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蒼い三日月が天頂に昇るころ 外套を静かにひるがえし、その姿を表す 綺羅びやかなヴェネチア…
見上げれば 変わらぬ 空の碧 地上には 楽園の跡 輝かんばかりの笑顔 あふれんばか…
いかに生き、いかに死ぬべきか。 自身の使命のために、今出来る事は何か。 書物の山を見つめ、…
薄暗くぼんやりした部屋に明かりを灯し、 暖炉に薪をくべる。 ナツメグに、黒すぐりの実、鷹…
うだる空気。そよぐ熱風。伸びた影。 爛れたイチジクを頬張り、 極楽鳥の夢を見る。 揺らめ…
大きな白いハコの中へ。 僕ら、いっせいに詰め込まれて。 青い空。白い壁。 遠くへ吸い込まれ…
闇にぬらりと煌めく貴方の唇 丹念にあなた、紅を塗りましょう 私の指からその唇へ 丹念に 丹念に 塗り込みましょう ああ、貴方の唇の、なんと冷たいこと 私の熱を練り込んでやりましょう これは、毒 貴方を縛り付ける、甘い、毒 それを貴方の唇の、その裏側に 痺れるように、ああ、 塗り込んでやりましょう 聞こえるのは、さめざめと雨の音。 ああ、時雨れてゆく。 ぬらり、とろける貴方の唇。 外は雨。 降り込められた私たち。 雨音に紛れ、細くかすれる貴方
民家の小道をゆく、その並木道 早咲きの桜、いよいよ春の偲びを告ぐ そのひっそりと、堂々と…