デザインがさらにおいしくなる話vol.9【中塚組】
鳶職、と聞いて、みなさんがパッと思い浮かべるものは何でしょうか?
高所で働く人、ということを共通点に、鳶職といっても様々な仕事があります。
今回ご紹介するのは、鳶職の中でも「足場鳶」と呼ばれる仕事を生業とする企業さん。工事現場で働く職人さんの命を支えるヒーローたちのお話です。
中塚組の企業ブランディング、ロゴマークの制作を担当しました!!
「足場鳶」とは、工事現場の足場を組むことに特化した専門業者さんのことです。
工事現場の作業のしやすさは足場の組み方や安定感に掛かっていて、とても重要な仕事であることと、古くは火消しの仕事も担っていたため、建築業界では「現場の花形」とも呼ばれています。
中塚組さんはそんな現場の花形でありながら、鳶職というだけでヤンチャなイメージを持たれることに頭を悩ませていました。
挨拶や礼儀作法を徹底して、志を持ってこの仕事をしているからこそ、悪いイメージを払拭して社会から認められる会社になりたい。
この思いを形にするため、まず考えたのが「現場のヒーロー」というコンセプトでした。
工事中、もしも足場が崩れてしまったら、現場で働く職人さんたちは大けがを負ってしまいます。そうならないために、現場の職人さんの拠り所となり根底を支えるのが足場鳶の職人さんたちです。足場鳶は現場で働く職人さんを支える職人さんなんですね。
そんな彼らは一番初めに現場に入り、最後にもう一度現場入りします。真っ先に職人さんの足場を整え、竣工後は颯爽と足場を崩して去ってゆくその姿はまさしくヒーロー。物語の主人公に違いありません。
このコンセプトを元にして、シンボルマークを制作しました。
左目には六角レンチの六角形を、右目には安心感のある正円をチョイス。
鼻の部分は、「鳶口」という江戸時代には実際に鳶職人の間で使われていた道具の形を模しています。
また、足場鳶は「職人さん」なので、ムムっという表情でちょっぴり頑固さもプラスしました。
そして……
じゃん!
隈取をしたバージョンも制作しました!
隈取は、歌舞伎の舞台の中でも重要な人物にだけ描かれる特殊な化粧です。
工事現場を歌舞伎の舞台に見たて、舞台の花形という意味を込めて隈取の化粧をほどこしました。
また、ロゴマークがこちらです。
最後に、名刺やカレンダーなどもご紹介します。
ベーシックなカレンダーに隈取のみを印刷したごく薄い紙を重ねて、ヒーロー映画で主人公が「変身!」とやるように、現場入りの際は隈取をつけ、引き上げるときには外せるようにデザインしました。
さて、気合十分に始めたこのデザイン事例の紹介記事も、もうすぐ2桁に突入します。早いですね!
今後もさまざまなデザイン事例を紹介していきますので、ぜひ見てくださいね。
「デザインがさらにおいしくなる話」とは?
CREDIT
Creative Direction:村上モリロー
Art Direction:村上モリロー
Graphic Design:村上モリロー
Creative Produce:村上モリロー