に身を置いたのち、ご本人も「まさかだった」と家業である木村石鹸を継ぐことに。 2016年に代表取締役に就任して以来、木村石鹸を現代的にアップデートしつづけています。
木村石鹸とは?
大正13年創業の老舗石鹸メーカーである木村石鹸さん。もともとは業務用の液体や粉末の石鹸・洗浄剤を製造していましたが、木村さんが社長に就任してからは国内で数少ない釜焚きの純石鹸シリーズ「SOMALI」など自社ブランドもスタート。髪に良いことだけを考えた、正直な処方のシャンプー&コンディショナー「12/JU-NI」(ジューニ)はクラウドファンディングで1699%達成し話題となりました。
アジャイル コスメティクス プロジェクト 代表 内保友子
アジャイル コスメティクス プロジェクト代表。大学卒業後、大手外資系メーカー2社で化粧品や消費財のブランド・マネジメントを担当。2018年にアジャイル コスメティクスに参画し、ブランディング・製品の開発から組織づくりまで、様々な分野でブランドをアップデート中です。
公式Twitter→@AgileCosmetics
「アジャイル」という言葉にやられた
木村石鹸さんとACPの出会いは、実はこのnoteがきっかけ。
木村さん(以下木村):ブランド名を初めて目にしたとき「アジャイル」という言葉にやられた! となったんですよ。
僕は以前からWebサービスのようにどんどん仕様変更できる自社ブランドで化粧品をやりたかったんですが、卸展開している消費財ってお店に残っている在庫の扱いだったり、中身の規格が変わると表示も変えないといけなかったりと難しいところがあって。
そこでいろいろと模索していたら、noteでACPさんの「アップデートしていくスキンケア」というのを見つけて、うわーやられたなと(笑)。
「プロジェクト」という名前も、一つの姿にとどまらず変化していきたい姿勢として僕が使いたかった言葉で。「もうイメージはいらない。効果だけがほしい。」というコンセプトや、ナチュラルに寄り過ぎないビジュアルもしっかりしてるなぁと惹かれてフォローさせてもらったんです。
内保:ありがとうございます!ACPとして狙っていたところをすべて汲み取っていただいて嬉しいです。
内保:「アジャイル」という言葉はWebサービスの作り方の一つなので、世間一般では耳慣れない言葉だと思うんですが、もともとIT系業界に身をおいていた木村さんだからこそ気づいていただけたのかなと。
私もフォローしていただいてから木村さんのnoteを読んだり製品を使ったりして木村石鹸さんを知るにつれて、こんなに歴史ある老舗なのに、ブランドとしての考え方がすごくモダンで素晴らしいなと思いました。
木村:もちろんこれまでの伝統やこだわりはあるけれど、やっぱりものづくりの会社なので「よいもの」が作れればいいと思ってますね。「売れる売れないは置いておいて、最後まで自分がファンでいられるものをつくる」という軸はあります。でも、それさえ守れてればなんでもやっていいよと社員には言っていますし、みんな自由に作ってますね。まぁ、柔軟かもです。
↑入社2ヶ月目で商品開発に挑む新入社員さんの奮闘記。木村石鹸さんの「自分たちが欲しいものを作る」という姿勢が文章から伝わってくるnoteです。
小さいブランドだからできる距離感が好き
木村:このあいだびっくりしたことがあって。
僕たちの自社でつくってるシャンプーブランド「12/JU-NI(ジューニ)」がおかげさまですごく評判がよくて、いま完売しちゃってるんですね。で、Twitterでも「欠品中で買えなかった」と呟いているユーザーさんがいたんですが、別の方が「詰替を多めに買ったのでお分けしますよ」なんてリプライしてて。
それも、全然知らない人同士なんですけど「12/JU-NIのシャンプーを使ってみたら良かったから他の人にも使ってもらいたい」という理由で声掛けされてたみたいなんです。 こんなふうにお客さま同士がつながりながらおすすめしてくれるのがすごく嬉しかったなぁ。
内保:それは嬉しい! ACPもTwitterの口コミで知っていただくことが多いんですが、やっぱり「好きなユーザーさんがいいと言っていたのを信じて買いました」といったユーザーさん同士の信頼関係や熱意がきっかけになっている声が多くて、D2Cブランドならではの広がり方だなと思いますね。
木村:小さいブランドだからできることがありますよね。 ACPさんもお客さまを招いてのヒアリング会などもよくやってますよね? そういうつながりが、ただの「モノ」を超えた嬉しさを感じてもらえてるのかなって。
昔のブランド品のように「かっこいいから」「ステータスがあがるから」持つというより、近しい人に囲まれているような安心感がお客さまとの関係にあるように見えます。
↑ACPでは定期的にユーザーさんとの交流イベントを開催(最近はオンラインで)。リアルな声や今後のアップデートポイントなどを率直に聞かせてもらっています。
内保:たしかに、ACPというブランドに人間味を感じてくださっているという声はよく頂きます。リアルな対面でも、SNSでのDMでも、会話の量や広さよりも深いコミュニケーションを意識しているので、それを感じてもらえてるのかも。
私も、前職でユーザーの方にインタビューしたり、実際にお家にうかがって使っているところを見せていただいたりするのがすごく好きだったんです。 ACPでは、さらに一人ひとりのお客さまに深く向き合えるのがブランドを作る上での原動力になってますね。
Twitterでのやりとりでいうと、木村さんも「12/JU-NI」のシャンプーを買ったとTwitterで投稿しているお客さまに、リプライで「熱が大事だからドライヤーをしっかり乾かしてあげてください!」と一人ひとりに伝えてますよね。
木村:そうそう。ホームページや説明書だけだと伝えきれない部分は直接送っちゃおうと思って。僕たちがやりたいのはブランドをスケールさせることではなく、使う人が髪の悩みから解放されることだから、これからお客さまが増えても送れるところまで送っちゃおうと思ってます 。 もうセオリー度外視ですね(笑)。
平均65点じゃなくて、誰かにとっての120点を目指す
石鹸とスキンケア。それぞれのジャンルで目指したすふたりの「よいもの」像とは?
内保:私たちは「効果を追求する」という部分は成分や処方でロジカルにやってますが、最終的には自分たちにとって本当に心地よいか、感覚的に気持ち良いと思えるかをすごく大事にしています。
効果はもちろん、香りや手触り、ボトルの重さといった部分まで含めての心地よさ、暮らしのなかで積極的に使いたくなる官能性も欠かせないポイントだと思ってます。
木村:効果は検証できるけど、好き嫌いの感覚や気持ちよさという数値にできない部分も大事なの、すごくわかります。
12/JU-NI(ジューニ)のシャンプーを作ったときに社内でもサンプルを配ったんですが、あんまり髪に合わなかった人もいたんです。12/JU-NIは直毛の人だとまとまりすぎてしまうんですよね。
それでも僕自身は「これはいける!」と感じてて、実際にモニターとして試していただいたお客さまにも何人かに「ここまでくせ毛が落ち着いたのは初めてなので、容器もなくていいので今すぐ欲しいです」とまで言っていただけて、改めて「これは良いものができたかも」と思えたんです。
木村:ちょっと話はズレますが、SNSの反響などを見ていると、ユーザー自体の製品への受け止め方も変化があると思うんですよね。 今までは「自分に合わない=製品の質が悪い」だったけど、口コミやSNSが発達して「自分に合わない=相性がよくないだけ」という視点に変わってきたと感じます。
だからこそ、不特定多数のユーザーにとっての「平均65点」みたいな製品よりも「その人にとっての120点」という製品、データという顔が見えないユーザーの満足度ではなく、そこにいる誰かにとってズバ抜けて使ってよかった製品を目指そうと僕たちは言ってるんです。
内保:確かに、いまは「よいもの」の軸って本当に多様化していて、知名度ではなく「自分の価値観に合っているか」を大切にしている人が増えてますね。お会いするACPのお客さまのなかでも、成分を基本にしつつ自分に合うアイテムをとことん探求しつづけている方がいたり、成分よりも香りや肌ごたえを大事にして気に入ってくださったり、みなさんしっかりと自分なりの軸に合っているかを考えながら、深く探求して選んでくださっています。
そんなお客さま一人ひとりにとって「自分に合っててよかった」と感じていただけるものを作ることをACPも目指していますね。
木村:小さいブランドだからこそ作れる「よいもの」って、きっとそこなのかも。
木村さんと盛り上がった、小さなブランドだからできるものづくり談義。
後編は近ごろよく聞かれる「セルフケア」という言葉について。それぞれが考えるセルフケアの意味や、自分をいたわるとは具体的にどんなことなのか、髪や肌をよくしたい2人に語ってもらいます。
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アジャイル コスメティクス プロジェクトとは
アジャイル コスメティクス プロジェクトは「天然由来成分」の持つ「豊かな有効性」を最大限引き出しながら、製品の「官能性」を追求するスキンケアブランドであり、購入者の意見を取り入れ、製品を迅速に進化させていくプロジェクトです。
このnoteでは私たちのプロダクトに込められたストーリーや、自分の肌が心地よくあるためのヒントをお届けしていきます。
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