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空を泳いだり瞳に落ちて

今日もおきるのに随分としっぱいして、昨日よりしっぱいして、さらに、それがつまらなかった、全然おもしろくなかった。曇り空だったのもあって、からだが、筋肉が、脳みそがすごく重くて、かなり急いだつもりだったけれど相当おそく着いてしまった。

それでも帰りは同期と並んでかえって、よく喋ったのでたのしい気分。夜もふかかったので久しぶりに急行にのると嘘みたいな速さで最寄り駅についてしまう。ぼーっと観てた映画はアクションシーンばっかりだった。

バスを待ちながらスクロールするサブスクリプションの画面から、ひさしぶりに現れたそのジャケットを親指でつついて、やっぱり文章が綺麗なんだよなあ、となんともなしに聴きほれる。

「グッバイ 今までの自分とは違うことに気付いていて」と歌いはじめて

「別に明日死ぬわけじゃないし ここは東京いかれた気分さ」と続く。気持ちの奔放さと文節のジャンプがよくなじむ。

家に帰ると、さすがにからだがおもくって、腐海の底に沈むナウシカのメーヴェみたいにお風呂にずずずーっと、アゴまで沈みこんだ。

「眠れぬ夜は 風をまとって 空を泳いだり 瞳に落ちて」

バス停で聴いた曲はまだ頭に残っていて、美しい文章を確かめるように口ずさむと、わずかに水紋ができてすぐに静まっていく。

「ねえ 月まで行こうか たどり着けない 生き物のようにね」

お風呂からあがって半分だけひらいた目で髪をかわかす。あしたは早く起きれますように、そしたら朝ごはんとコーヒーをていねいに食べて飲んで、ちょっぴしいかれた気分で街を歩いたり、美しい文章で歌をつくってみたり、そんな風に思いっきり休日を吸いこんでみせる。そうだ、そうしよう、そうしてやるんだ、早く起きたら。

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