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未来は複数形? 2023年に語る未来の話がついAIの話になってしまう理由

先日アドビ未来デジタルラボの活動として、学生研究員の皆さんをアドビオフィスにお招きし、ワクワクする未来について語り合う、というかなりざっくりしたイベントを開催しました。いわば、無数にある世界線の選択肢から自分ならこうあって欲しい、と思うものを描いてみよう、という作業です。ところが蓋をあけてみると、各自が持ち寄った「未来はこうなる」というものが、おおよそ「AIによって未来はこうなる」になっていました。

そりゃそうだよね、と思う一方で、ゲストで来ていただいた『WIRED』日本版の松島倫明編集長からちょっと面白いお話をいただきました。いや、ちょっとじゃなくてメチャクチャ面白い話をいただきました。今回はちょっとそれをお伝えしますね。



1)未来はどう描かれるか?

賢明なる読者の皆さんであれば、ワクワクする未来について語り合う、と聞いてかなり粒度の粗い企画であることはお分かりいただけると思います。もはやざっくりとした内容で企画をスタートさせるのはこの未来デジタルラボの伝統芸となりつつあります。とは言え学生研究員たちをいきなり方位磁石も持たせずに砂漠の真ん中に放り出すようなことはできません。

そこで、ある程度どういった思考プロセスをとればよいかのヒントを得るために松島編集長にお越しいただいたという次第です。

松島さんから伺った話を筆者の筆力で全部言うのは難しいのですが、キーワードとしては「未来は複数形」ということです。

例えば、未来とは?と問われた時に筆者の場合どうしてもアイザック・アシモフのロボット三原則を下敷きにしてロボットが活躍する未来、赤い彗星の人が率いる軍勢と地球連邦がモビルスーツで戦争をしている未来など、昭和臭のプンプンするSF、アニメに影響された未来に偏ってしまいます。要は、過去の経験値というフィルターを通して我々は未来を考えているのであって、決して未来を見ながら未来のことを考えているわけではない、ということです。


2)未来=AI とイメージされる時代に!?


この視点を得ると、今回のセッションは冒頭に書いたとおりかなり目の粗いお題であったにもかかわらず、大学生たちが示し合わせたように「AIが作る未来」を描いてきたのもなんとなく理解できます。ここ数ヶ月生成AIが世間を賑わしていますので、私たちは知らず知らず生成AIについてのインプットを受ける機会が増えているのだと思います。そうなると未来を考える時によほど意図して考えないようにしない限り2023年8月現在、「AI」というキーワードは発想に入り込んでくるのではないかと思います。

この考えを少し一般化すると、異なるバックグラウンドを持っていれば、描く未来も変わってきますし、直近に強い影響を受けたものが、描く未来像に影響を及ぼすことも考えられます。よって「未来は複数形である」という松島さんの説明は超ハラオチしたという次第です。

3)多様な考えがせめぎ合う、混沌とした状況から生まれるアイデアが変化を起こす


となると未来デジタルラボとしても「これが唯一の正しい未来だ」なんて考えてはいけないのだなと思います。一方でおのおのが好き勝手な考えを混沌とした未来像が乱立する、という状況を作り上げることのほうがむしろ難しいように思います。特に現代の我々はソーシャルメディア上などで互いに影響を受け合っている関係性の中で生きています。その中で多様な考えがせめぎ合うような状況はむしろ貴重なのではないかと思います。

これって昨今いわれる「ダイバーシティって大事だよね」という考えと通じるところが大いにあるなと思います。デジタルの未来でなくても、商品開発だったり、イベント企画だったり「みんないろんなアイデア出して〜」というのは良いのですが、ちゃんといろいろな異なる立場を代表するような人たちで「みんな」と呼んでいる集団が構成されているのかどうかで、出てくるアイデアは変わってくるでしょうし、そのアウトプットの結果が会社の競争力につながったりするのだと思います。

実際の議論の様子はこちらの記事にありますが、とにかく「未来は複数形」なんです。みなさんにとっての未来はどんな姿ですか?


鈴木 正義(すずき まさよし) 執行役員 広報本部長
IT企業での広報経験○十年で、なんとなく技術がわかっている風を装うスキルを身につける。社会人ラグビーチームクリーンファイターズ山梨でも広報を担当し、選手の撮影からSNS投稿、動画制作、などでアドビツールを駆使している自称体育会系クリエーター。未来デジタルラボ全体のリードを担当。幕末好きで、未来デジタルラボを令和の松下村塾にすると謎の大志を抱いている。

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